富士山の絶景が見える 鉄砲木ノ頭から石割山まで縦走登山
目次
山中湖を囲む山々からの景色は絶景
山中湖周囲を囲む山々は湖からの標高差は比較的低く、また稜線上にはしっかりと整備された登山道があるためハイカーには人気。稜線からは富士山を始め南アルプスや駿河湾方面などを眺望できるポイントがいくつも点在する。
その中でも代表的なポイントはパノラマ台だろう。車でアクセスができ、富士山を正面に山中湖と山中湖村を俯瞰できる。しかしながら、富士山に夕日が沈む夕景を眺めに訪れる観光客で周囲はかなり混雑する。
山の稜線から眺めれば混雑とは無縁。山中湖を囲む山々で富士山が綺麗に見えるのは、鉄砲木ノ頭、高指山、富士見岬平、石割山、平尾山、大平山あたり。
日中でも十分キレイな風景を眺められるが、やはりせっかく行くなら日の出か日没の時間がいい。
晴れた日に日の出の時間に訪れれば赤く染まる赤富士が、日没の時間であれば青い空と日没の赤のグラディエーションがキレイな富士山を見ることができる。10月中頃と2月の終わりあたりで、太陽が山頂に沈むダイヤモンド富士も眺められる。
稜線のハイキングコースは比較的なだらかでアップダウンもそれほど厳しくない。夏場は新緑のトンネルを歩く道となり、秋は紅葉に彩られた黄色と赤の道となる。冬場は木の葉が落ちて木の枝越しにずっと富士山を眺めながらの山行になる。
登山初心者でも比較的安心して歩けて富士山の絶景を楽しめる手軽な登山道である。
今回のコース
今回は鉄砲木ノ頭で赤富士のタイムラプスを撮るために、パノラマ台から日の出2時間前から登ることにした。赤富士撮影終了後、北上し富士山眺望ポイントである高指山、富士見岬平を経由して山伏峠へ。
ここから登り返して石割山まで歩く。石割山は山梨百名山の一つで富士山の眺望がよく人気の山。
石割山から下山をして一旦一般道へ。最後にパノラマ台へ登る登山道を経て戻る。総距離17kmほどのコースである。
登山口へのアクセス
山中湖から県道730号線を三国峠へ登っていく途中、左手にパノラマ台はある。駐車台数は10〜15台程度。人気の場所だがあまり広い駐車場ではない。トイレはしっかりしたものが設置されている。
当日はAM4:30に到着したがすでに5,6台駐車してあった。ここから登るときは早めに来ることをおすすめする。
ルート地図
ルートタイム
【パノラマ台⇒鉄砲木ノ頭】 所要時間23分
パノラマ台⇒23分⇒鉄砲木ノ頭
【鉄砲木ノ頭⇒山伏峠】所要時間131分
鉄砲木ノ頭⇒12分⇒大岩⇒22分⇒切通峠⇒27分⇒高指山⇒14分⇒富士岬平⇒35分⇒大棚ノ頭巻道分岐⇒4分⇒大棚ノ頭⇒17分⇒山伏峠
【山伏峠⇒石割山】所要時間93分
山伏峠⇒31分⇒石割山分岐⇒36分⇒日向峰⇒10分⇒小天狗⇒3分⇒鉄塔巡視路分岐⇒13分⇒石割山
【石割山⇒パノラマ台】所要時間67分
石割山⇒6分⇒石割神社奥社⇒9分⇒富士見平⇒4分⇒石割山登山口⇒13分⇒石割神社前社⇒6分⇒平野バス停⇒9分⇒山中湖交流プラザきらら⇒20分⇒パノラマ台
※所要時間には休憩含まず。
ルートデータ
- 出発時刻/高度: 05:03 / 1077m
- 到着時刻/高度: 13:49 / 1077m
- 合計時間: 8時間45分
- 合計距離: 17.28km
- 最高点の標高: 1422m
- 最低点の標高: 987m
- 累積標高(上り): 1006m
- 累積標高(下り): 1013m
- 荷物重量:13kg
- 消費カロリー:3241kcal
登山レポート
鉄砲木ノ頭で撮影
AM5:00過ぎにパノラマ台駐車場を出発。この日の温度は駐車場で-11℃。かなり冷え込んでいるが、風があまりなくさほど寒くない。5,6台駐車していたが、車にいる人は一人のみ。他の車の主はおそらくすでに上へ登っているものと思われる。登山口は駐車場の奥、右手にあった。
鉄砲木ノ頭までの登山道は明瞭だが、道が雨で流されてかなり深く掘りこまれている。このあたりの土壌は砂礫なので足元は滑りやすい。溝の中を歩いたり、上を歩いたりと意外と登りにくい登山道である。
登り始めて25分ほどで鉄砲木ノ頭に到着。山頂にはテントが3つ。三脚を立てて撮影をされていた。
鉄砲木ノ頭山頂はススキに囲まれた広場になっている。稜線上で遮るものもないので駐車場では風は感じなかったのに、ここではそこそこ風が吹いていて結構寒い。手元の温度計は-13℃を示していた。
このあたりは富士箱根伊豆国立公園となっている。基本的に国立公園の範囲内は指定場所以外でのテント幕営(ビバークは除く)は禁止となっていたと思う。ただ、とても寒いので風よけにテントが欲しくなる気持ちもわからないではないが。
