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丹沢主稜縦走 西丹沢から大倉へ 蛭ヶ岳一泊で関東平野の夜景を眺める

 
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丹沢主稜縦走とは

丹沢主稜とは丹沢最高峰の蛭ヶ岳(標高1673m)から西に延びる稜線をさす。臼ヶ岳、檜洞丸、大室山、菰釣山、三国山までの30kmに及ぶ長い稜線である。

だが、丹沢主稜縦走というと一般的に西丹沢ビジターセンターから檜洞丸を経て主稜を行き、蛭ヶ岳、丹沢山、塔ノ岳、大倉へ下山のルートをさす(もちろん逆もあり)。総延距離で23kmほどのコースだ。

丹沢というと大倉尾根や表尾根からのしっかり整備された歩きやすい登山道を想像するが、蛭ヶ岳から西の主稜線はそのイメージとはかけ離れた登山道である。

岩場の鎖場や瘦せ尾根、アップダウンの多さ、乏しい眺望など檜洞丸までの道のりは快適とは程遠い修行の道である。

しかし、初夏にかけてはツツジが美しく咲き、シロヤシオが咲き乱れる山道になるらしい。歩くならこの季節だろう。

丹沢はヤマビルが多いことで有名な山域。春から晩秋にかけてはしっかりとしたヒル対策が必要になるだろう。

今回のコース

西丹沢ビジターセンターからツツジ新道を経て檜洞丸へ登頂。その後主稜線を歩き蛭ヶ岳で一泊。

蛭ヶ岳は丹沢山塊最高峰にして丹沢随一の眺望を誇る山。山頂には蛭ヶ岳山荘があり、通常であれば多くの登山者でにぎわう。昨今はコロナ禍により宿泊者は激減しているが、対策をしつつ営業をしている。

なお、蛭ヶ岳山荘をはじめ多くの山小屋はコロナウィルス感染対策で事前予約のみ宿泊受付を行っている。当日飛込での宿泊は不可である。

今回のメインはこの蛭ヶ岳からの関東平野の夜景だ。広大な平野一面に広がる街の光を眺めるのである。

翌日はお楽しみの丹沢稜線を歩き塔ノ岳へ向かう。蛭ヶ岳から丹沢山までの稜線は丹沢山塊で最も景色がよく気持ちの良い山道。たっぷり稜線歩きを楽しむのだ。

丹沢の稜線
丹沢の稜線

塔ノ岳からは大倉尾根(通称バカ尾根)を下る修行の道となる。この道は素晴らしくよく整備されているが、7km以上の長大な尾根道にはあまりにしっかり木段が整備されていてかえってしんどい。

以前登った時はあまりにも多すぎる木段に閉口したものだ。下りで使っても大変なことは想像できる。

登山口へのアクセス

車でなら国道246号線清水橋交差点を北へ。丹沢湖方面へ県道76号線を北上。丹沢湖を過ぎてさらにずっと北上。丹沢湖から先はすれ違いの難しい道の細い箇所もあり注意が必要。左手に西丹沢ビジターセンターが現れる。

2020年2月21日は6:00到着でビジターセンター駐車場は満車だった。道向かいの路肩スペースは数台が駐車しているのみでほぼ空いていたが、間もなくすると次々と車がやってきていた。6:35に駐車場を出発したときはまだ空いていたが、おそらく7:00を過ぎたころには満車になっていたかもしれない。

オフシーズンでも早朝からたくさんのハイカーが訪れるので、車で来るなら早めの到着が望ましい。

公共交通機関で来るなら、新松田駅から富士急湘南バス西丹沢ビジターセンター行が出ている。おおむね一時間に一本程度あるようだ。所要時間は新松田駅から1時間10分程である。

富士重湘南バス時刻表はこちら

大倉からの戻りはたくさんあるのでさほど時刻を気にしないでもよい。ただし、今回のように西丹沢ビジターセンターまで戻るのであれば、新松田⇒西丹沢行バスは本数が限られているので注意が必要である。

