櫛形山 緑濃き南アルプスの原生林を歩く。

目次
櫛形山とは
日本二百名山のうちの一座。南アルプス市と富士川町の境界に山頂があり、南アルプス主脈の前衛に位置します。標高は2052mで山域はほぼ原生林に包まれていて、開けた眺望はありません。ですが、多数の巨木を見つけられる緑濃い原生林は独特の雰囲気があり魅力的だと思います。天気が悪く、山が雲に包まれているような日に登れば、ジブリのもののけ姫の森のような雰囲気を味わえると思います。
眺望も全くないわけではなく、櫛形山山頂およびその付近には一部開けた場所があり、富士山や南アルプスの主脈を見ることが出来ます。また、櫛形山山頂より少し北には裸山というピークがあり、この山域で一番の眺望ポイントとなります。
アクセス・コース
登山口
池ノ茶屋登山口
最も山頂に近い登山口。標高1860mから200mほど上げれば1時間ほどで山頂に着けます。櫛形山は山頂やアヤメ平等を周回できるトレッキングコースとなっており、この山を楽しむには最適な登山口です。
中尾根登山口
県民の森のバンガロー脇にある登山口。伊奈々湖駐車場(無料)を利用できます。40台くらい停められそう。標高差が1150mと結構ありますが、登山道はよく整備されていて登りやすい。途中の眺望はほとんどありませんが、静かな森歩きを楽しめます。今回はここから登頂。
北尾根登山口
林道にある見晴らし台からの登山口。標高1330m地点にあり、アヤメ平へ直接登れる登山道で人気。私が登った日も、ここから登ってこられた方にたくさんお会いしました。30台くらい停められるそうです。
南尾根登山口
平林バス停で下車。公共交通機関で来れる唯一の登山口らしいです。標高770mと最も標高差のあるコース。少し上にある氷室神社(標高1000m)に駐車場があるそうなので、ここから登ってもいいですね。
平林バス停
氷室神社
ルート地図
ルートタイム
登り
伊奈ヶ湖駐車場⇒129分⇒ほこら小屋⇒41分⇒櫛形山(最高点)
トレッキングコース周回(櫛形山山頂標識⇒池ノ茶駐車場経由裸山)
櫛形山(最高点)⇒15分⇒櫛形山(三角点)⇒25分⇒池ノ茶屋登山口⇒21分⇒北岳展望デッキ⇒15分⇒休憩所⇒14分⇒もみじ沢⇒18分⇒裸山のコル⇒35分⇒アヤメ平避難小屋⇒19分⇒裸山
下り(裸山⇒伊奈々湖駐車場)
裸山⇒36分⇒ほこら小屋⇒65分⇒ 伊奈ヶ湖駐車場
ルートデータ
- 出発時刻/高度: 04:54 / 905m
- 到着時刻/高度: 13:14 / 906m
- 合計時間: 8時間19分
- 合計距離: 21.24km
- 最高点の標高: 2046m
- 最低点の標高: 889m
- 累積標高(上り): 1858m
- 累積標高(下り): 1861m
- 荷物重量 : MAX12kg
- 消費カロリー :4486kcal
- 消費水分 : 0.6l
- 摂取カロリー : 515kcal
持ち物
- ザック deuter FUTURA28AC
- 登山靴 mont-bell タイオガブーツ
- 手袋 軍手 予備メーカー不明手袋
- ウインドブレーカー mont-bellウインドブラストパーカー(未使用
- ミドルレイヤー mont-bell Tシャツ
- ベースレイヤー mont-bellジオラインL.W.
- パンツ mont-bellサウスリムパンツ
- 靴下 mont-bell製
- 防寒着 UNIQLO ULTRALIGHTDOWN (未着用)
- レインウェア mont-bellレインダンサー(未着用)
- ストック メーカー不明(未使用)
- GPS GARMIN62S
- ヘッドライト blackdiamond spot(未使用)
- カメラ NikonZ6
- レンズ Nikkor Z 24-70F4S、Ai Nikkor 28mm F2.8S、NDフィルタ×2枚、C-PLフィルター×1枚
- 三脚 manfrotto PIXI EVO manfrotto Befree Advanced
- その他 帽子 行動食(ゼリー×5、カロリーメイト×2)飲料水2.0L 救急セット 懐中電灯 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート
- ココヘリ発信機
登山レポ
ほこら小屋まで標高差900mを黙々と登る
駐車場に到着したのは4:30。すでに陽が登って明るい。ソロで歩くときは暗いうちから登り始める事が多かったが、やはり明るくなってから登る方が安心感があります。
この日は朝は天気が悪く爆風予想。なので風がよけられる森を歩くコースで霧煙る原生林を撮ろうと思い櫛形山をチョイス。駐車場に着いても雨は上がらず、山は雲がかかった状態。狙い通り^o^)/
登山に来て天気が悪くて喜んでいる奴も珍しいだろうなどと我ながらに思いながら登山口に向かいました。

