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念願の八ヶ岳へ 行者小屋にテント泊して南八ヶ岳をグルッと一周登山

2020/05/03
 
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念願の八ヶ岳テント泊に行ってきました。昨年は計画をするも天候に恵まれず行けず仕舞い。今年も前週は大変な西日本を中心に大変な豪雨に見舞われて、どうなるかと思っておりましたが7/13、14日共に天候に恵まれてよい山行が出来ました。
八ヶ岳は八ヶ岳という山自体はなく、いくつもの山が集まった山塊をまとめて八ヶ岳と呼ばれています。
一般的に北八ヶ岳と南八ヶ岳に二つに分類されていて、南八ヶ岳が主峰赤岳を筆頭に高く険しい山が立ち並ぶいわゆる八ヶ岳です。
北八ヶ岳は、北は蓼科山から南は天狗岳、根石岳までつづく広い山域を差します。苔生した緑豊かな森が魅力で、またロープウェイで登る坪庭というところもあり登山ではなく一般観光でも登れる場所もあるのが魅力です。
今回は美濃戸口から行者小屋までテンと装備を担いで登り、翌日に南八ヶ岳の稜線を一周する計画で登りました。
今までのテント泊はテント場まで割と近いところを選んでいましたが、今回は片道8km弱。標高差900mの行程を24kgの装備を背負っての登山。テント装備を担いでちゃんと登山ができるのか・・・試金石としての意味も含めた山行でした。
行者小屋までのルートは距離は長いものの急登なところは少なく、なだらかに標高を上げていくコースなので、テント泊装備で歩く練習にはもってこいだと考えた次第です。

南沢登山道の風景
南沢登山道の風景

実際に24kg担いで登山道を歩くのはきつかった(´;ω;`)
行者小屋に着いたのは当初の予定より30分遅れの12時前。とても標準タイムで歩けませんでした・・・。やっぱり普段からちゃんとトレーニングしてないと重量のある装備を担いでなど登れないですね。反省です・・・^^;)
二日目は暗いうちから地蔵尾根と呼ばれる鎖場のある急登コースで稜線へ。御来光を拝んだ後に赤岳へ登頂。その後横岳を経由して硫黄岳から赤岳鉱泉経由で行者小屋へ戻るコースで歩きました。

赤岳モルゲンロート
赤岳モルゲンロート

横岳は険しい岩稜のコースで鎖場もたくさん、絶壁の淵を行く山道もありかなりスリリングなコース。しっかりとした鎖や梯子がつけてあるので比較的安全に歩けますが、それでも足元を見ると断崖絶壁の山道は高所恐怖症の私には恐ろしかった(;’∀’)
横岳山頂先の核心部を超えると、あとはなだらかな登山道。安心して歩けました。硫黄岳山頂では爆裂火口や北八ヶ岳の山々を眺めてまったり。そのまま赤岳鉱泉経由で行者小屋へ戻り、テントをたたんで下山したのでした。

コース

ルート地図

ルートタイム

【1日目】
八ヶ岳山荘⇒50分⇒やまのこ村⇒1分⇒赤岳山荘⇒5分⇒美濃戸山荘⇒91分⇒中ノ行者小屋跡⇒81分⇒行者小屋
【2日目】
行者小屋⇒54分⇒地蔵の頭⇒5分⇒赤岳天望荘⇒29分⇒赤岳頂上山荘⇒10分⇒赤岳⇒7分⇒赤岳頂上山荘⇒19分⇒赤岳天望荘⇒2分⇒地蔵の頭⇒7分⇒二十三夜峰⇒9分⇒日ノ岳⇒5分⇒鉾岳⇒1分⇒石尊峰⇒9分⇒三叉峰(横岳)⇒4分⇒横岳⇒4分⇒奥ノ院(横岳)⇒10分⇒台座ノ頭⇒14分⇒硫黄岳山荘⇒20分⇒硫黄岳⇒13分⇒赤岩の頭⇒27分⇒ジョウゴ沢⇒4分⇒大同心沢(大同心ルンゼ)分岐⇒4分⇒赤岳鉱泉⇒28分⇒中山乗越⇒6分⇒行者小屋⇒42分⇒中ノ行者小屋跡⇒56分⇒美濃戸山荘⇒3分⇒赤岳山荘⇒31分⇒八ヶ岳山荘