大倉バス停時刻表はこちら

ルート地図

ルートタイム

一日目 西丹沢ビジターセンター⇒蛭ヶ岳 所要時間 7時間28分

西丹沢ビジターセンター⇒7分⇒ツツジ新道入口⇒42分⇒ゴーラ沢出合⇒47分⇒展望台⇒72分⇒ツツジ新道・石棚山稜分岐⇒17分⇒檜洞丸⇒5分⇒青ヶ岳山荘⇒30分⇒源蔵尾根下降点⇒3分⇒金山谷乗越⇒27分⇒神ノ川乗越⇒33分⇒臼ヶ岳⇒23分⇒ミカゲ沢ノ頭⇒69分⇒蛭ヶ岳

二日目 蛭ヶ岳⇒大倉 所要時間5時間13分

蛭ヶ岳⇒12分⇒中ノ沢乗越⇒8分⇒鬼ヶ岩⇒3分⇒鬼ヶ岩ノ頭⇒17分⇒棚沢ノ頭⇒11分⇒不動ノ峰⇒5分⇒不動ノ峰休憩所⇒4分⇒箒杉沢ノ頭⇒7分⇒早戸川乗越⇒18分⇒丹沢山⇒15分⇒竜ヶ馬場⇒4分⇒竜ヶ馬場休憩所⇒14分⇒日高⇒24分⇒塔ノ岳⇒11分⇒金冷シ⇒4分⇒花立⇒6分⇒花立山荘⇒12分⇒天神尾根分岐⇒10分⇒堀山の家⇒7分⇒堀山⇒7分⇒駒止茶屋⇒11分⇒一本松⇒9分⇒見晴茶屋⇒4分⇒雑事場ノ平⇒12分⇒観音茶屋⇒14分⇒丹沢クリステル⇒4分⇒どんぐり山荘⇒2分⇒大倉バス停

ルートデータ

  • 出発時刻/高度: 06:33 / 548m
  • 到着時刻/高度: 12:20 / 295m
  • 合計時間: 29時間46分
  • 合計距離: 23.48km
  • 最高点の標高: 1647m
  • 最低点の標高: 286m
  • 累積標高(上り): 2176m
  • 累積標高(下り): 2423m
  • 荷物重量:MAX16kg
  • 消費カロリー:7699kcal

登山レポ

檜洞丸までひたすら急登

西丹沢ビジターセンターに6:00に到着するとすでに駐車場は満車。道向かいの路肩に駐車。ここは側溝から落ち込んでいるところが多く、車の底を擦ってしまった。ショック…。

到着したときはほとんど空いていた路肩スペースも、あれよあれよという間にどんどん埋まっていく。オフシーズンの西丹沢に来る人は疎らだろうと思っていたのだが、想像を遥かに越える人の多さ。さすがに首都圏近くの人気の山域である。

駐車場
駐車場

ビジターセンターにはしっかりしたトイレが設置されていた。丹沢の国定公園の案内説明のための施設らしいが中には入らずそのまま登山口へ向かった。

今回の登山は小屋泊をして夜間撮影を計画してたので、いつもより多めの撮影器具や着替えなどを詰め込んで荷物が16kgにもなってしまった。ちょっとしたテン泊のような荷物重量。

久々に重い荷物を担いでの登山にやや不安を覚えなくもない。

蛭ヶ岳まで行けば本日の登山は終了なのでなんとかなるだろう・・・。そう思いながら登山口に向かって歩き始めた。

西丹沢ビジターセンター
西丹沢ビジターセンター

ビジターセンター駐車場の裏側には畦ヶ丸への登山口があったが、檜洞丸への登山口が見当たらない。地図を確かめるとここから少し北に歩いたところにあるようだ。歩いていくと、左手の山を朝日が照らしオレンジ色に染めている。

