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登山ルートのグレーディングで自分に合った山を選ぼう

2017/04/09
 
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登山をする山を選ぶときに、どうしているでしょうか。ヤマレコのような登山情報サイトで情報収集をしたり、本で紹介されているコースを調べてみたり、周囲の経験者に聞いてみたり…。いろいろだと思います。

登山情報サイトはいろいろな方が様々な情報を載せており、自分の知らないコースや歩いてみたいコースについて、実際に歩いた状況や感想がわかるのが魅力ですね。北アルプス縦走の記録など、ついつい読みふけってしまいます。また、自分ではとても歩けないような厳しいコースを歩いた人の記録は、驚きとともに楽しく読んでしまうものです。書籍で紹介されている山は人気のコースが多く、安心して挑戦することができます。

また、身近な経験者に話を聞くのも非常に為になりますね。実力に合わせたコースも聞けますし、コースや持ち物等いろいろな面で気を付けなければいけないこともアドバイスがもらえます。

人の記録は主観的情報

しかし、他の人の記録や経験はそれぞれの人の主観なので、情報を聞いた人にとって本当にそうなのかというところが判断しずらいですね。

登山情報サイトで、同じコースを歩いた人の記録を見ても、方や危険なところもなければ楽な山行だったという記録もあれば、登りがきつくて大変だったという記録もあります。記録を書いた方の体力やスキルで変わってきているんですね。経験豊富な方であれば、どのくらいのスキルがあればどの山に登れるのかというのは分かるものですが、登山情報サイトで記録を書かれるときは大抵の方が『自分にとってどうだったか』という主観で書かれています。ネットでの情報収集では、記録を書いている方のスキルがどの程度なのかをきちんと把握した上で判断する必要がありますね。厳冬期の槍ヶ岳に日帰りで行った人の記録を見て、『行っている人がいるから大丈夫だ』などと、くれぐれも思わないように気を付けましょう。(そんな人いないか)

身近な経験者からの情報ならば、自分の事をある程度知ったうえで教えてもらえるので比較的安心ですね。コースについてのアドバイスや装備についてもしっかり教えてもらえます。しかし、このような経験者が身近にいる人ばかりではありませんよね。

客観的に難易度が解る『山のグレーディング』

そんな時に一つの指標として役に立つものが『山のグレーディング』です。長野県が山岳遭難事故を防止するために作った指標です。登山コース毎に必要な体力と技術を体力度と難易度として数値・記号化し、客観データとしてあらわしております。その後に静岡県・山梨県・新潟県・岐阜県・群馬県でも同じ基準でグレーディングを作っております。

グレーディングを採用している各県のHPで情報を確認することができます。

それぞれの県の代表的なコースの難易度が一目瞭然となっております。非常に役に立ちますね。

各県のグレーディングについてはこちら

長野県 山のグレーディング 岐阜県 山のグレーディング
山梨県 山のグレーディング 群馬県 山のグレーディング
静岡県 山のグレーディング 新潟県 山のグレーディング

自分でグレーディングをしてみよう

グレーディングをする上での基準は公開されております。体力度についてはルート定数を求めることで算出することができます。自分が行ったことのある山やこれから行きたいけど山のグレーディングに記載されていない山も、どのくらいの体力レベルで登ることができるのかを確認することができます。

体力度の計算

ルート定数÷10の小数点以下切り上げ

で計算できます。

ルート定数の計算式は

1.8×行動時間(h)+(0.3×歩行距離(km)+10.0×登り累積標高(km)+0.6×下り累積標高(km))

で計算ができます。

行動時間はそのコースを歩くのに必要な標準的な時間ですね。休憩時間は含まれません。歩行距離はコースの総延長距離になります。登り累積標高は、登山で登る高さの合計です。標高差ではありません。山登りはアップダウンをしながら登っていきますので、実際に登る高さの合計は標高差より大きくなります。下り累積標高は下りの合計ですね。

例えば、関東で人気の丹沢山大倉尾根ピストンコースですと、

標準タイム7.5h、歩行距離18.43km、登り累積標高1.68km、下り累積標高1.68kmなので、

1.8×7.5+(0.3×18.43+10.0×1.68+0.6×1.68)=36.387

となります。

よって体力度は

36.387÷10=3.6387なので、となります。

計算は簡単ですね。

塔ノ岳⇒丹沢山の山道

体力度4というと1泊以上が適当となっております。丹沢山は山小屋があるので宿泊可能ですが、このコースを歩く人は、ヤマレコを見ているとほとんど日帰りされておりますね。でも、延々と登る尾根の階段がしんどいらしいです(私はここから登ったことがないので)体力度からみても日帰りは結構大変だということが想定できます。

標準タイムは山と高原地図やヤマレコのような登山情報サイトで確認することができます。また、累積標高も同様に登山情報サイトで確認することができます。近所の里山のようなローカルな山の場合、山と高原地図には掲載されていないので、私の場合はヤマレコの登山記録を探して参考にしています。ただし、ヤマレコのようなところにアップしている情報は割と体力に自信のある方のものが多いので、山行時間をそのまま鵜呑みにしてしまうのは危険です。最近は標準タイムに対してどのくらいの速さなのかを表示しておりますが、マイナーな山の場合はそれも表示されておりません。私は、同じようなコースを歩いた数人の記録を確認して、それぞれかかった時間の中間に0.8で割った時間を標準タイムにしております。これは私のやり方なので、人それぞれのやり方でよいと思います。私がこのようにしているのは、なるべく余裕を持った計画を立てたいので、山行時間も多めに見積るようにしております。

難易度

これは下記のような内容でA~Eに5ランクに分けられております。

登山道 技術・能力
難易度A
  • 概ね整備済み
  • 転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い
  • 道迷いの心配は少ない
  • 登山の装備が必要
難易度B
  • 沢、崖、場所により雪渓等を通過
  • 急な登下降がある
  • 道が分かりにくい所がある
  • 転んだ場合の転落・滑落事故につながる場所がある
  • 登山経験が必要
  • 地図読み能力があることが望ましい
難易度C
  • ハシゴ・鎖場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある
  • ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある
  • 案内標識が不十分な個所も含まれる
  • 地図読み能力、ハシゴ・鎖場などの通過できる身体能力が必要
難易度D
  • 厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・鎖場・藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある
  • 手を使う急な登下降がある
  • ハシゴ・鎖場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険個所が多い
  • 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術が必要
難易度E
  • 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険個所が連続する
  • 深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある
  • 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
  • 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある

一般的なハイキングでは難易度はBまでだと思います。C以上の山に入る場合は、よりしっかりした計画と装備、そして技術が必要です。登山経験の少ない方はC以上の山には行かないようにしたいですね。まずは経験者の方と同行して、登山の心得や技術を教えてもらいながら徐々にランクを上げていきましょう。

グレーディングは万能ではない

グレーティングは無雪期、晴天の好条件での表示となっております。厳冬期や悪天候その他条件でグレードの低い山でも難易度は上がっていきます。典型的なのは富士山でしょうか。山開きをした夏の富士山は、高度が高いため高山病や急な天候不順に見舞われる可能性がありますが、基本的にはコース明瞭で比較的歩きやすく登りやすい山です。(富士宮口グレーティング5B)しかし、厳冬期の富士山は氷に包まれた極寒強風の世界。毎年滑落死亡者が出ており、相当熟練の登山者でないと登れない日本で最も難しい山の一つです。

グレーディングの低い山を登るときでも油断せず、もしもの場合を想定して万全の態勢で登山に臨みましょう。

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