ルートデータ

出発時刻/高度: 07:51 / 1501m
到着時刻/高度: 14:36 / 1491m
合計時間: 30時間44分
合計距離: 26.15km
最高点の標高: 2858m
最低点の標高: 1491m
累積標高(上り): 1974m
累積標高(下り): 1977m
荷物重量 : 美濃戸口⇔行者小屋 24kg、八ヶ岳周回 約11kg程度
消費カロリー : 7421kcal
消費水分 : 3.5l(ペットポトル水500ml×5本+生ビール×1+コーラ×1)
摂取カロリー : 約2670kcal(おにぎり×2、パン×2、ワンタン×1、お菓子×3、ミニチキンラーメン×2、ペプシコーラ×1、生ビール×1、カロリーメイト2本、ゼリー×1本)

登山レポート

美濃戸口から八ヶ岳南沢登山口へ

午前7:30。美濃戸口にある八ヶ岳山荘に到着。山荘受付で駐車料金を支払う。一泊二日で1,000円でした。一日1,000円と思っていたのでよかったです。おまけに一杯無料でコーヒーが飲めますので、是非利用しましょう^^)
ネットですでに登山届は提出済みでしたが、山荘にも備え付けの登山届があるので記入してポスト。いかに良く歩かれている登山道とはいえどこでどうなるかわからないのでしっかり登山届は出しておきたいですね。

八ヶ岳山荘登山届ポスト
八ヶ岳山荘登山届ポスト

美濃戸口からやまのこ村や赤岳山荘のあるところまでは車でも行ける林道ですので、歩いていると結構車の往来があります。しかし、この林道は路面状態が非常に悪いので、車高が高い車でないと車底をガリガリ擦ってしまいます。普通の車で上がっていくことはできますが、やまのこ村まで車で行くのであればSUVで行くことをお勧めします。登ってきたフィットはスタックしかけて底をガリガリ擦りながら走っていましたね。私の車は扁平タイヤなので、ここを走っていたらパンクしていたかも・・・と思わせる道でした。

美濃戸口林道入口
美濃戸口林道入口

やまのこ村が近づいてくると、ものすごい数の虻やブヨにたかられて大変なことに(;’∀’)
虫よけを忘れてきたのが致命的でした・・・。網をかぶって歩いている人もおられたので、ここはきっと虻やブヨが多い事で有名なところなんでしょうね・・・。調査不足でした。
虫対策をしていないと、虻とブヨに取り囲まれて気が狂いそうになりますのでしっかり準備していくことをお勧めします・・・。結局この日は登山口から山道に入ってもしばらく虻に追いまくられて相当体力を消費してしまいました・・・。

行者小屋へ

南沢登山道に入ると、渓流と北八ヶ岳の森を彷彿とさせる苔生した緑に覆われた原生林の山道を歩きます(わたしは北八ヶ岳に行ったことはありませんが(;’∀’))。基本的に緩やかな傾斜を登る山道ですので、景観を楽しみながら登ることが出来ます。虻も高度を上げていくとあまりいなくなってきますので安心^^)

南沢登山道
南沢登山道

しばらく登っていくと、枯れた川を上る道から右側の森に入る山道があります。ここがこのルートで唯一わかりにくいところです。小さなリボンが一つ垂れ下がっているだけなので、見落とすとずっと枯れ川を登っていくことに。このポイントは概ね標高2240mくらいのところです。気を付けましょう。

枯れ川から森に入るポイント
枯れ川から森に入るポイント

行者小屋

美濃戸口から4時間かけてやっと到着。標準タイムが3.5時間くらいだったと思うので、だいぶん時間がかかってしまいました。着いた時はフラフラでしたが最後の力を振り絞って小屋でテント泊の受付。1,000円/日でトイレも使い放題です。
テント場は結構広く、50張のスペースという事でしたがもう少しはれそうな気がします。整備されたテン場以外にも小川の辺や地蔵尾根入口付近に幕営する人もいましたね。

