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富士山をナイトハイク 山頂からご来光を眺めにまったり日帰り登山

2020/05/23
 
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閉山後最初の週末に

今年は富士山に登るつもりはなかったけど、前回三ツ峠山で見たつるし雲を富士山から撮った写真がSNSでたくさんアップされていたのを見て、富士山山頂からのご来光を見たくなった。

すでに富士山は閉山してしまっているが、登れないというわけではない。

私は登山を始めてから毎年、開山直前の週末に富士山を登っている。開山前から国内外のたくさんの人で富士山はにぎわっている。登山道の状態もよく、開山シーズンのような渋滞もないからだ。閉山直後も同じようなものだろう。9月の末から10月に入ると降雪の可能性があるが、閉山直後の9月中旬なら条件は良い。

そういうことで、9月15日に(正確には14日の夜中からだが)富士宮口から富士山を登ってきた。

開山中は富士宮5合目までの道がマイカー規制でシャトルバスでの往復をとなる。登山者も急増し週末は大混雑となる。一昨年見た山梨県側の須走下山口からはるか下の山小屋まで続く登山者の大行列を思い出すと(静岡側は山梨側より開山が一周遅いので巻き込まれていない)、開山中の富士山には登りたくなくなる。

須走ルートを埋め尽くす登山者の列
須走ルートを埋め尽くす登山者の列

でも富士山は開山中なら山岳医が常駐している山小屋もある(富士宮8合目、吉田口7合目、8合目)し、山岳救助に慣れた山小屋のスタッフもおられると思うので、急病の時も安心できるとは思う。

夏の富士山は登山道もよく整備されていて比較的登りやすい山ではあるが、高度が高いので高山病になりやすいし、山頂の温度は平地より20℃以上低い。登山道はザレていて転倒しやすい。登山に慣れていない人はやはり開山中に登るのがいいと思う。

いつ登るのがいいかは結局登る人本人次第だが、事故や遭難に遭わないように、また遭った時に備えて通信装備やGPS、登山届、山岳保険やビーコン等しっかりと準備しておきたい。

山小屋毎にまったり休憩

富士宮5合目には22:00ちょっと前に到着。ちょっと仮眠して0:00あたりから登り始めようと思っていたが、着いてみると5合目駐車場は結構混雑していて頻繁に車が出入りしていた。結局騒がしくて全然眠れないので、高度順応も兼ねてゆっくり登ることにした。登山開始が22:50くらい。すでに登り始めている人はたくさんいた。

目的のご来光は午前5:16分くらい。一時間前くらいには山頂東側にいたいので、登りで使える時間は5時間くらい。このくらいの時間があれば結構ゆったり登れる。小屋ごとに休んで夜景撮影でもすることにした。

富士宮登山道には小屋が6つある。6合目、新7合目、元祖7合目、8合目、9合目、9.5合目だ。所要時間は非常に大雑把に言って各小屋間30分~40分くらい。9.5合目から山頂の浅間神社奥社にかかる時間も同じくらい。5合目から6合目までは15分くらいだろうか。実際には新7合目⇒元祖7合目間や9合目⇒9.5合目間はもう少し近いのだが、毎年このくらいの感覚で歩いている。なので、山頂までの所要時間は長く見積もって260分くらい。浅間神社から東側に移動する時間を考えても5時間あれば十分である。

この日は前日が満月、空は快晴で月が非常に明るく登山道を照らしてくれたので、ヘッデンを使わなくても登れるくらいだった。風も少なくまさに登山日和だった。

月光で明るい6合目雲海荘
月光で明るい6合目雲海荘

新7合目から休憩中に夜景撮影。富士市の街灯りと駿河湾の色が対照的だ。この辺りで標高2800mくらい。すでに南アルプスでいうと鳳凰三山くらいの高さだ。ここから標高0m地点を俯瞰するのだから高度感はすごい・・・という感じはあまりなく、ジオラマでも見ているような感覚だ。高度差がありすぎるとかえって感覚が麻痺するようだ。

富士市の夜景と駿河湾
富士市の夜景と駿河湾
新7合目からの景色

カメラで遊びながら夜景を眺めていたら20分も休憩していた。つづく元祖7合目でも15分ほど休憩。高度順応も兼ねているのでゆっくり登ればいいのだ。

元祖7合目より
元祖7合目より

元祖7合目から8合目まで30分ほどで到着。ここから先は浅間神社の境内となり神域である。8合目自体はただの山小屋だが、上へ登る道の脇には鳥居が立っている。古くから信仰の山であったであろう富士山の歴史が垣間見えるようである。富士山8合目以降は徳川家康公が浅間神社に寄進したらしい(間違っていたらすみません…)という話を読んだ事を思い出した。