朝日を受ける山
朝日を受ける山

テント場を横目に10分程舗装道路を北上する。すると、右手につつじ新道檜洞丸4.8kmの標識が現れる。

つつじ新道登山口
つつじ新道登山口

登山口に入ると枯れた沢を登る道。葉が落ちて寂しい雰囲気が漂う道だ。

つつじ新道入口
つつじ新道入口

沢を少し登るとすぐにクマ注意の看板がついた標識が現れる。ここから沢を外れて登っていく。

熊出没注意
熊出没注意

50〜60m程標高を上げると山の斜面沿いを歩く道になる。地図で見るとゴーラ沢までほぼアップダウンのない平坦な道になるはず。道の途中には2,3箇所ほどミツマタと思われる群生地があった。3月になれば黄色い花を咲かせてさぞきれいだろう。西丹沢はツツジの群生地で5月にはシロヤシオが咲き乱れるらしい。今の季節は葉も落ちて寂しい風景だが、春になれば全く違う顔を見せてくれるのだろう。

ミツマタ
ミツマタ

一時間ほど歩いてゴーラ沢に到着。ここは広い沢を渡渉して向かい側の登山口から登る。今回のコースでは一番迷いやすい場所とのことだが、この看板を見て周りをきちんと見ながら歩けば誤って沢を登っていってしまうようなことはないだろう。

ゴーラ沢出合
ゴーラ沢出合

オフシーズンとはいえここは丹沢。他にも沢山の人が登山に来ている。道迷いはほぼないだろう。沢にケルンでも作ればより道迷いはなくなるだろう。

ゴーラ沢を歩く登山者
ゴーラ沢を歩く登山者

檜洞丸への登山口は立派な階段が作られている。

ゴーラ沢からの登山口
ゴーラ沢からの登山口

ゴーラ沢から先は急登がつづく。だが、基本的によく整備されているので歩きやすい。登っていくとすぐにバテてきた。やはり背中の荷物が重くかなりキツい。あとから登ってくる人に道を譲りながらゆっくり急登を上がっていく。

つつじ新道登山道
つつじ新道登山道

ゴーラ沢からたっぷり50分ほどかけて展望所に到着した。ベンチなども設置されている休憩所だが、眺望は木々が多くそれほど眺望は良くない。それでも、富士山の姿を見ることができて少し登ってきた感を味わえる。

木の向こうに富士山
木の向こうに富士山

少し霞んでいるが南アルプスも眺めることができた。手前の丸い山はおそらく御正体山だろう。

御正体山と南ア
御正体山と南ア

更に標高を上げていく。丹沢らしい木段が尾根の上の方までずっと伸びている。階段を登るのは足場は安心だが登るのはしんどい。心の中で悲鳴を上げながら一歩一歩ゆっくり登っていく。

高度感
高度感

木々の切れ目からはきれいに冠雪した富士山を眺められた。いつも見る富士山の西面は常に風にさらされているためか雪がついてもすぐに岩肌が露出してくるが、東側の富士山はきれいな白い山肌をしていて美しい。

冠雪のきれいな富士山
冠雪のきれいな富士山

石棚山との分岐を越えるとやがて給湯が終わり、平坦な木道が現れる。ここまでくれば山頂までもう一息だ。

木道
木道

木道の先に檜洞丸の山頂が見えてきた。ザックが方に食い込んで痛い。あとひと頑張りで休憩できる。

檜洞丸山頂直下
檜洞丸山頂直下

登山開始から3時間15分かけてようやく山頂に到着。沢山の人が思い思いに過ごしていた。記念撮影をする人、コーヒーを入れる人その他たくさん。

普段登る静岡や山梨の山ではこれほどたくさんの人に合うことはない。塔ノ岳や大山などよりややマイナーな西丹沢だが、流石に首都圏に近いやまである。

檜洞丸山頂
檜洞丸山頂

遥か彼方に山頂に建物がある。塔ノ岳だろう。明日はあそこまで歩かねばならない。檜洞丸ですでにバテバテだが大丈夫か?

