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鳳凰三山を日帰り登山 青木鉱泉から周回

2020/05/03
 
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ちょっと前の6月17日、鳳凰三山登ってきました。
インスタで投稿されたたくさんの北アルプスの稜線の写真を見ていたら無性に森林限界越えの稜線を歩きたくなってしまいました。
とはいえ、北アルプスは遠くて行けないので南アルプスで日帰りが出来る森林限界越えの山・・・と言えば最初に思い浮かぶのが鳳凰三山!
2年前にたくさんのカメラとレンズを担いで登ったら、一面ガスで真っ白で撮影どころか道もわからなくなりそうだったという苦い経験をしたこの山をリベンジ登山することに決定!
というわけで思い立ったその夜に車で青木鉱泉まで移動したのでした・・・。

鳳凰三山は最も高い標高2840mの観音ヶ岳を中心に北側に地蔵ヶ岳、南側に薬師ヶ岳の三つのピークからなっているお山です。
それぞれのピークには特徴があって、地蔵ヶ岳山頂にはオベリスクと呼ばれる巨石がそびえています。麓からでも見える巨大な岩は鳳凰三山の象徴で、これを目的に登ってくる人も多いですね。

オベリスク

オベリスク

主峰である観音ヶ岳の山頂は360°パノラマビュー。富士山や甲斐駒ヶ岳、北アルプスの山々(地蔵ヶ岳からもよく見えますが)や白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)八ヶ岳や金峰山、瑞牆山などの奥秩父の山々と日本を代表する名山の数々を一望できる贅沢な山頂です。

観音ヶ岳山頂からの白峰三山

観音ヶ岳山頂からの白峰三山

観音ヶ岳から薬師ヶ岳へ続く稜線は白い砂礫が敷き詰められたまるでビーチのような気持ちの良い道。標高2800mにある白いロングビーチを富士山や白峰三山を眺めながらゆったりと歩けます。鳳凰三山でもっとも快適な山道です。

薬師ヶ岳への稜線

薬師ヶ岳への稜線

薬師ヶ岳は白い砂で覆われた広い山頂。まさに山頂のビーチです。まじかにそびえる白峰三山や富士山を眺めながらゆったり昼食をとる方も多いですね。

薬師ヶ岳山頂

薬師ヶ岳山頂

鳳凰三山への登山ルートはいろいろありますが、代表的なコースは青木鉱泉からの周回コースと夜叉神から稜線に上がる縦走コースです。青木鉱泉からの周回コースは日帰りで歩く人が多く、ドンドコ沢から稜線へ上がり、地蔵ヶ岳、観音ヶ岳、薬師ヶ岳を経て中道を下って青木鉱泉へ戻る周回コース。ドンドコ沢は5つの大きな滝に寄りながら南アルプスらしい原生林を登る登山道。地蔵ヶ岳の下には鳳凰小屋があり宿泊ができます。20張り程幕営可能なテント場もあるので明け方のオベリスクを眺めたい人はここで泊まるといいです。
青木鉱泉周回コースはドンドコ沢が割と急登であることと、地蔵ヶ岳山頂直下にある砂礫の登山道は体力を一気に持って行かれます。登るのはなかなか大変なコースです。
テント泊や小屋泊で登るなら夜叉神コースで登る人が多いですね。コースは長くなりますが、登りが緩やかで南御室小屋と薬師ヶ岳小屋と山小屋も二件あります。テント泊であれば南御室小屋にテント場ありますので、ここに幕営をして日の出前に山頂を狙う方が多いようです。夜叉神からの日帰りピストンは、地蔵ヶ岳まで足を延ばすと距離が長いのでなかなか難しいと思います。

コース

ルート地図

ルートタイム

青木鉱泉⇒91分⇒南精進ヶ滝⇒66分⇒白糸の滝⇒62分⇒鳳凰小屋⇒49分⇒地蔵ヶ岳⇒12分⇒アカヌケ沢の頭⇒33分⇒鳳凰小屋分岐⇒33分⇒鳳凰山⇒21分⇒薬師岳⇒30分⇒御座石⇒63分⇒林道出合⇒24分⇒中道ルート登山口⇒30分⇒青木鉱泉

ルートデータ

出発時刻/高度: 03:40 / 1102m
到着時刻/高度: 14:26 / 1106m
合計時間: 10時間46分
合計距離: 18.32km
最高点の標高: 2809m
最低点の標高: 1098m
累積標高(上り): 1966m
累積標高(下り): 1960m
荷物重量 : 約12kg
消費カロリー : 5727kcal
消費水分 : 1.5l(ペットポトル500ml×3本)
摂取カロリー : 約1200kcal(カロリーメイト8本、ゼリー×2本)

