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北アルプスの活火山 焼岳と上高地を巡る。

2020/05/03
 
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未明に登山開始

AM2:45。小雨の降る中、中ノ湯登山口から登山開始した。

前日の21:00に登山口前駐車場到着。すでに5,6台の車がとまっていて、車の傍でテント泊をされている方も。このまま駐車場でAM1:30まで仮眠をとった。

登山口がすでに標高1600mあるので寒さ対策にシェラフを用意していたけど、意外と暖かくタオルケット一枚で十分だった。10月も後半なのだが秋の深まりをあまり感じない。

仮眠から目が覚めてから買っておいたパンをかじりながらのんびり準備。山頂からの日の出は6:00前で、標準タイムは3時間程なので、3:00前に登り始めればご来光には間に合う。

登山口は簡単な標識があるだけで北アルプスの百名山の登山口としてはちょっと寂しい感じ。ちゃんとした標識もあったのかもしれない。登り始めて数分でネットでよく見る車の残骸が現れた。

登山口標識
登山口標識
車の残骸
車の残骸

暗い中をヘッデンの光を頼りに登って行く。登り始めは緩やかな山道だったが、少し進むと徐々に急登に。前日からの雨のせいか登山道はあちこちが川の様に水が流れていて足元が悪い。岩の段差の大きいところが多く意外と登るのがしんどい。小雨の降る中、周囲の草木にはひっきりなしに雨粒が落ちて周囲は雨音に包まれ、雨水のにおいが周囲に漂う。

この山域は非常に熊の出没が多いと言われているところ。さらに熊は明け方と夕方に活発に活動するらしい。雨音と雨のにおいで熊鈴の音色も人間の臭いも熊が気が付かずに出合い頭に遭遇するのではないか。などと恐怖におびえながらもゆっくり登る。

広場に着くと空には星が

登り始めて一時間半弱ほどで急に空が開けた。どうやら広場と呼ばれるポイントに着いたらしい。森の中では木の枝から落ちる雨水でまだ雨が降っていると思っていたが、広場に出ると空には星が覗いていた。期待通りの晴天になりそうだ。

焼岳山頂と星空
焼岳山頂と星空

登山道の延びる先にピークの影が見える。多分あれが焼岳山頂だ。手前の木々は赤く紅葉をしてる。日中青空の下で登ればきれいな紅葉を見ることが出来ただろうと思うと、暗闇の中ここを通るのがちょっともったいなく感じた。せめてきちんと三脚立てて写真を取ればよかったと後から後悔。

暗闇の広場
暗闇の広場

先の林を抜けると森林限界を迎える。クマザサが徐々に短くなり、代わりにガレた岩肌がむき出しとなる。ここからも急登だ。広場まではあまりバテることなく順調に登ってきたのだが、急に足が重くなった。

登山前の食事をパンにするといつもこんな感じで急にバテる。おにぎりだともっと徐々にバテる感じで長持ちすると感じているが、登山食関連の本を読むとパンもご飯も変わらないらしい。でも、個人的には明らかにご飯の方が持続力が出るので、やっぱりおにぎりがいい。

山頂直下に来ると暗闇の中河口に池が見えた。登山道は近くから噴き出るガスに包まれている。すでに先行しているパーティーが歩いていたので、吸い込んでもとりあえず問題ないのだろうと思ったが、やっぱり少々躊躇する。

ガスと登山道
ガスと登山道

なるべく息をしないようにガスの中を歩いた。かなりきつい硫黄臭がした。たくさん吸い込んだらヤバそう。

山頂(北峰)からの景色は雲海祭り

AM5:20登頂。先行していた方々はすでに三脚にカメラを載せてファインダーを覗いていた。私は夜明けから撮るために未明から登山をすることが結構あるが、ナイトハイクが盛んな富士山除けば同じように未明から登って来た人と会うのは久しぶりだ。

山頂からの眺望は期待通りだった。未明まで降っていた雨のおかげで眼下はいい感じで雲海が広がっていた。穂高まで向かう稜線に流れ落ちる雲滝がすばらしい。山頂ではみんな歓声を上げながらひっきりなしに三脚を移動させて撮影に興じていた。

新穂高は雲海の下
新穂高は雲海の下

AM6:12。霞沢岳山頂付近から日が登り始めた。霞沢岳山頂から閃光を放ちながら登って来る。山頂が一気にオレンジ色の光に包まれたが、残念なことにすぐに雲の中に入ってしまった。

後光が差す霞沢岳
後光が差す霞沢岳
上高地を見下ろす
上高地を見下ろす
ご来光
ご来光

朝日が穂高や雲滝を照らしてくれれば素晴らしい景色が見られるだろうと期待していたがかなり残念。この後穂高に日が当たるのを待ちながら辺りを撮影。AM7:30まで山頂で過ごした。

