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冠雪した富士山を眺めに 雪頭ヶ岳・鬼ヶ岳を雪山登山

2021/02/13
 
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雪頭ヶ岳・鬼ヶ岳ってどこの山?

富士山の北側を囲む御坂山塊のちょうど真ん中あたりに位置するお山。ちょうど西湖の北側に位置する。標高は雪頭ヶ岳1710m。鬼ヶ岳1738m。

雪頭ヶ岳は西湖と富士山を眺められる絶景ポイントとして有名。山頂は斜面が開けていて眼下に西湖、正面に左右均等に伸びる稜線が美しい富士山の姿が見られる。おそらくここから眺める富士山が一番形が美しいのではないか。

また、東側は山中湖から河口湖界隈、西は天子山塊や青木ヶ原樹海と180°眺望が開けていて見晴らしもいい。

根場の里から2.5~3.0時間ほどで登って来ることができる。富士山を眺めながら昼食をとったり、コーヒーを飲んだりと登山を楽しむにはちょうどよい場所だ。

一方、鬼ヶ岳は山頂に山の名前の由来となっているであろう鬼の角のような岩がある。あまり人気のない山というより通りがかりの山のようなイメージだが、山頂界隈からの眺望は素晴らしい山である。南アルプス、八ヶ岳、奥秩父、もちろん富士山とこのあたりの景色を一望できる御坂ではほぼ唯一の山頂だ。

個人的には御坂で一番好きな山である。

雪頭ヶ岳からすぐに行ける山なので是非寄ってみてもらいたい。

今回のコース

根場の里にある登山者用駐車場から雪頭ヶ岳へ。標高差は800m。登山道は九十九折れで急登は少ない。一部足場の悪い場所があるが基本的には登りやすい山。

雪頭ヶ岳から鬼ヶ岳までは15分程だが、足場が悪い岩場がいくつかあり今回のコースの核心部となる。特に冬場は凍結するので滑落に注意が必要だ。

鬼ヶ岳から鍵掛峠は急峻な道や岩場のあるやや難易度が高いコース。ところどころにある岩場からの眺望は抜群。足元に細心の注意を払いながら歩こう。

鬼ヶ岳山頂近くからの眺望
鬼ヶ岳山頂近くからの眺望

鍵掛峠からの下山道は眺望のない退屈な道となる。若干斜面をトラバース的に歩く場所もあるが基本的にはそれほど危険はない。

登山口へのアクセス

国道139号線を西湖方面へ走り、県道21号線へ入り西湖野鳥の森公園方面へ。野鳥の森公園を超えると西湖いやしの里根場の藁ぶき屋根付き看板が左手に現れるので、そこを左手に入っていくと右手に大きな駐車場がある。

手前の未舗装の広場が登山者用駐車場として無料で開放されている。100台くらいは停められそうな広い駐車場なので、満車になる心配はない。

ルート地図

ルートタイム

根場の里⇒雪頭ヶ岳 所要時間153分

いやしの里根場登山者用駐車場⇒20分⇒東入川砂防堤公園⇒4分⇒東入川砂防堤⇒129分⇒雪頭ヶ岳

雪頭ヶ岳⇒鬼ヶ岳⇒鍵掛峠⇒根場の里 所要時間138分

雪頭ヶ岳⇒8分⇒鬼ヶ岳⇒69分⇒鍵掛峠⇒58分⇒西湖いやしの里根場⇒3分⇒いやしの里根場登山者用駐車場

ルートデータ

  • 出発時刻/高度: 03:25 / 920m
  • 到着時刻/高度: 10:30 / 921m
  • 合計時間: 7時間5分
  • 合計距離: 8.3km
  • 最高点の標高: 1703m
  • 最低点の標高: 911m
  • 累積標高(上り): 870m
  • 累積標高(下り): 870m
  • 荷物重量:14kg
  • 消費カロリー3,385kcal

登山レポート

暗闇の中を雪頭ヶ岳へ向けて登る

2021年1月31日AM3:30。根場の里を出発。今年の静岡の冬は降雨がほとんど無く、富士山がほとんど冠雪しない。年末に若干冠雪したが、すぐに風で飛んでしまった。真冬になっても夏のようにスッピンの富士山など初めてだったが、今週の初めにようやくしっかりとした雪が降り、富士山がきれいに雪化粧をしてくれた。

雪のあるうちに行かなければ!と富士山が一番美しく見える雪頭ヶ岳から朝日に照らされる富士山を見ようと2時間半の時間をかけてここまでやってきた。駐車場は10cmほど雪が積もっていた。チェーンスパイクで軽い雪山ハイクも楽しめる。

