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新道峠 初心者でも行ける富士山撮影ポイント。でっかい日本一を眺めながら御坂のお山を散策

2020/05/03
 
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はじめに

御坂山塊は富士山の北側で東西に連なる1700m前後の山脈である。東は富士山の撮影地として有名な三つ峠山から西は富士五湖最西の本栖湖までずっと山の稜線を歩いて行ける(行こうと思えばだが)人気の登山道である。

その中でも新道峠は冬季以外は車で峠直下まで来ることができる有名な富士山撮影ポイントである。冬季は林道が車両通行止めとなるため鈴蘭群生地駐車場から遊歩道と林道を歩くことになるが、それでも小一時間で着くので登山をする方からすれば非常に行きやすい場所であることには変わりはない。

今回は新道峠で朝を迎えてから日本産百名山の黒岳と山梨百名山釈迦ヶ岳を周回する計画を立てた。黒岳は新道峠と並び富士山展望地として人気の山。そして今回最大の目的の釈迦ヶ岳は全国的にはマイナーであるが、南アルプスや八ヶ岳・奥秩父と山梨県が誇る名山を一望できる大展望地として登りやすい事からも人気がある山である。一度訪ねてみたいと思っていたが、今回その機会が訪れたのであった。

アクセス・コース

登山口

鈴蘭群生地の大きな駐車場。スズランが咲き乱れるシーズンには大勢の観光客が乙津れるようだが、オフシーズンは静かなもの。駐車場から遊歩道を経て舗装された林道を歩いて新道峠へ至る。

ルート地図

ルートタイム

スズラン群生地駐車場⇒44分 ⇒ 新道峠 ⇒ 7分 ⇒ 新道峠第一展望所⇒6分⇒破風山⇒8分⇒すずらん峠⇒20分⇒黒岳⇒3分⇒黒岳展望台⇒3分⇒黒岳⇒29分⇒すずらんの里分岐⇒17分⇒日向坂峠⇒23分⇒府駒山⇒33分⇒釈迦ヶ岳⇒28分⇒檜峯・すずらん十字路⇒10分⇒作業道終点⇒12分⇒釈迦ヶ岳登山口⇒43分⇒スズラン群生地駐車場

ルートデータ

  • 出発時刻/高度: 04:35 / 1349m
  • 到着時刻/高度: 12:34 / 1349m
  • 合計時間: 7時間59分
  • 合計距離: 13.6km
  • 最高点の標高: 1779m
  • 最低点の標高: 1125m
  • 累積標高(上り): 1036m
  • 累積標高(下り): 1055m
  • 荷物重量 : MAX15kg
  • 消費カロリー :3032kcal
  • 消費水分 : 0.3l
  • 摂取カロリー : 0kcal

持ち物

  • ザック kestrel38
  • 登山靴 mont-bell タイオガブーツ
  • 手袋 mont-bellメリノウール メーカー不明防水手袋
  • アウターウェア mont-bellロッシュジャケット
  • ミドルレイヤー mont-bellクリマプラス100ジャケット
  • ベースレイヤー mont-bellスーパーメリノウールEXP.
  • パンツ mont-bellストライダーパンツ
  • 靴下 mont-bell製
  • 防寒着 UNIQLO ULTRALIGHTDOWN
  • 防寒着 mont-bellウインドブラストパーカー(未着用)
  • レインウェア mont-bellレインダンサー(未着用)
  • ストック メーカー不明(未使用)
  • GPS GARMIN62S
  • ヘッドライト blackdiamond spot
  • カメラ NikonD7200 Nikon1J4
  • レンズ TAMRON SP24-70F/2.8G2、SIGMA8-16mmF4.5-5.6、AF-S Nikkor55-200mmDX F4-5.6GⅡ、nikkor1 10-30PD、nikkor1 30-110
  • 三脚 manfrotto befree advanced、manfrotto PIXI EVO
  • その他 帽子 行動食(ゼリー×2、カロリーメイト×2、ラーメン×3)飲料水1.5L 救急セット コッフェル プリムスバーナー 懐中電灯 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート

登山レポ

暗闇の中鈴蘭群生地から新道峠へ

午前4:35。真っ暗な静蘭群生地駐車場を出発。空を見上げると雲一つない快晴。街燈一つない暗闇の世界なので町で見るのとは比較にならないほどたくさんの星が頭上に瞬いている。ヘッデンの灯をつけてまずは静蘭群生地遊歩道を目指した。

遊歩道の入り口には電気柵が張られていた。オフシーズンにイノシシが芽を食べてしまわないように対策をしているようだ。昔はこのようなことをしなくてもしっかり群生地が保てたに違いないが、現在ではイノシシも食べるものに困って出没するのだろう。人の手が入るとどうしても自然のバランスは崩れてしまうのだろう。