塔ノ岳
塔ノ岳

檜洞丸山頂はそれほど眺望が良くない。どこかに視界が開けた場所があるのだろうか。

山頂はかなり広く、ベンチもたくさん設置されている。山頂に来た人たちはそれぞれ思い思いにくつろいでいた。

富士山とくつろぐ人
富士山とくつろぐ人

ここへ来た証拠に山頂標識も撮っておく。ちなみに私はあまり自撮りは好きではない。おっさんの姿を移しても画にならないからである。

そういえば、奥に写っているオレンジパンツの方も相当な重量を背負っておられたが、この山頂以降はお会いすることがなかった。檜洞丸山頂直下にある青ケ岳山荘に泊まったのかもしれない。

山頂標識
山頂標識

主稜縦走核心部!檜洞丸⇒蛭ヶ岳

檜洞丸山頂で30分ほど休憩した後、いよいよ今回のコースの核心部へ足を踏み入れた。下り始めてすぐにに青い屋根が視界に入る。山頂直下にある青ヶ岳山荘だ。

蛭ヶ岳方面へ降りる
蛭ヶ岳方面へ降りる

前に立ってみるとこじんまりとした小さな小屋。屋根だけでなく壁も真っ青。どこかちょっと可愛らしい感じ。山荘の前で管理人の方が何やら修繕作業をされていました。

コロナ禍でなければ花の咲く季節にはたくさんのハイカーで賑わうんだろうな。

青ヶ岳山荘
青ヶ岳山荘

青ヶ岳山荘から少し下るとすぐに木段はなくなり、やや足場の悪い登山道に。正面に見える三角形の山が本日の目的地、蛭ヶ岳だ。蛭ヶ岳までの距離は4.5km。西丹沢から檜洞丸までの距離と概ね同じだ。

まずは、檜洞丸から金山谷乗越まで一気に標高を300m下げる。せっかく苦労して稼いできた標高がみるみる下がっていく。目指す蛭ヶ岳は1673m。金山谷乗越から約400mも登り返さないといけない。しかもその間には臼ヶ岳などのピークをいくつか乗越えていかなければならない。

すでに檜洞丸に登るだけでかなり疲労している。今回は荷物が結構重い。ここからはエスケープルートもない。蛭ヶ岳まで歩けるのか?

覚悟を決めて延々と続く下り道を降りていった。

蛭ヶ岳を望む
蛭ヶ岳を望む

金山谷乗越は足場の悪い斜面に木段や金属製の橋を付けて整備されている。何度も崩落したのを修復したような道に、整備されている方の苦労を感じる場所だ。おかげで安全に歩くことができる。ありがたい。

金山乗越を登り返し細かいアップダウンのある道を歩いていくと神ノ川乗越へ到着。ここがこの区間で一番低い場所。ここから臼ヶ岳まで200m登り返す。

登り返しは比較的緩やかな登山道だが、その分臼ヶ岳山頂までの道のりは長く感じる。

神ノ川乗越
神ノ川乗越

臼ヶ岳山頂に着くとベンチが設置されていた。この大型のベンチはこの山域の所々で見かけるが、ヒル避けのベンチらしい。ということはこの辺りも夏はヒルだらけということか。

臼ヶ岳山頂は正確にはこのベンチの場所ではなく、標識から少し南に下ったところにあるようだ。あとからその事実を知り、ちょっと損をした気分になった。

臼ヶ岳標識
臼ヶ岳標識

臼ヶ岳から先は一旦ミカゲ沢ノ頭へ上り、そこから崩落した尾根を通過して蛭ヶ岳へ取り付く。ここから300mを登り返す。

ミカゲ沢ノ頭と蛭ヶ岳
ミカゲ沢ノ頭と蛭ヶ岳

蛭ヶ岳に取り付くと直登の急登。鎖場のある岩登も現れる。

鎖場は鎖を使わなくても登ることができる。どちらかというと下りの時にありがたい鎖だろう。ここの下りは足を踏み外すとそのまま滑落に繋がるところも多数。下りにこそ気をつけなければならないところだった。