根場の里駐車場
根場の里駐車場

登山口への道もしっかりと雪が積もっている。踏み跡がたくさんあり、山中でラッセルということはなさそうである。暗闇の中で登山道が雪に覆われていると、道がわからなくなるので、トレースがあるのは非常に助かる。

登山口への道
登山口への道

このコースは何度か歩いているが、雪のナイトハイクは2度目。登山口の階段を上がって防砂堤から先が少しわかりにくいが、その後は基本的に踏み跡がしっかりしていてたまに看板もある。

道標
道標

暗闇の登山道を黙々と登っていく。登山道は九折の登山道になっていて急登な場所はそれほどない。基本的には歩きやすい登山道。

はじめはずっと杉の森を歩いていくが、行程の2/3ほど登ってくるとブナの森に変わる。

ブナ原生林標識
ブナ原生林標識

ブナ林をしばらく登っていくと、視界が開けて富士山が間近に現れる。ここまでくれば山頂までもう少し。尾根の裏に回ったりまた戻ったりをしながら、山頂を目指して登っていく。ここに来るまではずっと暗闇の樹林帯を黙々と歩いてきたので、富士山が見えたときは

「おお〜!」

と声が上がる場所。一気に辺りが開放的になりスッキリする場所だ。

雪頭ヶ岳から朝日と富士山を眺める

AM6:00。駐車場から2時間半程かけて雪頭ヶ岳山頂に到着した。概ね予定通りだが、思ったより空が明るくなるのが早かった。あと30分早く出るべきであった。

東の空が赤く焼け、富士吉田市の街明かりが美しく光っている。いい時間に間に合ってよかったが、のんびりしている時間はない。そそくさと撮影の準備をする。

夜明けの富士吉田市の街
夜明けの富士吉田市の街

一応山頂標識も撮っておく。東の空以外はまだ暗い。

雪頭ヶ岳山頂標識
雪頭ヶ岳山頂標識

暗い中手持ちで富士山も撮影。山頂に登ってくるまではNikon Z6にAi Micro Nikkor 55mm F2.8を付けてきた。標準に近い画角でハーフマクロのマニュアルフォーカス。古いレンズだが寄っても引いても精細に写って万能に使えるので結構気に入っている。気になるのはフォーカスブリージングが酷いところくらいか。

手持ちで撮影富士山
手持ちで撮影富士山

カメラは2台持参してきた。Nikon Z6とNikon D7200。Z6は動画とスチル撮影用に。D7200は雪頭ヶ岳山頂でタイムラプス撮影をするためだけに持ってきた。残念ながら私はフルサイズ用の超広角レンズを持っていないのと、インターバル撮影ができるカメラがZ6とD7200しか持っていない。ボディ内手ブレ補正と4k撮影があるZ6で動画を撮りたいので、必然的にタイムラプスはD7200となる。

西湖と富士山
西湖と富士山

タイムラプス(正確には帰宅後にタイムラプス映像にするためのインターバル撮影)撮影のためにD7200をセットしてからZ6であたりを撮る。タイムラプスをしていると何もすることがなくなるので、カメラもう一台は必須だ。

走行しているうちに日が昇ってきた。

雪頭ヶ岳山頂での日の出と富士山
雪頭ヶ岳山頂での日の出と富士山

富士吉田の街の向こう側から日が昇ってきた。紅葉と富士山のコラボで人気の二十曲峠の辺りからだろうか。

薄っすら残る山頂の雪がマゼンダに染まって美しい。

ご来光
ご来光

富士吉田の街に朝日が注ぐ。雪に反射する光の色がマゼンダからイエローに変わっていく。

光が注ぐ
光が注ぐ

日の出の時間は太陽の方角ばかりを向きがちだが、晴天の日は反対側を見るとビーナスラインが出て空のグラデーションが美しい。

天子山塊と青木ヶ原樹海をきれいに映える。

青木ヶ原樹海
青木ヶ原樹海

ひとしきり日の出ショーを眺めたあとしばらくタイムラプス撮影を継続するため山頂に待機。暗いうちから撮っているので、インターバル撮影の間隔が20秒と長くとっていた。タイムラプスにするのに最低300枚は欲しい(30フレームで10秒の映像分)ので、このペースで撮っていると1時間で180枚しか撮れない。

山頂に到着ご準備をして6時20分くらいから撮り始めていたので、8時位までは撮らないと必要枚数が撮れないし、日が昇ってしばらくの映像も必要。タイムラプスって大変だ。