というわけで、氷点下10℃以下の極寒稜線で風に吹かれながらタイムラプス撮影を開始する。もちろん温度も風も想定済みなのでそれなりの装備で登ってきており全く問題なし。それでもやはりそれなりに寒いが。
今回はカメラボディをタイムラプス用にNikon D7200、スチル用にNikon Z6を持ってきた。タイムラプスはずっと撮影場所が固定され、撮影中は何もすることがなく暇なので自由に撮れるように2台体制で。
日が昇るまでの間、寒風を避けるところもないので寒さを紛らわせるために山頂に鎮座する山中諏訪神社奥宮と三日月を撮ったり、富士山を撮ったりとウロウロ動き回る。
AM6:00前から撮影開始。暗いうちは雲も少なく星が綺麗に見えていたが、日の出の時間が近づくにつれて徐々に雲が増えてくる。東の空の雲が厚くなってきて日の出の時間にはすっかり東側が曇ってしまった。AM8:00前まで撮影をしていたが結局、陽の光が弱く狙っていた赤富士は全く見ることができず、曇り空の富士山しか写すことができなかった。無念・・・。
鉄砲木ノ頭タイムラプス
高指山・富士見岬平を越えて山伏峠へ
鉄砲木ノ頭を辞して稜線上のハイキングコースを北上する。登山道は木に囲まれたトンネルのようになっており風も通らない。道も明瞭で歩きやすく快適な登山道である。
コースは一旦、切通峠まで250m程降りてから高指山まで100m程登り返す。登り返しの道はやや急登だが、標高差はあまりないので頑張れるだろう。
高指山まで登り返せばその先2km程は多少のアップダウンはあるものの歩きやすいコースとなる。高指山とこの間にある富士見岬平が富士山の眺望ポイントだ。
高指山、富士見岬平ともに山中湖越しに富士山が鎮座する絶景を眺められる。山頂にはベンチとテーブルが設置されており、直接山頂に登る登山道もあるのでピクニックで来るにも良い場所である。今回は残念ながら天候に恵まれなかったが、晴れた日に登ってくれば美しい富士山の姿が眺められる。
しばらく快適な登山道を歩き、大棚ノ頭と呼ばれるピークに近づくと先程の快適な登山道とはうって変わり崩れやすい痩せ尾根と急登となる。この山域は砂礫で山が脆いので、登山道のあちこちで崩落が進んでいる。そのうちこのあたりも歩けなくなるかもしれない。
急騰部はしっかりした階段が設置されているので不安なく登れる。大棚ノ頭直下は西丹沢山域と大棚ノ頭を巻いて山伏峠へ降りる道、大棚ノ頭へ直登する三分岐になっている。
大棚ノ頭は特に眺望もないピークなので敢えて登る必要もないが、少し登れば着くのでついでにピークハントしておくのも良い。
大棚ノ頭を過ぎて130m程標高を下げれば山伏峠に到着する。
石割山を目指す
山伏峠は山中湖村と道志村の境界にある峠で、このあたりの山域の起点にもなる場所。5,6台の車を停められるスペースがあり、ここから日本二百名山の御正体山へ登る人も多い。
峠から北側の稜線までの登山道はかなり急登で、道も崩れかけておりかなり歩きづらい。ただ、随所にロープが設置されているので登ること自体は難しくない。
標高差200m程を登り返すと石割山、御正体山の分岐に到着する。ここにはベンチが設置されているのでひと休みできる。
分岐からは地味にアップダウンを繰り返す登山道となる。ここも大棚ノ頭前と同様に登山道の崩落が進んでおり、痩せ尾根が多い。
一箇所割と危険な下りがある。砂礫でザレた痩せ尾根で、足を滑らすとそのまま崩落地に滑落しそうな場所がある。ロープが設置されているのでしっかり利用して滑落に注意しながら降ろう。
石割山までの道は途中笹薮を掻き分けるところが何箇所かある。以前歩いたときは自分の背より高い笹を掻き分けて歩いたので身構えていたが、今回はしっかりと笹が刈られていて快適に歩くことができた(感謝!)
鉄塔の下までくれば石割山山頂まではすぐそこ。山頂からは富士山や南アルプスが眺められる絶景ポイントで、ここにはたくさんの登山者が訪れる。この日も10人以上の人が山頂で昼食を取っていた。
そしてパノラマ台へ戻る
石割山から下山をする。石割神社奥宮までの道は段差が大きく足元がやや悪い。滑落の危険はないが転倒注意。石割神社奥宮からはよく整備された歩きやすい登山道。富士見平から400段の階段を降りると下山完了。
降りたところにある神社の鳥居の向かいに駐車場とトイレがある。きちんと整備されたトイレで快適に使うことができる。
ここからパノラマ台への登山口までは一般舗装道路を歩く。
パノラマ台への登山口からゴールのパノラマ台までは割と平坦な道。ここまで歩いてきて疲れていても問題なく歩き切ることができるだろう。