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雪原と富士山の見える絶景の山頂のはずが・・・ 安部奥の主峰 山伏

2020/05/03
 
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安部奥とは

通称安部奥。静岡市を流れる一級河川安部川の源流です。南アルプスの最南端に位置し、梅ヶ島温泉などの温泉地が多数ある温泉郷でもあります。

主峰である山伏を筆頭に2000m級の峰が連なり、春先までは雪山を楽しめ、秋には日本三大崩の一つである大谷崩の紅葉は素晴らしく美しいです。

山伏は標高2014mの山で日本三百名山にも数えられています。山頂には草原が広がり、その先に見える富士山の姿がすごく美しく見える景勝地です。

北側を見れば南アルプスの峰々も望むことができ、その眺望の良さとそこそこ登りがいのある登山道に達成感がある人気のお山です。秋口に登ったレポもあるのでご参照ください。

山伏には何度か登っておりますが、残雪期に登るのは初めて。是非雪原の向こうに見える富士山を拝みたく登ったのでした。

アクセス・コース

登山口

西日影沢登山口

最も人気のある一般的な登山口。沢から尾根へ取り付いて山頂を目指すコースで登りがいもあります。2018年の台風で登山道が崩落し、西日影沢にあった3カ所の渡渉橋もすべて流されてしまいました。

崩落した登山道は現在迂回路が出来ておりますが、渡渉橋は壊れたままです。降雨後は増水の危険があるので避けた方が良いかと思います。

駐車場も崩落が進み、登山口まで行く林道もなくなって途中が河川敷を走る道となっています。そのうち車で登山口に行けなくなるのではと思わされます。

この登山道は2019年4月現在、公式には通行禁止になっております。登山では毎度のことですが自己責任で登られてください。

大谷崩登山口

日本三大崩の一つ大谷崩を登るコース。こちらの方が標高が高いところからスタートするので多少楽かと思われるかもしれません。しかし、崩落地を登る登山道はザレていてなかなか登りにくい。ここを登る人は大谷嶺へ行く人も多いですね。

百畳峠登山口

山伏に行くのに最も楽に登れる登山口です。登山口から30分とかからずに山頂に着けます。駐車場も他の登山口とは比較にならないくらい大きいですが、ここから登る人をあまり見たことがありません。山頂で撮影目的のみで来られる方にはbestな登山口です。

ルート地図

ルートタイム

西日影沢登山口⇒28分⇒大岩/ワサビ小屋⇒46分⇒蓬峠⇒82分⇒西日影沢分岐⇒10分⇒山伏

山伏⇒12分⇒西日影沢分岐⇒46分⇒蓬峠⇒30分⇒大岩/ワサビ小屋⇒25分⇒西日影沢登山口

ルートデータ

  • 出発時刻/高度: 06:54 / 950m
  • 到着時刻/高度: 12:36 / 952m
  • 合計時間: 5時間41分
  • 合計距離: 9.4km
  • 最高点の標高: 2006m
  • 最低点の標高: 946m
  • 累積標高(上り): 1086m
  • 累積標高(下り): 1080m
  • 荷物重量 : MAX9kg
  • 消費カロリー :2538kcal
  • 消費水分 : 0.5l
  • 摂取カロリー : 200kcal

持ち物

  • ザック deuter FUTURA28AC
  • 登山靴 mont-bell タイオガブーツ
  • 手袋 mont-bellメリノウール メーカー不明防水手袋
  • アウターウェア mont-bellウインドブラストパーカー
  • ミドルレイヤー mont-bellクリマプラス100ジャケット
  • ベースレイヤー mont-bellジオラインM.W.
  • パンツ mont-bellストライダーパンツ
  • 靴下 mont-bell製
  • 防寒着 UNIQLO ULTRALIGHTDOWN (未着用)
  • レインウェア mont-bellレインダンサー(未着用)
  • ストック メーカー不明(未使用)
  • GPS GARMIN62S
  • ヘッドライト blackdiamond spot
  • カメラ NikonZ6
  • レンズ Nikkor Z 24-70F4S
  • 三脚 manfrotto befree advanced、manfrotto PIXI EVO
  • その他 帽子 行動食(ゼリー×2、カロリーメイト×2)飲料水1.5L 救急セット 懐中電灯 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート

登山レポ

2018年の台風被害の爪痕が残る西日影沢

駐車場はかなり浸食が激しく、現在では数台しか停めることができません。手前の河川敷に停める方や林道入り口のスペースに停められる方もおられますね。この日は私が付いた時間にはすでに3台ほど停まっていました。

西日影登山口駐車場
西日影沢登山口駐車場

登山口手前の渡渉を超えると山火事用心の横断幕。ここが西日影沢登山口です。ハイキングコースの看板もしっかり立っていますが・・・

西日影登山口
西日影登山口

登山口には台風の被害についての説明書きと通行不能の記載があります。

事前情報で沢の渡渉に問題がない事と崩落地を避ける迂回路が出来ていることを確認しているので登ってしまいます。

通行止め案内
通行止め案内

この沢は非常に水が奇麗なのか現在もワサビ田があります。登山道に入って間もなくはワサビ田用のかつて使用されていた運搬用モノレール沿いに進みます。

登山道の様子
登山道の様子

登山口から10分ほど進むと最初の渡渉橋が現れます。非常に立派な橋だったのですが、現在では完全に破壊されてしまっています。増水した時の激流のすさまじさを感じざるを得ない光景です。

第一渡渉橋跡
第一渡渉橋跡

そんな沢も平時は非常に穏やかに水が流れています。岩に引っかかった流木が激しさを物語っていますが。

穏やかな渓流
穏やかな渓流

登山口から30分ほど進むとワサビ田跡が現れます。こんな奥まで入って栽培していたんですね。ワサビ田に通うだけでも大変です。

ワサビ田跡
ワサビ田跡

ワサビ田跡から少し進むと第二渡渉橋が現れます。この橋はまだ原型をとどめていました。とはいえ使用はできません。

第二渡渉橋
第二渡渉橋

誰が作ったのかケルンが岩の上においてあります。この辺りはリボンもありますので沢を渡渉していても行き先がわからなくなることはありません。

ケルン
ケルン

大岩に到着。左に登るとワサビ小屋がありますが、中は荒れているので寄る人はいないでしょう。右に進めば山伏です。

大岩を支える小枝
大岩を支える小枝

第三渡渉橋は影も形もありませんでした。ちょっと大きめの滝の前を渡渉し奥に進むと迂回路との分岐に着きます。迂回路は急登ですがきちんと階段が作ってあり登りやすい。こうして道を作っていただいているので登ることができます。道を整備されている方に感謝ですね。

迂回路の急登
迂回路の急登

枯れかけた沢を登り、昔からある崩落地をトラバースすると蓬峠に到着します。この登山道の休憩ポイントです。

枯れた沢
枯れた沢

崩落地の道は以前からこのコースの核心部だったのですが、今では割と歩きやすくなっています。しかし、滑落すると止まりそうにないので注意が必要です。

崩落地のトラバース路
崩落地のトラバース路
蓬峠
蓬峠

蓬峠からは九十九折れの山道になる急登の尾根道になります。木々の間から富士山が見える場所もあるのですが、この日は霞がひどく何も見えない。しばらく登って行くと所々に雪が現れだしました。

登山道の凍った残雪
登山道の凍った残雪

標高1800m以上は冬山

「1770mベンチから先は雪が多いよ。」途中すれ違った方からうかがった。聞いた通り1770mベンチに到着すると、その先には凍った雪が残る登山道が見えた。ここで休憩がてらチェーンスパイクを装着。私が持っている唯一の冬装備。

私は冬装備を持っていないので、冬季は登れる山を探すのがたいへん。結果的に11月から4月まではほとんど近所の山しか登らない(登れない)。春先はどこの山なら登れるかネットで確認しては喜んだりため息をつくのを繰り返している。