行者小屋テント場
行者小屋テント場

水は無料で使い放題。冷たくておいしい水なので、ここをベースに八ヶ岳を歩くなら水はたくさん持って上がってくる必要はないです。私はペットボトル500mlを3本だけ持ってきましたが一本余りましたね。
この日は幕営後阿弥陀岳に登るつもりでいたのですが、とてもそんな体力は残っておらず、幕営後に生ビールを一杯飲んでからテントでバタンキュー。マットも敷かずに地面のゴツゴツした石が痛いのも気にならず、そのまま寝てしまいました・・・。夜明け前から車を走らせて来て、超重量(わたしにとっては)の荷物を担いで延々と登ったのでよっぽど疲れたのでしょうね。

赤岳を眺めながら至福のひと時
赤岳を眺めながら至福のひと時

あ、そうそう。行者小屋はdocomo電波が届きません。他の携帯会社はわかりませんが。私はIIJのSIMを利用していますが電波は完全にダメでした。

星空とご来光をもとめて地蔵尾根から稜線へ

午前2:00。行者小屋の裏にある地蔵尾根入口から二日目の登山を開始。この日の予定は地蔵の頭で星空と赤岳を撮影し、そのままご来光とモルゲンロート撮影。それから赤岳登頂後、稜線を周回という予定。
登山開始してから小一時間で地蔵の頭に到着。地蔵尾根は階段や鎖場の多い急登ルート。でもコースは明瞭でヘッドライトの光だけを頼りに登っても特に迷うことはありませんでした。
暗闇の中登っていたので高度感もあまり感じることもなく登れたのかも。明るいうちに登っていたら怖くて足がすくんでいたかもしれませんね(;’∀’)
地蔵の頭に着いたのが2:50分。日の出まで1.5時間くらいあるので、星空を撮る時間もたっぷりのはずでしたが・・・。稜線に上がってみると一面濃霧。5m先がわからない状態( ;∀;)。星空撮影どころではありませんでした。またしてもガス男の本領を発揮してしまいました・・・。

地蔵の頭 ガスで視界なし
地蔵の頭 ガスで視界なし

森林限界を超えた稜線なので風もそれなりに強く寒い。仕方がないので、風の来ないところを探してビバーク?幸い携帯の電波は問題なかったので、インスタの投稿をして時間つぶし。
こんな夜中に2700mの稜線までわざわざ登ってきてインスタしている自分。客観的に見るとただのアホです・・・(;’∀’)。
一時間程経つと、地蔵尾根から一人登って来られました。この方が登って来られてまもなく、空が明るくなってくるとともに急激に霧が晴れて、目の前には一面雲海がΣ(・□・;)。晴れ男のおじさんに感謝(^O^)/

朝日に染まる雲海
朝日に染まる雲海

主峰赤岳へ

地蔵の頭から赤岳展望荘までは5分もかからない近距離。ここから赤岳山頂まで鎖場もあるガレた急登を登ります。落石も多い山道なので結構ヘルメットをかぶっている人は多かったですね。

赤岳山頂までの登山道
赤岳山頂までの登山道

私も去年ここに来るために購入したヘルメットを一年越しで装着。ヒイヒイ言いながら30分ほどかけて山頂小屋へ。山頂小屋から山頂まではすぐ近く。

赤岳展望荘
赤岳展望荘

富士山、南アルプス、北アルプスと雲海に浮かぶ名山を眺めて景色を満喫。山頂は狭いので、休日はたくさんの人でごった返すかもしれませんね。この日は連休初日の明け方なので、人は少なめで山頂でゆっくり出来ました。

【手前】権現岳、【奥】甲斐駒仙丈ケ岳鳳凰三山
【手前】権現岳、【奥】甲斐駒仙丈ケ岳鳳凰三山
赤岳頂上山荘
赤岳頂上山荘
北アルプス
北アルプス

周回コースの核心部、横岳

赤岳を来た道へ戻って横岳へ。横岳への道は岩稜を歩くスリリングはコース。鎖場や梯子もたくさんあり、足元は断崖絶壁という道もありました。高所恐怖症の私には結構キツいコース。

横岳へ
横岳へ

横岳山頂までは6つほどのピークを越えていきます。岩稜のアップダウンコース。

三叉峰からの富士山
三叉峰からの富士山

足元を見ると岩が切れ落ちている断崖絶壁。高度感が凄い登山道です。高いところが得意な方は楽しめるコースですね。私は内心悲鳴を上げながら、ひたすら足元注意、滑落注意でなるべく下を見ずに歩きました(;’∀’)