急登を登りながら何度も足を止める。すでにヘロヘロ。だが、300m登り返せばビールが待っている。ここでとどまってもどうにもならない。

自分の尻にムチを打ちながら気合で最後の力を振り絞る。

蛭ヶ岳の鎖場
蛭ヶ岳の鎖場

後ろを振り返ると歩いてきた稜線を一望できた。檜洞丸の後ろにそびえているはずの富士山の姿が霞んで殆ど見えない。

歩いてきた稜線を振り返る
歩いてきた稜線を振り返る

そして臼ヶ岳を発つこと1時間半。ようやく本日の目的地蛭ヶ岳へ到着したのであった。

絶景の蛭ヶ岳山頂

山頂に到着して倒れるようにベンチに座り込む。やっと重い荷物から開放されてしばし休憩。想定していた以上にキツかった。まあ、自分の体力が思った以上に貧弱だったというべきだろう。

ベンチでしっかり休んでから山荘で受付。そしてビールを一缶購入。500円なり。蛭ヶ岳山荘の飲み物は水・お茶・ジュース・そしてビールも全部500円。ビールを買うと非常に得した気分になれる。

正月明けに親知らずを2本抜いて入院してから一月半。ずっと禁酒をしていた。久々のアルコールは格別であった。体を動かしたあとのビールはうまい。

山頂ベンチで至福のひととき
山頂ベンチで至福のひととき

一杯飲んでから山頂を散歩。蛭ヶ岳は遠くから見るととんがって見えるが山頂は平坦で広い。周囲は遮るものがなく眺望が素晴らしい山だ。

東側は明日歩く稜線が眺められる。見た目は思ったよりなだらか。

鬼ヶ岩ノ頭と棚沢ノ頭
鬼ヶ岩ノ頭と棚沢ノ頭

更に向こう側には塔ノ岳の姿。

塔ノ岳
塔ノ岳

下に見える沢は熊木沢というらしい。

熊木沢
熊木沢

蛭ヶ岳山頂標識。この後ろに富士山が見えるはずだが、霞がきつくて何も見えない。

蛭ヶ岳山頂標識
蛭ヶ岳山頂標識

夕方になるまで一休みすることに。布団での一休みは快適である。ここまでかなり疲労していたこともあり、寝っ転がったらすぐに寝てしまった。

蛭ヶ岳山荘
蛭ヶ岳山荘

一時間半ほど仮眠して夕方の16:30。太陽が西の空に傾き辺りは徐々に朱色に染まってきていた。霞んだ富士山も太陽の逆光で影になって浮かんできている。

檜洞丸方面には、ここから先は注意(とは書いていないが)の看板。

蛭ヶ岳山頂檜洞丸方面
蛭ヶ岳山頂檜洞丸方面

山の間に光が差して霞が光芒を作り出す。

光芒
光芒

日が落ちてくると夕日が富士山のシルエットを浮かび上がらせる。

夕日に浮かぶ富士
夕日に浮かぶ富士

檜洞丸から登ってきた木段が夕日に照らされて富士山へ伸びる光の道が現れる(ように見えた)。

道標
道標

そして日が沈んでいくとともに光の道は消えていく。

夕暮れ
夕暮れ

日没後、山小屋で夕食。この日の宿泊者は10名。コロナ禍で山小屋での食事は黙食。状況が状況だけに仕方がないが寂しさも感じた。

ちなみに夕食は蛭ヶ岳山荘名物のカレーだった。カレー以外はご飯と惣菜は食べ放題。まあ、この歳になるとあまりたくさん食べられないが。

食事が済む頃にはすっかり陽は落ち、辺りは真っ暗になっていた。自炊室のある小屋の東側から外に出ると、目の前には関東平野を覆い尽くす無数の光。

かなり霞んでいたが、キラキラ輝いていた。誰かが言った宝石を散りばめたような景色とはよく行ったものだ。

他の人達もしばし外に出て夜景を眺める。数名は撮影に没頭していた。

蛭ヶ岳からの夜景
蛭ヶ岳からの夜景

小屋を振り返ると空には星がきらめいていた。関東平野からの光で満天の星空とはいかないが、それでも普段は見上げることもない星空を眺めながらまったりとした時間を過ごしたのであった。