登山口はバンガローの脇にありました。最初は平坦なハイキングコースを歩く。しっとりとした森がいい感じです。最初は分岐がたくさんできますが、裸山方面へ行けばOKです。裸山は櫛形山の北にある好展望のピークです。このコースの途中にあるほこら小屋から先までは櫛形山と同じコースを歩きます。


登山道は非常によく整備されていて、木段も随所に作られ標高標識も100m毎にありました。眺望のない杉の森を黙々と登ります。


植生が変わってきてまもなく林道にあたりました。この辺りで出発してから概ね一時間くらいだったでしょうか。このころには早くも天気が回復して、青空が見えるように。霧に包まれた幻想的な森を撮るというもくろみが外れてしまいました。


ここからはブナとカラマツでしょうか。木の種類は全くわからないので違うかもしれませんが。でも雨上がりのすっきりした空気の中を歩くのは気持ちがいいものですね。





高度を上げてくると、大きな木が目立つように。里山なら御神木級の木があちこちに。朽ちた大樹も苔むしたオブジェと化してなんかいい感じです。

バイケイソウの自生地や木の葉の隙間からの富士山を見ながら登る。眺望はほぼないですが、景色はいろいろ変わるので退屈せずにほこら小屋まで標高差900mを2時間ほどで登ってきました。最近累積標高の少ないショートコースばかりだったので体力的にどうかと思いましたがここまでは普通に登ってこられ一安心。
ほこら小屋は非常にきれいに整備されていました。これならシェラフで快適に一晩過ごせそうです。トイレの様子は確認しませんでしたが、きっとそれなりに整備されているのではと思います。







そして山頂へ
山頂までは標高差250mほど。櫛形山の山容は名前の通り日本櫛をかぶせたような形をしていて山頂近辺は比較的傾斜が緩やか。ほこら小屋からの登りは最初は少し急ですが、すぐになだらかに。緑の濃い原生林を快適に歩けます。
道標もたくさんあり、踏み跡もしっかりしているので道迷いをすることはないですね。道標に記された山頂方面へ歩けば櫛形山山頂へ行くことが出来ます。

森は独特の雰囲気で山深い原生林を呈しています。もののけ姫の森に来たようで少し神聖な感じもします。霧に包まれていたらきっとすごく幻想的だっただろうな。

なだらかな登山道を歩いていくとまもなく山頂に。ほこら小屋から40分くらいでした。

山頂は富士山側のみ眺望があります。ここだけ伐採したのでしょうか。木の枝が額縁の様に富士山の周りを囲んで見えます。山頂標識傍にも御神木級の木がありました。

櫛形山山頂標識。お尻を向けていてすみません。標識には山梨百名山しか載っておりませんが、この山は日本二百名山の一つ。地味なお山ですがさほどマイナーではありません。

トレッキングコースを周回
山頂からは池ノ茶屋登山口を目指します。池ノ茶屋は櫛形山で一番人気の登山口なので、山頂から降りていくと下から登ってくる登山者とたくさんすれ違いました。登山口までは割と急なところもあるのですが、よく整備された登山道で南アルプスや富士山を眺望できるポイントにはベンチも設置されています。
もちろん相変わらず御神木級の木もたくさん。気持ちの良い森歩きが出来ます。
実はもし晴れてしまったら南アルプスの山々を撮ろうと思っていました。NDフィルタやらC-PLフィルタを用意してきたのですが、残念なことに南アルプスは雲の中。ほとんど見えませんでした…。うまいこともくろみが外れるような天候になったものだ・・・。