宝永山と御殿場の街
宝永山と御殿場の街
富士市方面
富士市方面

8合目からの登りは睡魔との戦いだった。眠気でクラクラしながら9合目へと歩く。35分ほどかかり9合目に到着しまた20分休む。というよりカメラで遊ぶ。30分毎に20分の休憩をする登山など普段はあり得ないが、あまり早くに目的地に着いても寒いだけである。たまにはのらりくらりとした登山もいいだろう。

9.5合目までは20分かからず到着したが、眠気MAXになりとりあえずザックを背負ったまま地べたに転がりウトウト眠った。誰かが「やばい!間に合わない」と叫んだ声でハッと目が覚めてまた歩き出す。すでに3時半近くになっていた。さすがに時間に余裕がなくなってきたのでトボトボ山頂東側に向けて歩き出す。

山頂にある浅間神社奥社には3:50くらいに到着した。超絶ゆったりの登りだったが概ね予定通りの時間に山頂東側に着けそうだ。

お鉢の東側で日の出を待つ

浅間神社奥社から東側に歩いて25分程。途中、朝日岳によって山頂外輪を眺める。月光に照らされた外輪の風景がSF映画で見る異星のようだ。

朝日岳からの山頂の風景
朝日岳からの山頂の風景

朝日岳を降り、少し進んだ場所に三脚を立てた。暗いうちから下を見下ろしてもどこがどこだかよくわからなかったので、私と同じように撮影に来ていた方に、

「あの辺が芦ノ湖でしょうか?」

と聞いたところ、

「あれは山中湖ですよ。もうこの辺は山頂の東側です。」

と丁寧に教えていただけました。暗いとはいえ芦ノ湖と山中湖の区別もつかないとは・・・めっちゃ恥ずかしい。方向音痴もほどがある。

とういわけで、椅子代わりに座れそうな岩の傍に三脚を立てる。立ち止まって撮影の準備をしていると徐々に体が冷えてくる。山頂の温度は5℃ほど。幸いにも風はほとんどなかったが、シャツとウインドブレーカーだけではやはり寒いのでフリースを着こんだ。

一通り準備が終わってとりあえず夜明け前の景色を撮影。よくよく眺めていると、月光で影富士が出ている。おお、すごい!と思いながら撮影・・・したのだが、よくよく考えてみると、満月近くに天気が良ければ普通に見られる景色だったと下山してから気が付いた・・・。

減光影富士と山中湖周辺
月光影富士と山中湖周辺

撮影地について1時間ほど経過し、明るくなっていた東の空から日の光が昇ってきた。日が昇ってくる相模湾は一面雲海だ。日が昇るにつれて青白い雲海に金色の光が広がっていき、世界が輝きだす。

ひかりを浴びる山中湖
ひかりを浴びる山中湖周辺

お鉢周りの風景

しばらく日の出ショーを眺めた後、三脚を片づけて須走下山口方面へ移動するとたくさんの人が日の出を眺めていた。

愛鷹山と沼津アルプス
愛鷹山と沼津アルプス
新しい朝
新しい朝

お鉢回りは普通に歩けば概ね一時間程で一周できる。回りながら日本一高い場所から周辺の山々を俯瞰でき、南アルプスや八ヶ岳、北アルプスも遠くに見える。

2週前に登った三ツ峠山や杓子山、御正体山が雲海から頭をしている。1700m級の山々が丘の様に小さく見える高度感は富士山ならでは。

三ツ峠山と杓子山
三ツ峠山と杓子山

交通の便の関係なのか富士山は吉田登山口から登る人が多い。須走下山口あたりで撮影していたら、単独山ガールに下山口を尋ねられた。吉田口に降りたいらしかったのだが、私は吉田から登ったことがない…。間違ったことを教えると大変なことになるので、地図を見せて確認しながら下山路を示す。お山で道を教えるってすごい責任を感じますね。

須走下山口からの風景
須走下山口からの風景

吉田下山口を過ぎて白山岳の傍まで来ると、八ヶ岳と甲斐駒ケ岳が雲海に浮かんでいるのが見えた。富士山は4回目だが北側の風景はいつも雲の中だったので、見えたのは初めて。甲府盆地やいつも(というほどでもないが)歩く御坂の山々もよく見える。