光と影
光と影
登って来た稜線
登って来た稜線
穂高と槍
穂高と槍
雲海に浮かぶ笠ヶ岳
雲海に浮かぶ笠ヶ岳
乗鞍岳
乗鞍岳

上高地側へ下山開始

そのままピストンで帰る人がほとんどのようだが、せっかくここまで来て上高地に行かないのはもったいない。ということで、上高地側に降りる計画で来た。上高地から駐車場まで結構歩かなければならないが、上高地の各所から釜トンネルの出口まではバスも利用できる。面倒くさくなったらバスに乗ればいい。

下りは登り同様ガレた山道。浮石で転倒しないように慎重に下る。すでに陽が高くなっているので、下から登って来る人も結構増えてきた。

下山路を見下ろす
下山路を見下ろす
焼岳小屋下山路標識
焼岳小屋下山路標識

山頂から見ていた雲滝に向かって降りていく。眼前の雲塊の向こうにそびえる穂高岳が凛々しい。すごい景色。山に来ないと絶対にあえない絶景。これだから登山はやめられない。疲れ果てて登ったことも、帰宅して一晩寝ると絶景を見た感動で忘れてしまうのが登山の恐ろしいところである。

雲海と穂高
雲海と穂高
稜線を登る人
稜線を登る人
霞の向こうの穂高
霞の向こうの穂高

中尾峠の手前まで下りると完全に雲の中に入ってしまった。周囲は霧に包まれて視界は効かなくなるが、霧でデフューズされたやわらかな太陽の光が岩の間に生える草の朝露を輝かせる。山の朝らしい景色。清々しい空気の中焼岳小屋まで下りて行った。

朝露が輝く
朝露が輝く
霧煙る笹道
霧煙る笹道

焼岳小屋は割とこじんまりとした小屋だ。小屋の従業員と思われる女性が携帯でひっきりなしに話をしている。荷揚げの段取りだろうか。小屋の入口には飲み物が水を張った桶に入れられて販売されていた。焼岳は水場がないので、補給をするならここしかない。小屋には結構たくさんの人がいた。小屋泊の人もいるだろうが、大方上高地から登って来た人の様に見えた。上高地で前泊する人が多いのだろうか。

小屋のベンチで小休止した後下山開始。ここから下はクマザサと紅葉に包まれた景色。ようやく秋らしい景色を拝むことが出来た。焼岳の上の方から巻くように降りてきている山肌の亀裂が凄い。どうしたらこんな形になったのだろうか。山肌を覆う緑と紅葉が奇麗。

紅葉と多層の崖
紅葉と多層の崖
焼岳
焼岳

上高地側の登山道は梯子が多い。最初に現れた鎖場の先にある垂直の長い梯子を皮切りに、いくつもの梯子が現れる。梯子自体はしっかりと固定されているので不安はないが、誤って転落しないように3点支持を意識して下る。これは人が多いと渋滞しそうな登山道だ。幸いあまり人がいなかったのでスムーズに降りることが出来た。

鎖場
鎖場
長梯子
長梯子
峠沢梯子場

梯子を過ぎると山道は快適に。紅葉を楽しみながら下山できた。

岩壁の紅葉
岩壁の紅葉
霞沢岳
霞沢岳
焼岳の豪快な溝
焼岳の豪快な溝

上高地を散策しながら中の湯登山口へ

上高地に来たのはずいぶん久しぶり。高校の修学旅行で訪れて以来〇〇年ぶりだ。当時来た時は今まで見たことがない程美しい別天地だと感じた。大正池からの景色などはえらく感激したものだが、年を重ねてからあらためて見たらどう感じるだろうかと楽しみにしていた。

上高地焼岳登山口から北へしばらく歩くと西穂登山口に着いた。これから登る登山者が数人登山口で準備をしている。東見ると橋の上にたくさんの観光客が見え、今までの風景から一変。

西穂登山口
西穂登山口
田代橋
田代橋

さすがに日本随一の景勝地である上高地。観光客の数が凄い。梓川沿いの遊歩道を大正池に向かって歩いていくと、たくさんの観光客が向かって歩いてくる。中には私と同様の登山者も散見されたが、ほとんどが上高地の風景を見に来た人たち。

田代橋より
田代橋より

ひと山登ってきて足元ドロドロ、汗臭々、胸にカメラバッグを吊り下げた私の姿に奇異の目を向ける人もたまにいたが気にしてはいけない(気になるけど)。汗臭くて申し訳ないと思ったがどうしようもないのでそのまま大正池まで歩いた。

西穂登山口の傍にある田代橋から大正池まで結構遠く、40分くらいかかった。距離は2.2km程。途中写真を撮ったり、梓川の清流に触れて冷たい感触を楽しんだりしながらボツボツ歩いてきたので結構時間がかかったが、道は極めて平坦かつ木道が敷かれた遊歩道なので歩きやすい。もっとも向かい側から人が来ても木道はすれ違い出来るほど広くないので、すでに足元ドロドロの私が木道を外れて水たまりの中をバシャバシャ歩くことの方が多かったが。

大正池のほとりにはたくさんの人が穂高をバックに記念写真に興じていた。

久々の大正池だが当時の感動はなかった。思い出バイアスがかかっていたのか、穂高が冠雪していないからかわからない。絶景には違いないが…。当時見た時はいい感じの光が差していたのかもしれない。なんかちょっと残念な気持ちになって、ほどほど写真を撮って帰路に着いた。