山伏はやっとチェーンスパイクで登れる状態になったのを確認して、この日登るに至ったのでした。

1770mベンチ
1770mベンチ

このベンチの先にある急登の登山道がこの日の核心部でした。本来なら九十九折れの道があるのですが、凍った雪で埋まっていて登山道がはっきりしない。補助ロープがある急登なので、とにかくチェーンスパイクで氷雪を強く踏み込みながら登りました。

凍った雪に埋もれた登山道
凍った雪に埋もれた登山道

チェーンスパイクの刃は一度も研いだことがないですが、これもやっぱりアイゼンと同じようにまめに研いだ方が良いのでしょうか。帰宅後にチェーンスパイクを洗浄しているとき、丸まった刃先を見ながらそんなことを思いました。

ここから100mほど標高を上げるとなだらかになります。上は一面雪。歩いていくと何度も踏み抜いて膝まで潜ります。ゲイター着けていなかったので靴に雪が入ってしまいました。うっかり持ってくるのを忘れていました。

踏み抜き
踏み抜き

木の根の周りは雪が解けて氷になっているところがちらほら見られました。木の周りは熱を持ちやすいのでしょうか。

根の周りは氷
根の周りは氷

山頂には雪の平原 春霞で眺望なし

登山口から二時間半ほどかけてようやく牛首峠との分岐に到着。ここから牛首峠方面へ10分ほど下ると避難小屋があります。一度行ったことがありますがあまり綺麗ではなかったですね。ここまで来れば山頂まであと10分ほど。

牛首峠分岐
牛首峠分岐

山伏の山頂はなだらかな平原です。無雪期には草原が広がっていますが、この日はまだ残雪で覆われていました。雪原から見る富士山が今回の登山の目的でしたが、残念ながら富士山は霞の中。全く見えませんでした。

何も見えない山伏山頂
何も見えない山伏山頂

本来なら倒木の向こうに綺麗な稜線を左右に広げる富士山の姿が見えるはずなのですが・・・。残念。

山伏山頂標識
山伏山頂標識

お団子式の山頂標識は静岡県のもの。山伏もそうですが、この近隣の山は山梨県との県境になっているところが多いので、山梨県が立てた山頂標識もあるところが多いのです。山伏は山梨百名山にも数えられているので、この標識の正面にしっかり山梨百名山と記された標識が立っています。

山頂から北側も眺望が開けていて、いつもであれば南アルプスの山々を見ることが出来るのですが・・・

霞の向こうに南アルプス
霞の向こうに南アルプス

霞の向こうにかすかに見える雪山が多分上河内岳と聖岳だと思われます。とするとその右の霞の中にある山は赤石岳かな。

笊ヶ岳と布引山
笊ヶ岳と布引山

手前にある高い山が布引山。その奥にある頭が割れている山が笊ヶ岳でしょう。こうしてみている間にも雲がかかって全く見えなくなってしまうことが多かったです。空は青々と晴れているのですけどね・・・。

自撮り
自撮り

そんなわけで山頂でちょっとの間霞が晴れるのを待ってみましたが、見えそうな気配がないので早々に下山。降りながら目に留まった風景をスナップ。

先日から使い始めたNikonZ6と24-70F4Sレンズの組み合わせは非常に軽くて楽チン。しかもこのレンズは隅々まですごく綺麗に写ります。ずいぶん中途半端で平凡なスペックのレンズだと思ってこのレンズのセットを買うかずいぶん迷いましたが、買って正解でした。

どこのメーカーでもF4通しの標準ズームレンズは24-105なのに、このレンズはテレ端が70mm。何でこんなスペックにしたのかと不思議に思っていましたが、軽量コンパクトにするためにこうしたんでしょうね。多分。防塵防滴ですのでお山に持っていくにはぴったりのレンズです。

尾根にたたずむ古木
尾根にたたずむ古木
滝
森の木洩れ日
森の木洩れ日

若干消化不良な山行でしたが、それでも楽しめましたがやっぱり富士山撮りたかったなぁ。

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