高度感あふれる景色
高度感あふれる景色

道は険しいですが、実線コースですのでしっかり整備されているので「こんなところを歩くの!?」というところは一カ所しかありませんでしたね(^^ゞ

横岳の核心部
横岳の核心部

大迫力の爆裂火口、硫黄岳

横岳山頂先の核心部を過ぎると足場よい緩やかな登山道に。一旦高度を下げたところに硫黄岳山荘があります。この辺りは高山植物保護のロープや柵がたくさん敷かれていており、保護部にはたくさんのコマクサが咲いておりました。

硫黄岳への山道から横岳赤岳を振り返る
硫黄岳への山道から横岳赤岳を振り返る

山荘から硫黄岳山頂までは緩やかな登り。登りきると広い山頂でたくさんの人が休んでいました。
北側には北八ヶ岳の根石岳や天狗岳。東側には大迫力の爆裂火口を眺められます。火口沿いに東側に行くことも出来ますが、火口末端手前で通行止めになっており、端まで行けませんでした。

硫黄岳爆裂火口
硫黄岳爆裂火口

横岳まではヘルメットをかぶった登山者が結構おられたのですが、硫黄岳までくるとほとんどいません。オーレン小屋の方から登ってきている人が多いんでしょうね。みなさんそれぞれに昼食?朝食?を楽しまれておりました。
山に来ると朝が激早なので、朝8~9時くらいでお昼の気分になりますね。

北八ヶ岳と登山者
北八ヶ岳と登山者

行者小屋に戻り下山

硫黄岳周辺は登山道の分岐が多いので下山時は注意ですね。山頂からは北八ヶ岳方面の夏沢峠への下山道と赤岩の頭への下山道があります。
赤岩の頭からも峰の松目やオーレン小屋、赤岳鉱泉への分岐があり、間違えて降りると戻るのが大変。間違えないようにしっかり地図を見て確認してから降り始めましょう。
赤岩の頭から赤岳鉱泉まではずっと樹林帯の登山道。沢を越えて降りていくと赤岳鉱泉玄関のところに降りてきます。ここから、行者小屋までは150mくらいの登り返し。この登り返しが結構しんどい。それほど急な道ではないのですが、周回してきて疲れた最後の登り返しなので「え~こんなに登るの!?」という感じになります。中山乗越えまで来ればあとは行者小屋まで平坦な道です。
行者小屋まで戻ると、景色が一変していました。
ものすごい人の数。テントも所狭しと幕営されていました。私のテントの周りもぎっちり。さすがに連休初日、たくさんの人です。小屋前のベンチでゆっくり休んでから帰り支度をしようと思っていましたが、人でいっぱいで休む場もないのでさっさと片づけて下山。

ごった返すテント場。道まで埋まるんでしょうね
ごった返すテント場。道まで埋まるんでしょうね
行者小屋前のベンチは満員御礼
行者小屋前のベンチは満員御礼

帰りは荷物重量はほとんど変わっていないのですが、割とスムーズに歩くことが出来ました。やっぱり下山は楽ですね。
すれ違う登山者もすごく多くて、老若男女様々な方々が登って来られていました。中にはタオルをかぶって倒れるように休んでいるファミリーもあり、行者小屋までたどり着けるのか心配になる感じの方もおられましたね。
テント泊装備で登ってくる方もたくさんおられましたが、行者まで行ってもテント張るところあるのかな・・・などと余計な心配をちょっとだけした次第です。大学生の女の子が大きなザックを背負って爽やかに挨拶をしつつ涼しい顔で登っていくのを見て、やっぱり若いってエネルギー溢れてるなぁなどと思い感心しました。きっとおっさんの私は傍から見ると、苦悶の表情を浮かべながらヘロヘロになって登っていたに違いないので。
やまのこ村まで戻ると、前日同様虻とブヨの大群が私の周りで歓喜の舞をして迎えてくれました( ;∀;)。八ヶ岳山荘まで30分ほど、虻たちと戯れながら降りたのでした・・・。気が狂うかと思った。今度来る時は虻対策完全装備で来なければ・・・虻に刺されて痒い腕をかきながら心に誓ったのでした。

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