上高地から出るには路線バスかタクシー、もしくは徒歩となる。新調した登山靴での足慣らしも兼ねて当初の予定通り徒歩で上高地を出る事にした。

バスとタクシーが行き交う道路を歩きトンネルへ。トンネルは上高地トンネルと釜トンネルの二つを抜ける事になる。きちんと歩道が付けられているが、人ひとりが通れる程度の幅であるため、トンネル内では割とそばを車が走り抜ける。念のためにヘッデンを付けて歩くことをお勧めする。

上高地トンネルは比較的新しいトンネルのようで、中も明るく空気も清浄。安心して歩ける。しかし、釜トンネルはかなり暗い。一番明るいと思われたところでも上高地トンネルと比較してカメラの露出で2段以上暗い。照明の少ないところも多いので、ヘッデンがないと足元も見えないところがしばしば。換気も悪いようで排気ガスが充満している。トンネル内では数人の方とすれ違った。また、自転車で上高地に入る強者もいた。車に轢かれそうで怖い。

釜トンネルを出て、中ノ湯温泉への九十九折れの林道へ。この道が地味にしんどい。ヘアピンカーブ毎にカーブの番号が振られている。7番カーブを過ぎると中ノ湯温泉に着く。中ノ湯温泉の建物裏から登山口駐車場へ直登できる道がある。かなりのショートカット道になるので絶対使った方がいい道。風呂にも入らないのに申し訳ないと一応思いつつ利用させて頂いた。

山歩き半分散歩半分の山行でしたが、いい景色を見ることが出来てなかなか満足感のある山歩きでした。

アクセス・コース

駐車場・登山口

長野県松本市方面から国道158号線を登って来ると、上高地の入口である釜トンネルが現れます。ここは通行できないので左に曲がって安房トンネル方面へ。200mくらい登ると右手にUターンするように中ノ湯温泉への道があります。九十九折れの道をずっと登って10個目のカーブを過ぎると登山口です。

登山口前の駐車場は15台程しか停めるスペースがありませんが、ほとんどの皆さんは路駐しています。道も広めですし交通量も極小、駐禁でもないので問題ないと思いますが自己責任で。

九十九折れ道の入口近辺に路駐をして、徒歩かバスで上高地に入る方もおられるようです。戻ってきたときに10台弱路駐の車がありました。

ルート地図

上高地トンネルと釜トンネル内はGPSが入らないので直線になってしまっています。実際の歩行距離はもう少し長くなります。

ルートタイム

【中ノ湯登山口⇒山頂】

新中の湯登山口⇒83分⇒広場⇒4分⇒下堀沢出会⇒60分⇒焼岳(北峰)

【山頂⇒上高地焼岳登山口】

焼岳(北峰)⇒36分⇒中尾峠⇒5分⇒焼岳展望台⇒4分⇒新中尾峠焼岳小屋⇒2分⇒新中尾峠⇒15分⇒長ハシゴ⇒30分⇒峠沢梯子場⇒25分⇒上高地焼岳登山口

【上高地焼岳登山口⇒中ノ湯登山口】

上高地焼岳登山口⇒10分⇒西穂高岳登山口⇒4分⇒田代橋⇒38分⇒大正池⇒15分⇒太兵衛平⇒29分⇒中の湯バス停⇒34分⇒中の湯温泉⇒5分⇒新中の湯登山口

ルートデータ

  • 出発時刻/高度: 02:42 / 1639m
  • 到着時刻/高度: 12:47 / 1644m
  • 合計時間: 10時間5分
  • 合計距離: 18.26km
  • 最高点の標高: 2405m
  • 最低点の標高: 1337m
  • 累積標高(上り): 1427m
  • 累積標高(下り): 1405m
  • 荷物重量 : MAX13kg
  • 消費カロリー :4141kcal
  • 消費水分 : 0.6l
  • 摂取カロリー : 350kcal

持ち物

  • ザック deuter FUTURA28AC
  • 登山靴 mont-bell ツオロミブーツ
  • 手袋 mont-bellシャミーズグローブ 予備メーカー不明手袋
  • ウインドブレーカー mont-bellウインドブラストパーカー
  • ミドルレイヤー mont-bellクリマプラス100ジャケット
  • ベースレイヤー mont-bellジオラインL.W.
  • パンツ mont-bellサウスリムパンツ
  • 靴下 mont-bell製
  • レインウェア mont-bellレインダンサー(未着用)
  • ストック メーカー不明(未使用)
  • GPS GARMIN62S
  • ヘッドライト blackdiamond spot
  • カメラ NikonZ6
  • レンズ Nikkor Z 24-70F4S Ai Nikkor 28mmF2.8
  • 三脚 manfrotto PIXI EVO manfrotto Befree Advanced
  • その他 帽子 行動食(ゼリー×5、カロリーメイト×2)飲料水1.5L 救急セット 懐中電灯 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート,NDフィルター,C-PLフィルター
  • ココヘリ発信機

撮影機器

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