鈴鹿山脈で人気の竜ヶ岳へ紅葉狩り登山
目次
竜ヶ岳とは
三重県と滋賀県の県境に連なる鈴鹿山脈の中間あたりにある標高1099.6mのお山です。稜線から山頂まで笹に覆われていて、笹の中にはシロヤシオが点在し5月には白く咲き、紅葉時期には緑色の草原で赤く染まり美しい景色を見せる。初冬にはシロヤシオが霧氷を纏い、草原に佇む羊のようになり四季折々の景観が楽しめる。
山頂は広くて遮るものがなく360°大パノラマが楽しめ、街の近郊にある登りやすいお山であることから、週末はたくさんの登山者で賑わう。
今回のコース
登山口は旧国道にある石榑峠にもあるが、一般的には宇賀渓から登る人が多い。宇賀渓からも遠足尾根、金山尾根、中道とコースバリエーションが多彩。今回は遠足尾根から登り、金山尾根で降りるルートを選んだ。
登山口へのアクセス
東海環状自動車道大安ICを降りてから員弁バイパスを北上しすぐに国道421号線を西に。山間に入ると右手に宇賀渓入口の門がある。
門をくぐるとすぐに有料駐車場(500円/日)があります。駐車場は一台当たりのスペースが昭和時代の規格で狭い。駐車可能台数は見た感じではその他空きスペースもあわせて100台程なのではないかと思う。
駐車場は24時間フリーで入れます。係りの方は午前5:30くらいから入口に立つようです。定期的に駐車されている車をチェックされているので、事前に入った車はワイパーに請求書が挟まれている。帰りに係りの方に渡して支払いをしよう。
人気の山なので週末は日の出過ぎにはほぼ埋まってしまうようです。早めの到着を心掛けた方が良いかと思う。
ルート地図
今回は遠足尾根から登り、金山尾根で下りました。遠足尾根は名前からして小学生の遠足で使える尾根のような緩い印象を受けますが、最初の杉の樹林帯は結構急登です。森林地帯をでて笹原の稜線に到達すると、名前の通り遠足気分で山歩きが出来る。
下山の金山尾根は眺望的にはあまり見るところがない。印はしっかりあるが、コースは岩のある所など一部不明瞭なところがあるので下山で使う時は少し注意が必要だと感じた。登りで使う分には迷うことはないと思う。
今回歩いてみて、このコースで歩くなら登り金山尾根、下り遠足尾根の方がよいと感じた。
ルートタイム
往路 所要時間2時間28分
宇賀渓キャンプ場駐車場⇒21分⇒遠足尾根登山口⇒37分⇒岩山展望台⇒12分⇒遠足尾根・新道大日向分岐⇒15分⇒遠足尾根・大鉢山分岐⇒20分⇒遠足尾根展望良好⇒23分⇒金山尾根降り口⇒5分⇒治田峠分岐⇒15分⇒竜ヶ岳
復路 所要時間1時間35分
竜ヶ岳⇒15分⇒治田峠分岐⇒5分⇒金山尾根降り口⇒14分⇒金山尾根展望台(No.160)⇒23分⇒蛇谷分岐⇒4分⇒P587 (No.172)⇒9分⇒金山尾根入口⇒1分⇒魚止滝⇒2分⇒金山尾根入口⇒5分⇒白滝 (二筋の滝)⇒17分⇒宇賀渓キャンプ場駐車場
ルートデータ
- 出発時刻/高度: 06:17 / 250m
- 到着時刻/高度: 11:25 / 250m
- 合計時間: 5時間8分
- 合計距離: 11.56km
- 最高点の標高: 1082m
- 最低点の標高: 250m
- 累積標高(上り): 967m
- 累積標高(下り): 967m
- 荷物重量 : MAX12kg
- 消費カロリー :2540kcal
- 消費水分 : 0.5l
- 摂取カロリー : 約100kcal
登山レポート
遠足尾根から登る
午前6:20。めずらしく陽が昇ってから駐車場を出発。今回は紅葉を見るのが目的なので明るくなってから出発した。駐車場を出るとすぐに分岐があるが左側は通行止めらしい。右側を進んでいく。
登山口までは舗装された林道。駐車場から1.6km弱歩くと遠足尾根登山口がある。
名前はほのぼのとしたしているが、登り始めるとすぐにそこそこ急登になる。しばらく退屈な杉林の急登を登る。とても遠足気分で登れる道ではない。
「遠足尾根なんて名前は詐欺だ!」
等と思いながら登って行くと大きな岩の塊が現れた。岩山展望台と呼ばれるところである。登ってみると手前に4つほど尾根があり、その向こうに本日の目的地竜ヶ岳が見えた。ここから見ると結構遠くに感じる。
岩山展望台からさらに12分ほど登ると杉林の向こうに紅葉した樹林が見え、登りきると日向山と竜ヶ岳の分岐に到着。
日向山側にはロープが張ってあり、看板には日向山への登山道は整備されていない旨が記載されていた。ヤマレコを見ると踏み跡はあるが、一般的な道ではないようだ。
ここからの道は赤と黄色に彩られた紅葉の森を歩く登山道になる。傾斜も緩くなるところが多くなり、ようやく景色が楽しめるようになる。
これこそ遠足尾根
