カメラのセンサーサイズの違いによる画質の比較をしてみた
センサーサイズによる写りの違い
センサーの大きさによってどのくらい写りが違うのか実際に試してみました。
テストをするのはISO感度による画質と被写界深度。フルサイズと比較して小さいレンズがどの程度違うのかjpg撮って出しで確認してみます。
テストに使用したカメラとレンズは下記のとおりです。
- Nikon Z6+TAMRON SP24-70mmF/2.8 Di VC USD G2
- NikonD7200+AF-S DX Nikkor 18-55mmF3.5-5.6G VR2
- Nikon1J4+1Nikkor 10-30 F3.5-5.6 VR
カメラボディを簡単に紹介すると、Z6はフルサイズのミラーレス機で2018年発売の現行機。D7200はAPS-Cの一眼レフ中級機で2014年発売。すでに旧モデルですがまだまだ現行機にも負けていません。J4は1インチセンサーを搭載したミラーレス機。すでにNikon1シリーズが絶版となっています。
テストは焦点距離70mmで行いました。D7200とJ4はそれぞれ換算70mmになる様にそれぞれ46mmと26mmにセット。
ISO感度テストでは絞りをF8にして、被写体の輪郭がなるべくボケないようにしました。暗所とハイライト部を確認できるように、暗い被写体を三脚固定で長秒露光をして撮影しました。ISO感度を基準感度、ISO400、ISO800、ISO1600、ISO3200、ISO6400で撮影し比較。
被写界深度テストは焦点距離は同様に70mmおよびフルサイズ換算70mm、絞りF5.6で実施。D7200とJ4はテレ端解放がF5.6なので。
被写体はNikkorZ 24-70mmF4Sです。選んだ理由は胴鏡がのっぺりしていて、ピントリングの細かいところと平らなところの比較が見やすいかなと思ったから。
マイクロフォーサーズ機は持っていないので今回はテスト出来ませんでした。登山には最適だと思っているのでチャンスがあれば使ってみたいですね。
実写比較
ISO感度毎の比較
暗所でレンズの後ろから光を当てて輪郭を浮かび上がらせつつ、斜めからも光を当てて胴鏡にハイライトを入れて明るいところと暗いところのノイズとデティールを見るようにしました。まずは基準感度となるISO100から(J4はISO160が基準感度)始めました。
基準感度ではJ4でも結構綺麗に撮れていますが、J4はレンズの影にすでにノイズが少し出ています。あまり気にするほどではありませんが。
ISO400はどれも基準感度とさほど変わらなかったのでISO800で比較。Z6とD7200は綺麗に撮れていますが、J4はレンズマウントキャップのディテールが若干崩れてきており、カラーノイズものってきていています。
ISO1600もZ6とD7200はまずまず良好だったので飛ばしてISO3200で比較。Z6は相変わらず綺麗ですが、D7200が影にノイズがのりだしてきました。J4はすでに画質崩壊しかかっています。
ISO6400になると、Z6も影に若干のノイズとレンズマウントキャップが気持ちディテールが崩れ始めてきたようにも見えます。D7200はだいぶんノイズが出てきていますがまだある程度ディテールを保っています。J4は全体にノイズが載っていてディテールが崩壊しています。ここまで来ると小さい画像でも使えないですね。
今回のテストではZ6はISO6400でも十分な画質を保っていました。D7200もISO3200まではまずまずの画質でブログやSNSならISO6400くらいまでは使えそう。実際に登山で使っている感覚通りの結果が出ました。
現像耐性比較
次は同一ISO感度で撮影し、現像ソフトで露出を上げた時の画質の差を見てみます。露出を上げるとノイズが顕著化するので画像の情報量の比較が出来ます。
今回のテストではISO800、絞りF8で撮影したRAWデータをAdobelightroomで同一条件で現像しました。
現像条件は
- 色温度:6000
- 色かぶり補正:0
- プロファイル:Adobeカラー
- 露出:+5.0
- シャープ:適用量0
- その他パラメーターはすべて0
とし、露出以外は現像による影響を極力与えないようにしました。結果は下記のようになりました。
Z6はノイズがそれなりにのっているものの結構ディテールがしっかりしています。D7200もノイズの量は多いものの意外とディテールは残っています。J4は全体が緑色に変色してノイズが多くなっています。こうしてみるとセンサーサイズの差が如実に現れますね。
今回のテストではD7200が意外と頑張っていて、APS-Cも捨てたものではないなと思いました。使い比べて感じていた差ほど結果に表れなかったという感じです。
実際にZ6とD7200の両方を使っている感覚ではノイズ耐性は2段くらい違うように感じています。Z6はISO12800でも結構使える画像を吐き出してくれます。D7200はISO3200がリミットという感覚で使っています。
J4についてはISO800以下で使うようにしています。登山で使っていると基準感度でも晴れた日の木陰など暗部にノイズのってディテールが崩れる時もあるので、画質重視ならメインで使うのにはお勧めしません。
被写界深度比較
前後に被写体を並べて前にピントを合わせて後ろの被写体のボケ具合を比べてみました。3台とも焦点距離70mmおよび相当、F5.6、ISO160で撮ったのですが、D7200が明るい感じになってしまいました。レンズによって色味も変わって来るのでその影響でしょうか。
ボディの大きさが3台とも違うので、3脚を固定してでの撮影では同じようには写りません。Z6が一番大きなレンズを付けていたので、これを基準になるべく同じ感じになる様に調整しました。人形はもちろん固定です。
結果を見るとAPS-Cも結構よくボケていますね。フルサイズとAPS-Cのボケ具合の差は概ね1段分程度と言われています。つまりF5.6であればフルサイズのF8相当のボケ具合になります。マイクロフォーサーズで2段分程度、1インチは3段分くらいでしょうか。テストでは長めの焦点距離で割と近接撮影をしたので、あまり差が出なかったですね。
ボケの量は焦点距離とピント位置から背景までの距離、ピントを合わせた被写体までの距離で変わってくるので小さなセンサーでも条件によってはボケないことはないです。
センサーサイズは大きいのが正義?
より良い画質を求めるならセンサーが大きいものを選ぶ方が良いのはISO感度テストを見てもわかります。ボケの量もセンサーが大きい方がよくボケます。だからセンサーが大きい方がいいのだ、というわけではないと思います。
ボケの量については、ポートレート撮影等でよく見かけるように背景をボカしたい時はセンサーが大きい方がいい。
でも、テーブルフォトや風景撮影などでは被写界深度が欲しい時もあります。小さいセンサーの方が被写界深度が深いので、フルサイズよりも明るいF値で撮ることが出来ます。
フルサイズでF11が必要な時にマイクロフォーサーズならF5.6で同じ被写界深度を撮ることが出来ます。2段明るいのでその分ISO感度を2段分落として画質を改善したり、シャッタースピードなら4倍速い設定で同じ露出で撮影できます。
また、小さいセンサーは画角が狭くなるので、短い焦点距離でもフルサイズより望遠効果を得られます。具体的にはAPS-Cだと1.5倍、マイクロフォーサーズだと2倍です。フルサイズでは巨大になる長望遠システムをマイクロフォーサーズなら半分以下のサイズで作れてしまいます。
使用目的と使用環境によってはフルサイズよりAPS-Cやマイクロフォーサーズの方が有利になる場合もありますので、使用用途に応じて何がいいかよく考える必要がありますね。
センサーサイズによるカメラの違いについては下記のページで扱っております。