登山レポート

夜明け前に登山開始

青木鉱泉へは前日の23時に到着。ここまでの道路状況はあまりよくなく、所々未舗装の道や舗装が痛んだところがあり荒れています。落石も多いので特に路面状況が分かりにくい夜は気を付けて走る必要があります。
青木鉱泉の駐車場は有料で、750円/日です。奥にある建物で支払いをします。早朝は受付をしておりませんので、戻ってきてからの支払いとなります。未納の車のワイパーに請求書を挟んでおりますので支払いを忘れて帰ることはないでしょう。
空が白んできた3:40に駐車場を出発。森の中は日の出を時刻を迎えてもしばらくは暗いのでヘッデンが必要。青木鉱泉の前からドンドコ沢の標識に従って山道を歩きます。
しばらく進むと工事現場に。これを過ぎると本格的な登山道になってきます。
基本的にはわかりやすいコースなのですが工事現場から最初の渡渉までの区間がややわかりにくくなるところがあります。木に付いている赤いペイントと渡渉ポイントにあるケルンが目印です。

ドンドコ沢

ドンドコ沢は途中にいくつかある大きな滝を見ながら登れる登山道です。どの滝も水量、落差がある見ごたえのある滝です。南精進ヶ滝と白糸の滝はコースのそばにありますが、鳳凰の滝と五色の滝は若干コースから外れます。以前登った時に滝は見たので今回は休憩をした白糸の滝以外はパスしましたが、初めて登られる方は是非立寄ってもらいたいですね。

白糸の滝

白糸の滝

ドンドコ沢コースは基本的にずっと急登です。数度の渡渉、段差の大きな登山道、地蔵岳までの標高差1660mとかなりタフなコースです。鎖場や岩場はなく、コースも明瞭なので南アルプス入門コースと呼ばれていますが、体力的には結構きついコースですので登山初心者の方はある程度自信がついてから登られるほうがよいと思います。

ドンドコ沢登山道

ドンドコ沢登山道

標高2380mのところには鳳凰小屋があります。ここではこのコース唯一の水場があります。山小屋の水は無料です。以前来たときは綺麗で冷たいおいしい水だったのですが、今回は雨の後だったからか少し水が濁っておりそのまま飲むことは出来ませんでした。鳳凰小屋の水を当てにして手持ちの水分を減らしていたのでかなりショックでした…。やっぱり登山にはろ過フィルターの常備が必要ですね。

鳳凰小屋

鳳凰小屋

地蔵ヶ岳へ

鳳凰小屋からは観音ヶ岳と地蔵ヶ岳への山道の分岐点になります。地蔵ヶ岳山頂には鳳凰三山の象徴オベリスクがそびえたっています。ここに来て地蔵ヶ岳に寄らない人はあまりいないでしょう。
地蔵ヶ岳までは1km程度で標高差は約400m。CTで1時間程です。しかしこのコース、後半の砂の急登が相当きつく、一歩進んでは半歩ずり落ちるといった感じの登りになり体力を根こそぎ持っていかれます。目の前に見えているオベリスクが全然近寄ってこなくて疲労だけが蓄積していくキツい道です。

地蔵ヶ岳の砂地獄

地蔵ヶ岳の砂地獄

オベリスク。この不思議で巨大な岩石の集合体は、この山の名前の通りお地蔵さんのようにも見えます。山頂の卵型の岩が二つに割れていることから鳳凰の卵が孵化したようにも見えるなぁなどと思っております。
オベリスク下の賽の河原と呼ばれる場所にはお地蔵さんが東に向いてたくさん並んでいます。古来よりここのお地蔵さんを持ち帰ると子供が授かるという言い伝えがあるようで、子供が授かったら持ち帰ったお地蔵さんに加えてもう一体を賽の河原に戻して供えることになっています。お地蔵さんには年月日が彫られたものもあり、私が登った日も子供を授かって2体のお地蔵さんをもって登っている方がおられました。今でも脈々と受け継がれているのですね。

賽の河原のお地蔵さん

賽の河原のお地蔵さん

この山頂は眺望も抜群で、甲斐駒、仙丈ケ岳、アサヨ峰、北アルプスの山々、富士山が眺められます。朝日が昇る時間にここを訪れれば素晴らしい絶景を見ることが出来ると思います。朝日狙いで鳳凰小屋テン泊、地蔵ヶ岳ピストンという方も多いようですね。

甲斐駒ヶ岳

甲斐駒ヶ岳

観音ヶ岳

絶景の地蔵ヶ岳をあとにして観音ヶ岳へ。まずは赤抜け沢の頭というピークに登ります。お地蔵さんが並ぶ賽の河原をはさんでオベリスクの向かいにあるピークで10分程で到着します。ここに登ると白峰三山がど~んとまじかに現れて結構感激。鳳凰三山と白峰三山はこんなに近かったんですね。