しばらく紅葉の中を歩いていると、突然視界が開けて笹に覆われた稜線にでる。開けた眺望を眺めると3つほど向こうのピークが竜ヶ岳だと認識できる。道もやや緩やかになり、開放的であるこの稜線はまさに遠足尾根。たまに足を止めて景色を眺めながら気分良く登れる登山道だ。
残念ながら稜線上の紅葉はすでに終わっており、あたりは初冬の様相になっていた。
目を凝らすと、海辺には煙突から昇る煙が見える。四日市の街か。伊勢湾を照らす日の光から、海沿いは晴れている感じ。
登って行くと一部の場所だけに丸い塊の植物が群生していた。google lensで調べたけどイマイチ一致するものがヒットしない。花でも咲かせるのだろうか。
遠足尾根と金山尾根の間にある谷は以前は登山道があったらしい。ヤマレコのルートマップでもしっかりと掲載されているが足跡が全くない。危険な箇所が点在していて遭難が多かったため現在は廃道となっているようだ。
谷を見下ろすと、道跡が谷に向かって伸びている。金山尾根分岐へ登る急登手前に分岐があったらしい。
山頂へのビクトリーロード
金山尾根との分岐へ登りきると、遠足尾根の全貌が眺められる。1,000mそこそこの山だが、ずいぶん高山に来たような景色だ。
金山尾根の分岐を過ぎるといよいよ目前にラスボスの竜ヶ岳の全容が見える。笹に包まれた抹茶団子のようなきれいな山だ。山頂へ続く登山道を登る人結構見える。
竜ヶ岳手前のP1053をトラバースする登山道を歩いていく。斜面にはたくさんのシロヤシオが群生している。初夏には白い花を咲かせて、秋には真っ赤に紅葉する。この日はすでに紅葉シーズンは過ぎてしまっていて茶色くなっていたが、晴天の日に時期が合えば緑と青と赤のコントラストがさぞかしきれいな事だろうと思った。
山頂への最後の登りは緑の給料へ続くビクトリーロード。すごく綺麗な景色だ。それゆえに天気が悪いのが残念。
登りながら振り返ると斜面にシロヤシオの群生が目に入る。あれが真っ赤だったらと思うと2週間来るのが遅かったと残念に思った。
そして竜ヶ岳山頂に到着。標高1099.6mなら1,100mと表記をすればよいと思うのだがなぜ敢えて1099にこだわるのだろうか?
山頂はとても広く、どこでも休憩可能。遮るものが何もなく360度の大パノラマが堪能できるはずだったのだが、この日の山頂はガスに包まれていてほとんど眺望なし。下から吹きあがってくる強風とガスでとても寒かった。
立派な展望盤が設置されていたが全く役に立たず。
山頂でしばらくガスが晴れるのを待ってみたが、全く晴れそうな気配がない。同じタイミングで登った方々も続々と降りていく、山頂から直接下れる中道で降りていく人が多かった。私も諦めて早々に下山をすることにした。
金山尾根を降りる
金山尾根の分岐まで登ってきた道を引き返す。下からは続々と登山者が登って来る。これだけの人が登って来るのだからちょっとは晴間を見せてくれてもよいのに等と思いながらゆっくり下る。
金山尾根分岐手前で見えるガスに包まれた山がおそらく藤原岳だろう。東側が採掘されて無残な姿になっている。普段の生活で採掘されたものを享受しているとはいえ、山の姿を見ると忍びない。
分岐標識から金山尾根を降りていく。この尾根はさほど眺望はよくなく、ずっと樹林帯の中を歩く。紅葉が残っているので多少良かったが、遠足尾根のような景色を楽しめるようなところはない。
最初は隣に見える遠足尾根を横目に眺めながら高度を下げていく。
No.160の札が振ってあるポイントまでは時々竜ヶ岳の姿を眺めることが出来る。この尾根を登りで使えば目標を眺めながら登れて励みになりそう。
さらに下って完全に樹林帯に入ると岩場などで踏み跡が不明瞭になるところがある。木にしっかりした印が付いているので、それを見ながら降りれば問題ないがこの尾根を下山で使う時は注意が必要かと感じた。登りで使う分には全く問題はなさそうである。
中腹まで下ると紅葉した森を歩く道になる。
途中、中道からの合流があり、さらに下ると魚止滝との分岐がある。滝は分岐からすぐのところにあるので余裕があれば見ていくのがよい。
滝の分岐の先に橋があり、橋を渡って下ると丸太橋での渡渉がある。丸太橋を渡って階段を登ると東屋があり、そのすぐ先に遠足尾根の登山口。ここまで来れば舗装道路なので安心して戻れる。
竜ヶ岳は街の近郊から気軽に登れて、稜線から山頂までの景色がすばらしい。初夏はシロヤシオ、秋は紅葉、冬は雪も積もるので四季折々の季節で景観を楽しめるよい山だと感じた。道もよいのでトレランの訓練をしている若者もポツポツ見かけた。鈴鹿山脈の山は御池岳や霊仙山を登ったことがあるが、それぞれ特徴が違って面白い。鈴鹿には御在所岳や鎌ヶ岳など他にもよさそうな山があるのでまた来てみたい。