鬼ヶ岳、そして鍵掛峠へ

AM8:00。タイムラプス撮影を終えて雪頭ヶ岳山頂から鬼ヶ岳へ向かう。

この区間は一部岩場の急登や足場の悪い箇所があり、今回のルートの核心部。日の出前の雪頭ヶ岳の温度は手元の温度計で−13℃程で、ザックにつけていたペットボトルが凍って飲めなくなるほどだった。

鬼ヶ岳までの区間も岩が凍りついて滑落の危険があるので十分に注意して歩いた。

この区間は樹林と岩場を繰り返しながら歩くルートで、眺望が開けると東には御坂の岩山の殿堂十二ヶ岳や、ロッククライミングと富士山の眺望が有名な三ツ峠山、黒岳が見える。

十二ヶ岳、黒岳、三ツ峠山
十二ヶ岳、黒岳、三ツ峠山

もちろん富士吉田市も一望できる。

凍った枝と富士吉田市
凍った枝と富士吉田市

北側には八ヶ岳と甲府盆地。この日の八ヶ岳は雲に覆われていていた。八ヶ岳の手前には偽八ヶ岳と呼ばれる茅ヶ岳が見える。昨年の12月に太刀岡山から茅ヶ岳まで山梨百名山4座縦走をしたのを思い出す。このレコもまたそのうち書こうと思う。

八ヶ岳と甲府盆地
八ヶ岳と甲府盆地

西側を眺めると、南アルプスオールスターズを眺められる。甲斐駒ヶ岳から聖岳まで南北にずらりと並ぶ3,000m級の山々は圧巻である。

白峰三山と鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳
白峰三山と鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳

白く冠雪する南アルプス。塩見岳、悪沢岳、赤石岳、聖岳(もしかしたら上河内岳かも)。御坂山塊でこれだけ周囲の眺望の良い場所は他にはない。鬼ヶ岳の山頂までの山道で見られる景色が御坂では一番気に入っている。

塩見、悪沢、赤石、聖
塩見、悪沢、赤石、聖

雪頭ヶ岳から鬼ヶ岳までは15分とかからない。道はやや危険だがついでに来られる山頂である。この山頂は奥秩父、八ヶ岳、南アルプス、天子山塊、富士山、三ツ峠山方面と周囲をぐるりと見渡せる眺望の良い場所。雪頭ヶ岳へ来たならぜひ寄ってもらいたいピークだ。

鬼ヶ岳山頂標識
鬼ヶ岳山頂標識

鬼ヶ岳山頂からの富士山雪頭ヶ岳の横から見ることができる。

鬼ヶ岳からの富士山

十二ヶ岳とその向こうに富士吉田市の街と河口湖。街の向こうには杓子山が見える。

十二ヶ岳と富士吉田市
十二ヶ岳と富士吉田市

鬼ヶ岳山頂から鍵掛峠のある西側の稜線を降りていく。鬼ヶ岳と鍵掛峠の間の山道は岩場のアップダウンが多く、足場の悪いところがやや多い。雪頭ヶ岳と鬼ヶ岳の間のルート同様少し危ない。

しかし、岩場からの眺望は抜群で、周囲の景色を見渡すことができる。余裕があるならこちらを周って行くのもおすすめだ。

富士山と雪頭ヶ岳へ登った尾根
富士山と雪頭ヶ岳へ登った尾根
稜線の雪道
稜線の雪道
根場と青木ヶ原樹海
根場と青木ヶ原樹海

通常なら30〜40分ほどで鍵掛峠まで来られると思うが、足元注意と写真撮影をしながらボチボチ歩いてきたら一時間以上かかってしまった。のんびり歩くのもまた登山である。

鍵掛峠
鍵掛峠

鍵掛峠からの下山路はあまり眺望もなく結構退屈な道だった。黙々と降りていって一時間ほどかけて駐車場に戻った。

山道の杉林
山道の杉林

下山をするといやしの里根場の裏側に降りてくる。コロナ禍前までは主に外国観光客で大いに賑わっていた場所だが、現在では観光客も来ることもなく臨時休業を余儀なくされている状況だ。

早くもとの賑わいを取り戻してほしいものだ。

使用撮影機材

カメラ

●Nikon Z6 ●Nikon D7200

レンズ

●Nikkor Z 24-70mmF4S ●Ai Micro Nikkor 55mm F2.8S ●SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 HSM

その他

●Manfrotto befree advanced ●Manfrotto Pixi Evo ●Peak Design Capture V3 ●Lowepro 50AWⅡ

雪頭ヶ岳・鬼ヶ岳山行動画

その他御坂山塊登山レポ

富士山の眺望で有名な新道峠へ

岩登り登山の入門山、十二ヶ岳へ。

三ツ峠山から黒岳、新道峠を経て周回

王岳、鬼ヶ岳、節刀ヶ岳縦走

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