すずらん群生地遊歩道電気柵

遊歩道からすずらん峠の標識に従って登山道を登ると程なく舗装された林道に出る。斜め左にすずらん峠への登山口が見えるが、今回は新道峠へ行くので舗装道路を登っていった。この林道は山の北面についているためおそらく一日中ほとんど日の光が当たることはない。そのためかここだけ凍結した雪が各所で残っていた。滑り止めを着けるほどではないが足元に注意して歩いて行った。

登山道入口
車道を覆う凍った雪

舗装道路の終着点は小さな駐車場になっている。4台ほど駐車が出来そうだ。わきに新道峠への登山口が着いていた。しっかりした階段がつけられており足場に不安はない。標識では峠まで10分と記載されていたが5分余りで到着した。

新道峠入口
新道峠

新道峠第一展望所で撮影

新道峠から東に歩くとすぐに第二展望所の看板が現れる。ここでもよいのだがもう少し先の第一展望所の方がメジャーな撮影ポイントだろう。峠から10分弱で到着すると3名の若者が先着していた。

私と同様に鈴蘭群生地から来たとのことだが、車は私とは別の場所に駐車したようであった。暗闇で光る目があって怖かったと言っていたので夜間行動はあまりしたことがないようであった。私も最初は鹿の光る目に相当ビビっていたものだが今では何とも思わなくなった。慣れとは恐ろしいものだが、慣れたからと言ってイノシシ・クマ出没時の対処能力とは全く別の話なので、むしろただ精神的に無防備になっているだけとも言える。

そんなことを思いながら夜明け前から日が昇るまで第一展望所で撮影を続けた。

日の出前の第一展望所

この日は風が強く稜線の北側は強風に樹木が軋む音が響いていた。顔に当たる風がまさに凍るようで、バラクラバを持ってこなかったのを少々後悔した。展望所は南側なので風は避けられたが、気温はかなり低く手持ちの温度計で-12℃を指していた。

温度計

そうこうしているうちにも日はどんどん昇ってくる。朝の日の出ショーを夢中で撮影した。

赤富士タイム
富士山

若者達は赤富士の時間が過ぎると早々に引き揚げていった。日の光を浴びる富士山と富士吉田の街もなかなか見ごたえがあるにもったいないと個人的には思った。

河口湖と富士山
朝を迎えた富士吉田の街

日本三百名山黒岳へ

黒岳は御坂山塊主峰にして日本三百名山に数えられるこの地の名峰である。とはいえ新道峠から黒岳への道は至って平穏。歩きやすく急な道も少ない。ファミリーハイクにちょうど良い山である。

黒岳山頂は全く眺望がないが、南側に5分ほど行ったところに富士山と河口湖を一望できる展望所がある。地元では有名な場所で休日にはたくさんの登山者がここを訪れては富士山を眺めるのである。

黒岳展望所からの富士山

黒岳へは御坂山方面からや御坂トンネルからなどいくつかのルートがあるが、新道峠からが最も手軽に登れるルートだろう。新道峠から40~50分程で山頂に到着する。道も前述したとおりなだらかで歩きやすい。山頂から日向坂峠(どんべい峠)方面へ下ると途中に鈴蘭群生地へ降りる分岐があるので、ここを使えば手軽に周回することも出来る。冬季以外なら新道峠直下まで車で来てピストンというのも良い。これなら幼児でも連れていくことも可能だろう。大きな富士山を眺めるハイキングにはうってつけの登山道だと思う。

午前7:30あたりから新道峠展望所を後にして黒岳へ向かう。途中破風山とすずらん峠を通過する。右前から木々の隙間から差す日の光がつくる山道の陰影が綺麗だ。この時間帯の山道歩きはいつも気持ちがいい。

朝日の中の山道

破風山は小さな標識が三角点の隣に刺してなければピークとは気づかない緩やかな山。それを越えるとすぐにすずらん峠に到着する。すずらん峠からはやや急登の九十九折れの山道になるが登りやすくあまり問題はない。午前8:00に黒岳山頂に到着した。そのまま南にある展望所へ移動する。

破風山山頂
すずらん峠

展望所からの富士山は絶景だ。北側から見る富士山が一番綺麗な形をしていると常々思う。冠雪した山頂付近がグッとしまっていて左右の稜線がなだらかで左右対称。富士山はどこから見ても似たような形をしていると思われがちだが、やっぱり見る場所それぞれで若干印象が違う。朝霧高原から見る富士山は骨太でがっちりした感じが印象的である。