八ヶ岳と甲斐駒ヶ岳
八ヶ岳と甲斐駒ヶ岳

お鉢回りで二番目に高い白山岳に登りたかったのですが、登り口にはロープがしてあって入ってはいけない様子。見上げると問題なく登れそうな感じもしたがやめておいた。

お鉢の中から剣ヶ峰を眺める
お鉢の中から剣ヶ峰を眺める

雷岩と呼ばれるあたりに着くと今度は日の光でできた影富士を見ることができた。富士山の影の向こうには二百名山毛無山。2000m近い毛無山も富士山から見るとミニチュアのようだ。ここから右手に影富士と朝霧高原を俯瞰しながらざれた道を登る。

影富士と毛無山
影富士と毛無山

富士山のお鉢回りは大したアップダウンではないのに地味にしんどい。空気が薄いせいだと思う。体に酸素を取り込もうと意識して大きく呼吸をしながら登る。

大室山と青木ヶ原珠海
大室山と青木ヶ原珠海
八ヶ岳と御坂山塊
八ヶ岳と御坂山塊
甲斐駒ヶ岳と本栖湖周辺
甲斐駒ヶ岳と本栖湖周辺
剣ヶ峰をめざす
剣ヶ峰をめざす

最高峰の剣ヶ峰に着くとたくさんの人が山頂標識前で自撮りをしていた。4回目の剣ヶ峰。日本で一番高いところなのだが、景色は意外と残念な場所である。観測所があるので西側は見えず、東側は火口とお鉢の向かい側が見えるのみ。

山頂標識
山頂標識
剣ヶ峰からの風景
剣ヶ峰からの風景

また、一番高い場所は三角点がある場所でも標識がある場所でもない。ちょっと奥に行ったところにある赤いペンキで塗られた岩である。周辺に小銭が撒かれているので分かると思う。ここまで来たらしっかりペンキで塗られた岩にタッチしておこう。

剣ヶ峰から浅間神社奥社への道は急な下り道。ザレているので滑りやすい。登ってくる人の邪魔にならないように横向きになって降りる。

浅間神社奥社を通り過ぎて御殿場下山口へ。

剣ヶ峰の急登
剣ヶ峰の急登
富士市と駿河湾
富士市と駿河湾

プリンスルートで下山

プリンスルートとは、御殿場ルートから宝永山を経由して富士宮口に続くルートの通称である。当時皇太子だった天皇陛下が富士山登山に使ったルートであることからこう呼ばれる。

標高差が大きく距離も長いため不人気な御殿場コースを利用するため開山中でも空いているらしい。このルートを下りで使うと東の景色を眺めながら割合快適に降りることが出来る。富士宮ルートより足場もよく緩やかなので降りやすいし、大砂走や宝永山はふかふかの砂場で足の負担が少なく高速で降りられる。登るなら大変なザレ道だが下りは快適である。

下り始めると初めに見えるのは二百名山愛鷹山と宝永山。この山は富士山の南側にいる限り終始目に入る。

御殿場ルート下山口からの風景
御殿場ルート下山口からの風景

しばらく降りると東側に芦ノ湖が見えてくる。下には宝永山を見ながら下っていく。宝永山崩落地の上あたりに山小屋が固まって建っている。すでに閉山しているので山小屋は閉まっていたが、一軒だけわらじ館のみ営業していた。ただでさえ不人気の御殿場ルートなのにありがたい。と思いながらもベンチでたくさんの人が休んでいて居場所がなかったのでスルー。

芦ノ湖
芦ノ湖
宝永山
宝永山
わらじ館
わらじ館

7合目から大砂走と呼ばれる深い砂に覆われたルートを下る。足を下ろすたびに登山靴が砂に深く埋もれるが、しっかり止まるし足への負担が少ないので非常に下りやすい。調子に乗ってガシガシ降りて下り6合から宝永山へ。ここを間違ってそのまま降りていくと御殿場口に降りてしまい大変なことになるので注意。

あまりに快適な下りだったので調子に乗って下ったらハムストレングスが張ってしまった。やはり、おっさんの老体に無理をさせるものではない。

馬の背と呼ばれる宝永山へ続く尾根を進むと最後の目的地宝永山山頂がある。プリンスロードの下りで来ればほぼ登ることなく平坦な道を歩いて山頂に到達できる。

下り6合から宝永山を眺める
下り6合から宝永山を眺める
馬の背
馬の背

ここからの眺望も抜群だ。巨大な宝永山火口に広大な砂礫に覆われた富士の裾野を眺めながら宝永山に向かう。このあたりに来ると、富士宮口から宝永山を目指す登山者がたくさんおられた。ここは富士宮からの高低差が少ないので家族での登山も多く、小さなザックを背負って一生懸命登る小さな子供も結構目にした。砂の登山道なので、標高差が少なくても結構しんどいはず。