蛭ヶ岳山荘と星空
蛭ヶ岳山荘と星空

そして8時過ぎ消灯。次の日は夜明け前に起きなければならないのですぐに就寝。

翌日5時に起床。4時前に目が覚めたのだが、あまり早起きしてもここでは天の川が見えるわけではないので2度寝した。

起きて外に出て関東平野を眺めると相変わらず霞がキツい。朝ならすっきりするだろうと思っていたのだが当てが外れた。

それならばと、西側に行き富士山を見ると御殿場や山中湖などの街明かりが霞を照らしていい具合に富士山を照らしていた。

夜明け前の富士山
夜明け前の富士山
富士山と街明かり
富士山と街明かり

東の空が明るくなってきた。町の上空にのしかかる霞が赤く色づき始める。

関東平野の明け方
関東平野の明け方

そして夜明け。富士山が朝日に照らされて赤く染まる。手前にある昨日歩いた檜洞丸も日の光に染まる。

紅富士
紅富士

臼ヶ岳のピークに日が当たる。

臼ヶ岳
臼ヶ岳

おはよう富士山。

富士山
富士山
枯草
枯草

そして日もすっかり昇り、出発の時が来たのであった。

丹沢最高!稜線歩き

蛭ヶ岳から丹沢山への道は初めて歩く。以前表尾根から丹沢山へ登った時は、蛭ヶ岳まで3.2kmの標識を見て引き返した。もともと計画に入っていなかった事と時間も押していたということもある。

蛭ヶ岳から丹沢方面
蛭ヶ岳から丹沢方面
稜線の木道
稜線の木道

昨日の檜洞丸から蛭ヶ岳の道と違い、非常に歩きやすい稜線道。目の前に延びる尾根道が開放的で非常に気持ちが良い。

稜線の道
稜線の道

足元はよく踏まれていて明瞭。朝早い時間は凍っていてるが解けると泥濘になるだろう。

登山道
登山道

丹沢山までのルートで核心部となるのは蛭ヶ岳を経って間もなく現れる鬼ヶ岩へ登る岩場。だが、特に厳しいところもなくちょっとだけ岩登り風の普通の登りであった。下りで使うときは少し気を付けたほうが良いが登りは全く問題ない。

鬼ヶ岩標識
鬼ケ岩標識

振り返ると鬼ヶ岩ノ頭の向こうに蛭ヶ岳が見えた。

鬼ヶ岩ノ頭と蛭ヶ岳
鬼ヶ岩ノ頭と蛭ヶ岳

この稜線は非常に眺望が良い。南アルプスや富士山を横目に眺めながら歩く絶景ルートだ。都市近郊にこれだけの登山道があるとは丹沢とは贅沢な山だ。

南アルプス
南アルプス
富士山と臼ヶ岳、檜洞丸
富士山と臼ヶ岳、檜洞丸
振り返ると富士山
振り返ると富士山

棚沢ノ頭を越えると富士山とはしばしお別れ。不動ノ峰と丹沢山を目指して笹路を歩いていく。

笹路を歩く
笹路を歩く

不動ノ峰のピークはどこにあるのかよくわからなかった。歩いていくと休憩所があり立派な東屋が建てられていた。休憩にはよい場所だがあまり眺望はよくない。木に囲まれているわけではないが、見える景色がイマイチだ。

不動ノ峰休憩所
不動ノ峰休憩所

休憩所から少し進むと一度一気に100m程標高を下げてから丹沢山へ登り返す。この登り返しが少しきつかった。登って行ってもなかなか山頂に着かない。

丹沢山への登り返し
丹沢山への登り返し

ようやく丹沢山に到着。みやま山荘だ。ここまで蛭ヶ岳から1.5時間ほどだった。

すでに足場は泥濘と化し、足を踏み入れるのを躊躇する状態。今回の山行ではこうなることを予見してゲイターを着けて歩いていた。

ゲイターを着けているとズボンの裾が汚れなくてよい。下山後公共交通機関を利用しなければならないので、足元には気を遣う。

みやま山荘

4年ぶりくらいの丹沢山。たまにはと思い立ち自撮り。ミニ三脚を使ったら看板の向こうにそびえる富士山が隠れてしまった。かといって、ザックから三脚を取り出すのも面倒。所詮はおっさん自撮りなので丹沢山の看板が写っていればよいだろう。