山頂標識から40分ほどで池ノ茶屋登山口に到着。結構たくさんの方が登ってきていただけあって、駐車場には車がいっぱい。この駐車場までの道は離合が結構大変らしいです。駐車場の脇にある小屋には温泉の宣伝が。大人900円は結構高い。
昔九州に住んでいましたが、あちらは500円前後ですごくお湯のいい日帰り温泉に入れたものです。もちろん値段の高いところもありましたが、静岡、山梨はおおむね1000円前後するような気がします。料金が高いのでなかなか入れません。
南アルプスの広河原への入り口である奈良田の温泉は抜群にお湯が良かったので、一山挟んだだけのところにあるここの温泉もお湯はいいかもしれませんね。


駐車場から北岳展望デッキまでは舗装された綺麗な散策路です。車椅子の方でも南アルプスを眺望できるように作られた道です。北岳展望デッキまでの途中には聖岳、赤石岳、悪沢岳を眺められるポイントもあります。この日の南アルプスは雲隠れしていたので全く見えなかったのが残念。



北岳展望デッキから先は通常の登山道。ここからもみじ沢まで徐々に高度を下げる道となります。途中の道標に休憩所と出ているのですが、ここは少し登らされた挙句に眺望は全くないという場所。疲れるだけなのであまり行く必要はないでしょう。



休憩所からもみじ沢までは急な道を一気に降ります。ややガレ気味なので足元注意です。どこまで下りるのだろう、登り返すの大変そうだなどと考えているうちにもみじ沢に到着。沢という名前なだけあってジメっとしていて苔の多い場所です。ヒルが出そうな雰囲気。




もみじ沢やアヤメ平手前あたりの道は若干不明瞭だったり、獣道があったりと道間違えしそうなところがありました。今回のコースで一番気を付けたいところです。



アヤメ平はアヤメの一大群生地。近年はどこの山域でも言われていますがシカの食害でかなり数を減らしているようです。アヤメ平の入り口には鹿防止柵が作られていて、扉から出入りするようになっております。6月中旬になりますがアヤメはまだ咲いておりませんでした。花が咲けば綺麗な場所でしょうね。

アヤメ平の傍には避難小屋があります。ここはみはらし台から登ってくる北尾根登山道の合流地点になります。ここへ到着したのは11:00前でしたが、何人もの方が登ってこられました。

避難小屋から展望地である裸山まで20分ほどでした。みはらし台から登ってこられる方は裸山まで登って降りられる人も多いようでした。裸山山頂は南アルプスと富士山の両方が見える櫛形山界隈では一番の展望地。わざわざ富士山しか見えない櫛形山山頂まで行く必要はないという事でしょう。アヤメの群生とセットというのも納得のルートです。
裸山山頂直下は道が分かれておりますが、山頂を経由して一周する道なのでどちらから行ってもOKです。快晴の日に来れば抜群の景色を眺められることと思います。



裸山山頂を辞して原生林へ。巨木の多い子の森の中でも一際大きい樹を発見。看板が下に置いてありましたが樹齢300年。こんな樹のある森をこれからも大切にしていきたいものですね。



ここからほこら小屋まで下り、あとは登ってきた道をひたすら降りていきました。これだけの標高差を一気に降りたのは久しぶり。結構足が疲れましたがいいトレーニングになりました。櫛形山は地味な印象ですがいいお山です。
最後に、本日一番の眺望は駐車場近くにある展望所でした。甲府盆地と富士山を眺められるいい場所です。テント場もあるので家族でキャンプなどにいいですね。県民の森なかなかよさそうです。