宝永山山頂に着くと10人ほどの人が休憩していた。寝っ転がって日光浴をしたり、記念撮影をしたりと思い思いに楽しまれていた。山頂から東を眺めると一面砂の世界。これもまたすごい光景だと思いながらシャッターを切る。

宝永山山頂
宝永山山頂
砂礫の世界
砂礫の世界

少し休んでから宝永山山頂を後にした。一旦火口に降りて少し登り返すと6合目と下りの分岐に到着。6合目を経由して富士宮口へ。たくさんの登山客をすれ違いながら登山口へ戻った。

宝永山第一火口を下る
宝永山第一火口を下る
宝永山と火口を一望
宝永山と火口を一望

駐車場に戻ると、車が溢れかえっていて駐車できない車が行列を作っていた。やっぱり富士山は夜来るのがいい。

アクセス・コース

駐車場・登山口

富士山スカイラインを登り富士宮5合目へ。売店、トイレ有。トイレはチップ200円。

ルート地図

ルートタイム(休憩時間除く)

登り(富士宮ルート) 山行時間:179分

富士宮口五合目⇒12分⇒富士宮口新六合目⇒32分⇒新七合目御来光山荘⇒28分⇒元祖七合目山口山荘⇒29分⇒八合目池田館⇒35分⇒九合目萬年雪山荘⇒18分⇒九合五勺胸突山荘⇒25分⇒ 富士宮口頂上

お鉢回り 山行時間:61分

富士宮口頂上⇒1分⇒駒ヶ岳⇒4分⇒朝日岳⇒8分⇒伊豆岳⇒7分⇒成就岳⇒2分⇒吉田・須走ルート下山口⇒1分⇒吉田口・須走口頂上⇒7分⇒金明水⇒6分⇒雷岩⇒9分⇒西安河原⇒5分⇒剣ヶ峰⇒6分⇒三島岳⇒5分⇒富士宮口頂上

下り(プリンスルート) 山行時間:127分

富士宮口頂上⇒ 35分⇒御殿場口八合目⇒4分⇒御殿場口七合九勺・赤岩八合館⇒11分⇒御殿場口七合五勺・砂走館⇒2分⇒御殿場口七合四勺・わらじ館⇒4分⇒御殿場口七合目⇒15分⇒御殿場口下り六合(走り六合)⇒5分⇒宝永山馬ノ背⇒6分⇒宝永山⇒19分⇒宝永第一火口⇒8分⇒宝永第一火口縁⇒8分⇒六合目宝永山荘⇒10分⇒富士宮口五合目

ルートデータ

  • 出発時刻/高度: 22:45 / 2353m
  • 到着時刻/高度: 09:55 / 2352m
  • 合計時間: 11時間9分
  • 合計距離: 14.33km
  • 最高点の標高: 3736m
  • 最低点の標高: 2351m
  • 累積標高(上り): 1694m
  • 累積標高(下り): 1656m
  • 荷物重量 : MAX14kg
  • 消費カロリー :3,562kcal
  • 消費水分 : 0.6l
  • 摂取カロリー : 550kcal

持ち物

  • ザック deuter FUTURA28AC
  • 登山靴 mont-bell タイオガブーツ
  • 手袋 mont-bellメリノウール手袋 軍手 予備メーカー不明手袋
  • ウインドブレーカー mont-bellウインドブラストパーカー
  • ミドルレイヤー mont-bellクリマプラス100ジャケット
  • ミドルレイヤー mont-bell Tシャツ
  • ベースレイヤー mont-bellジオラインM.W.
  • パンツ mont-bellサウスリムパンツ
  • 靴下 mont-bell製
  • 防寒着 UNIQLO ULTRALIGHTDOWN (未使用)
  • レインウェア mont-bellレインダンサー(未着用)
  • ストック メーカー不明(未使用)
  • GPS GARMIN62S
  • ヘッドライト blackdiamond spot
  • カメラ NikonZ6
  • レンズ Tamron SP24-70F2.8G2+FTZ
  • 三脚 manfrotto PIXI EVO manfrotto Befree Advanced
  • その他 帽子 行動食(ゼリー×5、カロリーメイト×2)飲料水1.5L 救急セット 懐中電灯 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート
  • ココヘリ発信機

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