由布岳 山頂が冠雪した堂々とした山容はまさに九州の富士
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由布岳。九州の大分県にあり、日本二百名山の一つに数えられております。麓には温泉地で有名な湯布院があり、山全体は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている景勝地。
2019年最初の登山は九州の富士、由布岳から始めました。
標高1583m。最高峰の西峰と東峰の2つのピークがあり、山容は円錐形をしていることから豊後富士とも呼ばれています。冬には山頂が冠雪するので、その堂々とした山容も相まってまさに九州の富士山と呼ぶにふさわしい山でした。
由布岳は草原の中に鎮座するようにそびえているので、夏場は美しい草原、秋は山の下方に広葉樹が広がっていたので赤や黄色で色付くのが想像できました。四季を通して風景を楽しめそうな山です。
目次
アクセス・コースについて
登山口
今回は中央登山口から登りました。他に東登山口と西登山口があります。
中央登山口は湯布院から別府へ通る県道11号線沿いにあります。駐車場があり20台程度駐車可能。バスもあるようです。トイレも設置されていますが冬季は閉鎖されており使用できませんでした。水道はありますので手は洗うことが出来ます。
東登山口にも寄ってみましたが、駐車場はなく路肩のわずかなスペースに数台停めている方がおられたのみでした。車が路駐する車を避けながら通行していたので、あまり自家用車を停めたくない場所でした。
由布岳登山口駐車場
ルート地図
ルートタイム
由布岳正面登山口 ⇒ 38分 ⇒ 合野越 ⇒ 64分 ⇒ マタエ ⇒ 13分 ⇒ 由布岳東峰 ⇒ 6分 ⇒ マタエ ⇒ 12分 ⇒ 由布岳東峰 ⇒ 7分 ⇒ マタエ ⇒ 42分 ⇒ 合野越 ⇒ 15分 ⇒ 飯盛ヶ城 ⇒ 24分 ⇒ 由布岳正面登山口
登りは汗をなるべくかかないように意識しながらゆっくり。東峰へは一度マタエまで降りてから再度登り返しています。下りは写真を撮りながら割とゆっくりと降りておりますので全体的に無理のない速さで行動しています。
ルートデータ
- 出発時刻/高度: 04:48 / 807m
- 到着時刻/高度: 10:34 / 807m
- 合計時間: 5時間45分
- 合計距離: 8.55km
- 最高点の標高: 1511m
- 最低点の標高: 778m
- 累積標高(上り): 807m
- 累積標高(下り): 835m
- 荷物重量 : MAX12kg
- 消費カロリー :2196kcal
- 消費水分 : 0.0l
- 摂取カロリー : 0kcal
持ち物
- ザック OSPREY kestrel38
- 登山靴 mont-bell タイオガブーツ
- 手袋 mont-bellメリノウール メーカー不明防水手袋 メーカー不明スノボ用手袋
- アウターウェア mont-bellロッシュジャケット
- ミドルレイヤー mont-bellクリマプラス100ジャケット
- ベースレイヤー mont-bellスーパーメリノウールexp
- パンツ mont-bellストライダーパンツ
- 靴下 smartwool
- 防寒着 UNIQLO ULTRALIGHTDOWN
- ウインドブレーカー mont-bellウインドブラストパーカー
- レインウェア mont-bellレインダンサー
- ストック メーカー不明
- 滑り止め mont-bellチェーンスパイク
- GPS GARMIN62S
- ヘッドライト blackdiamond spot
- カメラ NikonD7200 Nikon1J4
- レンズ TAMRON SP24-70F/2.8G2、SIGMA8-16mmF4.5-5.6、nikkor1 10-30PD、nikkor1 30-110
- 三脚 manfrotto befree advanced
- その他 帽子 行動食(ゼリー×2、パン×2、カロリーメイト×2)飲料水1L コッフェル 救急セット 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート
登山レポ
中央登山口⇒マタエ
午前4:50。朝食を済ましてから中央登山口に立つ。登山口は駐車場の道向かいにあるので日が昇っていればすぐにわかるが、日の出まで2時間以上あるので辺りはまだ暗い。というより街灯一つないので完全な闇。手元すら見えない暗黒の世界。
暗いうちから登るようになったのはこの一年くらい。最初は車から暗黒の世界に足を踏み出すのに相当ビビっていたが、最近はもう慣れたものでヘッデンの明かり一つでヒョコヒョコ歩くようになった。
特に今回は九州。九州には熊がいない。山で一番恐ろしい生き物がいないというだけで安心感が凄い。猿やイノシシ等の危険生物はまだまだいるはずなのだが、我ながら呑気なものだと思う今日この頃である。
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私が駐車場に到着した時に5人ほどのパーティーが先に登山口へ向かっていった。ほかには誰もいない。一人ポツンと暗闇を歩いていく。先行したパーティーは20分以上前に行ったので、山頂でしか会わないだろうと思いながら進んでいった。登山口に入ってすぐは登山道がかなりえぐれていたが明瞭で迷いようがない。真っ暗な草原(暗すぎて草原であるのかもよくわからない状態だが)を山があるであろう方向に歩いて行った。
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少し歩くと樹林帯に入り、日向岳方面との分岐が現れる。合野越・由布岳方面へ直進する。ここの登山道にはしっかりした道標があり、道迷いという点ではヘッデン一つでも安心して歩ける。この辺りから空から雪がちらつき始めてきた。天気予報では降雪ではなく晴れの予定だったはずだが・・・。どうもこのところ天気に恵まれない。
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40分弱で合野越に到着した。ここまでなるべく汗をかかないようにゆっくり歩いてきた。今年の冬からベースレイヤーとして着用しているスーパーメリノウールExpは速乾性が今一歩で、たくさん汗をかくと少し汗冷えするから。この点では今まで使ってきたジオラインの方が優れているが、暖かさという点ではメリノウールの方がかなり上。この日はいつもは持って行くだけのストックも使って、じっくり歩いてスーパーメリノウールの真の性能とやらを味わってみようと考えていた。
合野越から先は九十九折れの登山道になる。一本道で分岐もなく道迷いをすることもない。合野越までの道はなだらかだったが、九十九折れの道になってからもそれは変わらず非常に歩きやすい。