赤抜け沢の頭からの白峰三山

赤抜け沢の頭からの白峰三山

ここからは岩と白い砂の稜線をひたすら降りていきます。トレランの方も多いですが、さすがに走れるような山道ではありません。30~40分ほど進むと鳳凰小屋への分岐がある白砂で覆われた広い峠に到着。ここから250mほど登り返します。

鳳凰小屋分岐

鳳凰小屋分岐

砂礫を登ると岩の山道。意外ときついですが、西を向けば白峰三山。振り返れば甲斐駒ヶ岳にオベリスク、八ヶ岳等絶景を眺めながらの登りは疲れも忘れさせてくれます。鳳凰小屋分岐から30分ちょっとあるくと観音ヶ岳へ到着。
この山頂は遮蔽物がないので360度パノラマビューが楽しめます。日本の名山を味わいつくしましょう。

観音ヶ岳山頂からの八ヶ岳

観音ヶ岳山頂からの八ヶ岳

薬師ヶ岳

観音ヶ岳から富士山の見える方向に向かうと鳳凰三山最後の頂、薬師ヶ岳があります。観音ヶ岳から薬師ヶ岳までは30分ほどの道のり。緩やかに下る砂礫のコースで非常に楽に歩けます。
観音ヶ岳と薬師ヶ岳を結ぶ稜線の山道は、白い砂浜をずっと歩くようなまさに天空のビーチと呼ぶにふさわしい美しい稜線の山道です。白い砂浜の下に広がるのは雲海。本当に天国があるのならばそこはまさにこんな場所なんだろうと思わせるような場所であります。

薬師ヶ岳への山道

薬師ヶ岳への山道

薬師ヶ岳山頂はサッカーでも出来そうなくらい広くなだらかな場所です。ここでピクニックシートでも敷いてランチをいただくというのもいいですね。南アルプスの山々を眺めながらのコーヒーブレイクも贅沢です。

薬師ヶ岳山頂手前

薬師ヶ岳山頂手前

中道

地蔵ヶ岳から薬師ヶ岳までの稜線はまさに天国でした。この世の中、天国があれば当然地獄もあります。稜線の山道が天国なら、薬師ヶ岳から下山で使う中道⇒青木鉱泉ルートはまさに地獄と呼ぶにふさわしい道でしょう・・・。
この中道、非常に長く単調で退屈な道で、まさに天国から地獄へ落ちていくような山道です。

中道

中道

薬師ヶ岳から中道を下るとすぐに樹林帯に入ります。子の樹林帯の道は段差が大きいところが多く、意外と歩きにくいみちです。ほとんど眺望もなく延々と下っていくと30~40分程で御座石と呼ばれる巨石に着きます。

御座石の標識

御座石の標識

標高2000mを切ったくらいで突然一面クマザサに覆われた風景に変わります。このクマザサ山道も長い。延々と同じ景色を見ながらひたすら下っていきます。この山道は今回は整備されていて歩きやすかったのですが、2年前の秋に来た時は所々山道の土が見えないくらい生い茂っていました。山道は木の根が多く、脚を置くと滑るので注意が必要です。

中道 熊笹の道

中道 熊笹の道

400m程標高を下げると、今度は九十九折れの山道になります。この山道、下から沢の水が流れる音がずっと聞こえているのですが、いくら降りても一向に近づいてこない。非常に気が滅入る九十九折れ道です。標高で400m弱下るとやっと中道登山口に到着します。

中道 九十九折れの道

中道 九十九折れの道

ここから青木鉱泉まで40分の標識・・・。着いたと思ったら40分も歩かされるのかと心を折られます。
林道を2km程下っていくと、左手に気にたくさんの赤いペイントがされた道が現れます。林道をそのまま下っていくと、青木鉱泉の下の方まで降りて戻ってこなければいけないのですが、この道を行くと沢をショートカットして青木鉱泉に行けます。ただし、渡渉があるので増水時は行かない方がよいかと思います。

最後に

鳳凰三山青木鉱泉周回コースは、歩きごたえもありますし南アルプスと原生林や森林限界を超えた稜線等見どころがたくさんある贅沢なコースです。山歩きにそれなりに慣れてないと大変なコースではありますが、南アルプスの日帰りコースとしてお勧めです。
稜線からの景色は素晴らしかった。高山を登る醍醐味を味わえる山だと思います。ご興味がある方は是非挑戦してみてください。でも、まずは低山で20kmを超えるコースをちゃんと歩ける体力がついてから登ることをお勧めします。累積標高が2000m近いことからもわかるように結構ハードなコースです。歩き切る自信がついてから訪れましょう。
では。

甲斐駒ヶ岳とオベリスクを眺める登山者

甲斐駒ヶ岳とオベリスクを眺める登山者

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