展望所でしばらく富士山と南アルプスの眺望を満喫すると山頂に引き返した。
いよいよ本日のメイン釈迦ヶ岳へ向かう。

ガレ場の山頂釈迦ヶ岳

黒岳山頂からすぐ東に日向坂峠への分岐があるのだが、分岐があると思っていないと少しわかりづらい。大きな標識があるのだが、そこには御坂山と黒岳と書いてある道標の上に「ドンベイ峠」と記されたついでにつけたような小さな道標がついているだけで分岐とは思わないような標識だ。

この分岐を北に行くと間もなく下り道に。ここは日が当たりにくいためか雪が少し残っていた。緩やかな下り道を降りていくと右手に三つ峠山が見える。間もなく急な下りの山道になった。踏み跡は明瞭なので道迷いはないが、意外と浮石が多く足を取られやすい。下りの時は少し注意したほうがいい道だ。

下りはじめ
三つ峠山

急な下りが終わるとすずらん群生地へ降りる分岐が現れた。とはいえ、標識は上芦川と記載されているだけである。地図を見るとこの分岐を降りるとすぐに林道に出て駐車場まで戻れるようだ。しかし、降りることはせずこのまま日向坂峠へ向かう。しばらく進むと下に林道が見えてきた。次第に林道に近づいて行って最後には林道ゲートに降りた。ここが日向坂峠のようだった。もっとも地図には日向坂峠と記されているのだが、実際の標識にはどんべい峠と書かれている。釈迦ヶ岳へのハイキングコース用に親しみやすい名前に変更したのだろうか。

駐車場への戻りの分岐
どんべい峠ゲート
どんべい峠釈迦ヶ岳登山口

どんべい峠からのコースはなだらかなアップダウンを繰り返す稜線の登山道。所々に山梨の景色を見渡せるところもある。雲一つない青空の元山道を進んでいく。中間点となる府駒山山頂に着くと釈迦ヶ岳まで35分の標識がある。ここから先が本日のコースの核心部となる。

登山道での風景

釈迦ヶ岳の山頂付近はガレ場の山道になる。ロープ場もいくつかあり、急な岩場の山道をよじ登りながら3つほどの小ピークを越えていくとようやく山頂が見えてくる。左に富士山を見ながら最後の岩場を登りきると、2体のお地蔵さんが見えた。山頂に到着である。

ガレ場の登山道
山頂のお地蔵さん

山頂は岩だらけだが思ったより広い。遮る木が少なく、山頂標識傍の岩にあがれば360度全周絶景が見渡せる。朝歩いてきた御坂の稜線の向こうに巨大な富士山がそびえ、西には南アルプスが壁のようにそそり立っている。北は八ヶ岳や金峰山等奥秩父の山々が見えるが、山頂付近は雲に包まれていた。

すでに陽は高く、空には遮る雲もないので真冬とはいえ強い日の光が山頂にそそぐ。山頂の岩に当たる日の陰影とその向こうに見える黒岳と三つ峠山が光に霞む光景がいい。

釈迦ヶ岳山頂の風景

南アルプスを眺めながら山座同定をして遊ぶ。あっているのか否かこの場で確かめるすべもないが、楽しければそれでよいのであった。

南アルプスオールスターズ
白峰三山
富士山と御坂の稜線
奥秩父・乾徳山方面

下山。鈴蘭群生地駐車場へ

下山は来た道を戻るのが楽でよいが、それでは面白くないのでそのまま西側に降りて舗装道路を戻るルートにすると決めていた。遠回りだがトレーニングにはそちらの方がいい。

釈迦ヶ岳から西側に降りる道は登ってきた道よりさらに急峻な岩場だった。ただ、南アルプスを眺めながら下れるので眺めはこちらの方がいい。ガレ場を下りきると檜峯神社との分岐に着く。そこからちょっと西に下ると上芦川に降りる分岐が現れる。誤って神社の方へ行ってしまうと山の北側に降りてしまうので注意が必要である。

南アルプスを眺めながら降りる
檜峯神社分岐

上芦川への分岐

分岐を南に降りていくと20分もかからず登山口に到着する。ここからは舗装された林道だ。

登山口の登山ポスト

さらに同じくらいの時間を下ると車道に出る。ここまで来ると安心感が出る。あとは車道をすずらん群生地駐車場まで2km程歩けばゴールである。しかし、最後の最後で結構疲れた。この車道、淡々としたのぼり道で地味に疲れる。傾斜は10%くらいあるのだろうか。車で走ればそこそこ坂道だ。これが2km延々と続くので正直疲れた。このコースを歩く人がいれば、念頭に置いておいてもらった方がいいだろう。車道に出たら後は楽チンと思っていたら大間違いだった。

釈迦ヶ岳登山口
延々と車道を登っていく
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