CaptureNX-DでRAW現像をしてみよう 色かぶり修正
写真を撮ると何となく全体的に赤っぽいとか緑っぽい事があります。
全体的に特定の色に偏っていることを色かぶりといいます。
これは、写真を撮った時の光源色によって起こります。例えば、朝焼けの光の中で撮れば赤に偏るでしょうし、曇った日にとれば蒼っぽく偏ると思います。山登りで緑に茂山々を撮れば、緑色にかぶる傾向がでるでしょう。
これを適正な色にするにはホワイトバランスを調整しなければいけないのですが、撮影時に適切なホワイトバランスに都度調整して撮るのは結構難しいです。
もちろん昨今のカメラは自動でホワイトバランスを調整してくれますし、プリセットで晴、曇り、蛍光灯等様々な設定があらかじめカメラに入っているので、都度設定して使うことができます。
しかし、それでも撮影時に厳密に調整するのはやはり難しいですね。
そこで、RAW現像の出番となるわけです。
RAW現像で修正した写真は偽物だとか邪道だという方も多々いらっしゃいます。カメラをしっかり使いこなしてきっちり撮るという事からの考えだと思います。まずはしっかりと撮るというのは大前提なので否定しないのですが、JPEG撮って出しもカメラ内で現像されているわけで、カメラによって色の出方も変わってくるものです。それならば自らの手でなるべく記憶に近い色もしくは思い出に合う色に現像するのもありじゃないのかなと思っている次第です。
ちょっと話が逸れましたが、色かぶりをとってイメージした色合いに調整出来れば撮影もより楽しくなりますよね。
また、RAW現像でホワイトバランスの調整をすることで、撮影時にどんな色にかぶるか想像できるようになります。個人的にはRAW現像は実際の撮影の訓練にもなると思っています。
今回は、実際の色かぶり調整の例をあげてみたいと思います。私の我流ですので正解か否かはわかりませんが、参考になればと思います。
使用するソフトはNikon純正のCaptureNX-Dです。最初は無料で使えるソフトで慣れるのがいいですね。
RAW現像の実践
RAW現像の方向性を決める
今回の写真は、8月に南アルプス白根三山を縦走した時に撮った写真です。
この日は朝から雨が降っていて、稜線に出てからは結構寒い思いをしました。ガスもひどくて北岳山頂はほとんど視界がない状態。雨に打たれ、寒さに身を縮めながら北岳から北岳山荘に向かって歩いていた時の写真です。
山荘周りはガスが切れていて、雨も小ぶりになっていました。この写真ではガスが多いものの、全体的に少し緑がかぶっていて柔らかい雰囲気が感じられます。
実際はこんな感じではありませんでした。少なくとも個人的思い出色(記憶色というと何か月も前の色を覚えているのかと言われるのであえて思い出色と言います^^;))はこんな色ではなく、もっと寒々しい感じです。
あの時は寒さと疲労でヘロヘロになりながら歩いていたので、そのイメージになるように調整をしたいと思います。
まずはどうしたいのか方向性をしっかり決めるとやりやすいと思います。
露出を調整
まずは写真全体の明るさが適正かを確認するのですが、適用するピクチャーコントロールで結構明るさに違いが出るので、先にピクチャーコントロールを決めておくようにしています。
今回は最新のピクチャーコントロールにして、撮影時の設定(今回はスタンダード)を選びました。
次に全体の明るさをヒストグラムで確認します。ヒストグラムを見ると右側の明るい方が枠外に行ってしまっています。この写真の場合、雲の白い部分が多いのでこのようになっているのであまり気にしなくてもよいかと思うのですが、一応少し露出を下げて雲の部分のデティールが出る方向に調整します。
-1/2EV下げました。ヒストグラムを見ると右側の色が現れました。また、左側の暗い部分も枠外に行ってしまっているところはないのでとりあえずこれで良しとします。
ホワイトバランス調整
いよいよ今回のメインディッシュ、ホワイトバランスの調整です。
この写真はやや緑色にかぶっているので、ホワイトバランスウィンドウの色味をマゼンダ方向に振ります。動かしながら画像を確認して、ちょうどいいところを探してください。今回は初期値の-0.6⇒-1.5に少し動かしました。
緑色にもやっていたのが修正できました。
今回は触りませんでしたが、青や赤にかぶっているようであれば色温度も併せて調整してください。
微調整
レンズの歪み調整をしておきます。これはいつしてもよいのです。純正レンズを使用していれば自動歪み調整を使うことができます。昔のレンズやサードパーティーのレンズでは出来ません。
写真はNikon1J4とPD-ZOOM 10-30mmVRで撮ったものですが結構歪んでいるのが修正されます。
ホワイトバランスを触ることで大まかに調整出来ましたが、もう少し微調整して思い出通りの寒々しい感じになるようにします。
レベルとトーンカーブで赤・緑・青を触って調整します。
今回はもうちょっと寒い感じを出したいので青を強く、赤と緑を弱くします。ホワイトバランスの色温度で触ってもよいのですが、トーンカーブを触る方が微調整しやすいので、今回はこちらを使います。
また、暗いところをもう少し暗く、小屋のあたりを少し明るくしてコントラストをつけます。
これは同じくレベルとトーンカーブのRGB調整(白い線)をいじって調整しました。
コントラストの調整もトーンウィンドウでスライドゲージで調整できますが、トーンカーブを使った方が思ったところを暗くしたり明るくしたりと出来るのでこちらを使っています。
最後にシャープネスを調整して出来上がりです。
シャープはかけすぎるとノイズが出るので、等倍に拡大してノイズの具合を見ながら調整しています。
調整前後の比較です。いかがでしょうか。緑かぶりもとれて少し寒々しい感じになったと思うのですが・・・。
参考になれば幸いです。
では。