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しばらく登ると木々が疎らになってきて、下に湯布院の街明かりが見えてきた。夜明け前の時刻だが街の街灯はそれなりに明るい。中央のひと際明るい所が中心街なのだろう。
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登山口から100分ほどで西峰と東峰の分岐であるマタエに到着した。少し前に、駐車場で見かけたパーティーを追い越した。登山初心者もいるようで、先導している方はかなり慎重に行動している様子だった。
GPSで確認したわけではないが、標高1300mあたりを超えたところから木々に霧氷が着き始めて、標高1500m弱のマタエあたりは完全な氷の世界になった。しかし、残念なことにガスがひどく、ヘッデンの明かりの先は真っ白で何も見えない。木の枝に着いた霧氷は白い綿の様に丸々としている。これほど凍り付いているとは想像していなかった。
当初最高峰の西峰から登る予定だったが、事前調査ではこちらは結構危険な鎖場。私の装備では登ったはいいが降りられないという事態になりかねないと思い断念した。
マタエ⇒東峰
マタエから東峰へのコースは岩場の登山道。段差の大きなところもあるが比較的足場がしっかりしており、地面や岩は凍り付いているが登るのに特に滑り止めを必要としなかった。15分弱で難なく東峰山頂に到着した。
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山頂にはすでに2名の方が夜明けを待っていた。すでに一時間前から待っているとのことだった。手持ちの温度計を見るとー10℃。この温度計あっているのか?と疑ったが、この光景を見ればそれもうなずける。白と黒のモノトーンの世界。目の前にある全く色彩のない光景に少し恐れを感じる。このような冬山に登った経験があまりないためだ。時折吹く強風を避けるように岩場の影に潜り込む。天気予報では14m/s程となっていたが、それに近いような強風に感じた。体温が奪われないように防寒着を着込み、手袋を厚手のものに交換した。
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日の出の時間が近づいてもあまり明るくならない。ガスが濃すぎて日の出の方向もよくわからない状況だった。7:20あたりが日の出の時間らしかったが、7:30になっても日が昇ったのか否かすらわからない。あきらめて登ってきた道を戻ることにした。
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降りていくと視界が徐々に良くなってきた。マタエの様子も見えるようになっており、西峰方面の険しいコースも確認することが出来た。やはり登っても降りてこれそうにない。
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ガスが薄くなってきたのでマタエで少し待機していると、眼下を覆っていたガスが晴れてきた。陽の光は弱々しいが、飯盛ヶ城や湯布院の街が見渡せた。
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山頂を見上げると山容がしっかり見えてはじめていた。もしかしたら雲が晴れるかもしれないと思い、マタエから再び東峰へ登り返した。マタエから東峰までの標高差は80m程。明るくなっていたので足元もしっかり見えて難なく登り返せた。しばらく山頂でガスが切れるのを待つが、結局晴れることはなかったので諦めて引き返した。
東峰山頂⇒飯盛ヶ城経由で下山
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下山は霧氷で覆われた木々を眺めながらゆったり歩いた。この時間になるとちらほら下から登ってくる人とすれ違う。みんなこの白い花が咲く森を眺めに登って来たのだろう。登山道は山の西側に着いているので、この時間は日が当たらない。昼頃になれば、ここにも日が差して白い木々が陽の光で輝いてより一層綺麗なんだろうななどと思いながら合野越まで降りてきた。
合野越は西側登山道と正面登山道の分岐でもある。西側登山道の方へ少し進めば、上から見えていた飯盛ヶ城がすぐそこにある。このまま来た道を戻ってもつまらないので飯盛ヶ城に寄ってみることにした。
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合野越から15分で到着。途中で山頂から着込んでいた防寒着と手袋を片付けたので、歩いた時間は実質10分にも満たなかっただろう。思った以上にすぐに着いた。
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由布岳からの眺望はガスで期待したほど楽しめなかった分、ここからの景色を楽しめたので寄ってよかったと思った。合野越からすぐに登れるので、下山時には是非寄っていくことをお勧めしたい。遮るものが何もないので風が強く寒かったが天候次第では山頂ピクニックも楽しめる所である。
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山と高原地図によると飯盛ヶ城山頂から中央駐車場までのルートは点線になっているが、実際の道は非常に明瞭で歩きづらいところもない。夜でなければ安心して歩けるルートである。
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飯盛ヶ城から30分弱で登山口に戻った。空には青空が広がっており、鶴見岳も綺麗に見えた。振り返ると由布岳の姿。どっしりと堂々とした山容に冠雪した姿はまさに豊後富士と呼ばれるにふさわしいと思った。山頂も晴れかかっているので、この時間から登る人は山頂で綺麗な景色が堪能できるだろう。
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最後になったが、登山口には杖とヘルメットが常備されている。必要に応じて使用すればよい。杖を使っている人はちらほら見かけたが、正直言ってこのヘルメットを使う人はほとんどいないだろう。しかし、しっかり常備してくれている心意気に感謝である。登山ポストも立派なものが設置されていた。引き出しには記入用紙と鉛筆が入っている。私はネットのコンパスとヤマレコで登山届を出すので、備付けの登山届を書くことはほとんどないが、やっぱり書いた方がよいのかななどといつも考えさせられる。
今回も無事に下山出来て山に感謝である。今年一年怪我無く無事に登山を楽しみたい。