丹沢山で自撮り
丹沢山で自撮り

丹沢山からは以前歩いたことのあるルート。アップダウンはあるが小一時間で塔ノ岳に到達する歩きやすいルートだ。

塔ノ岳までのルート
塔ノ岳までのルート

左手には人気の大山も見えた。

大山

最後は少し登り返す。目視では遠くに見えるが登ってみると割と近い。

塔ノ岳への登り返し
塔ノ岳への登り返し

そして最後のピーク塔ノ岳へ到着した。蛭ヶ岳から6キロ弱を3時間弱で到着。檜洞丸から蛭ヶ岳の区間だけでも4時間ほどかかったので、やっぱりだいぶん歩きやすいのだろう。とはいえ結構疲れた。

塔ノ岳山頂
塔ノ岳山頂

バカ尾根こと大倉尾根を下る

大倉尾根は全長7km以上にも及ぶ長大な尾根だ。標高差は1200m。ひたすら緩く登り続ける人気のルートだ。

ここは週末には首都圏のハイカーが集まる人気のルートなので、非常によく整備が行き届いている。あまりにも整備が良すぎて階段ばかり。下から上までひたすら階段だ。階段を登るのは普通の坂を上るよりきつい。

何段あるのだろうと誰もが興味を持つところだが、ちゃんと数えている方がおられた。2834段らしい。

ちなみに、個人的に階段と言えば九州は熊本県美里町にある3333段の日本一の石段だ。しかし、あそこは標高差はあまりないので普通に登ればさほどきつくない。

愛称であるバカ尾根の由来は知らないが、きっと馬鹿みたいに階段が多くてキツい尾根だからバカ尾根と呼ばれているのだろう。

よく整備されているのでトレランの人も多い。首都圏にはドMさんが多いようだなどと初めて登った時は思ったものだ。

塔ノ岳から見える蛭ヶ岳
塔ノ岳から見える蛭ヶ岳

塔ノ岳は人気の山だけあって非常に眺望が良い。360度大パノラマを楽しめる。富士山をはじめ、南アルプスや八ヶ岳もよくよく目を凝らしてみると見える。

南アルプス白峰三山
南アルプス白峰三山
富士山と鍋割沢
富士山と鍋割沢

20分程休憩したのち下山開始。塔ノ岳からの大倉へ下る方向は高度感があって眺望がすばらしい。この地域に住んでいる人なら、自分の家はどの辺かと探すことだろう。

大倉への下り方面
大倉への下り方面

ここからはほとんど登りはないが、長い階段の下りになるので膝への負担は大きい。しかも今回は結構重い荷物を担いでいるのでなおさらだ。まだまだ油断大敵。脚の筋力と相談しながら下っていく。

バカ尾根下りはじめ
バカ尾根下りはじめ

金冷やしは鍋割山との分岐だ。

鍋割山に寄り道をして鍋焼きうどんを食べたい気もするが、すでに10:30を回っており時間もないのでまたの機会にすることにした。

しかし、金冷やしの由来は何なのだろう。

金冷やし
金冷やし

長い尾根を黙々と降りていく。花立山を過ぎるとほぼ眺望がなくなりすぎの樹林帯の道になる。花粉症の人にはきついだろう。

バカ尾根道
バカ尾根道
森にさす光
森にさす光

塔ノ岳を下り始めて2時間。ようやく下山。大倉バス停に着いたらちょうどバスが入ってきてそのまま乗車。そのまま電車とバスを乗り継いで西丹沢ビジターセンターへ2.5時間ほどかけて車を取りに戻た。

撮影機材

カメラ

●Nikon Z6

レンズ

●Nikkor Z 24-70mmF4S

その他

●Manfrotto befree advanced●Manfrotto Pixi Evo●Peak Design Capture V3●Lowepro 50AWⅡ

西丹沢主稜縦走動画

その他丹沢レポ

表尾根で丹沢山へ

大倉尾根から塔ノ岳、鍋割山を周回

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