年明けは久住で夫婦登山。初心者でも安心して登れる牧ノ戸から。
目次
朝日を狙って暗いうちから登山道へ
牧ノ戸峠は数ある久住山への登山口の中で最も人気の場所。峠の標高はすでに1330mあり、久住山との標高差はおよそ450mほど。道中はなだらかな登りが多くとても登りやすい。山頂までは標準タイムで2時間20分。天候が良ければ小学生でも登れる手軽なコースだ。
以前より久住山へ登りたがっていた妻を連れていくにはちょうど良いコース。山頂からの朝日を眺めて御池周りのピークを周回したのち凍結した御池に降りるというのが今回のコース。ゆっくり登れば普段山に登り慣れていない妻でも問題なく歩ける行程だ。
牧ノ戸の駐車場に着いてから少し仮眠をとって4:50に出発。日の出が7:10くらいなので普通に歩けば間に合う時間。あたりはまだ真っ暗で空を見上げると満天の星空が輝いていた。
牧ノ戸登山口は登り始めから最初のピークの沓掛山までは舗装された遊歩道になっている。一昨年登った時はこの道が全面凍結して滑り台の様な状態になっていたが今回は全く凍結なし。気温も-5℃くらいでこの季節としては温度は高め。
この遊歩道は割と急登で微妙に階段形状になっていてちょっと歩きにくい。登り始めて10分ほどのところにある第一展望まで登ってはやくも妻がダウン。いきなりの登りが応えたようだ。
ちょっと休憩をしてから再び登り始めて、最初のピーク沓掛山の手前にある休憩所に到着。ここで舗装はなくなり本格的な登山道になる。
休憩所から少し登ると沓掛山のピーク。ピークを過ぎると休憩所から300m進んでいるのに久住山まで500m延びているという謎の道標が現れる。これ以降はこの道標に準じた距離で表示されているのでおそらくこちらが正解なのだと思う。この辺りから歩きやすい平坦路になっていく。
明るければ見晴らしのいい登山道だけど、真っ暗なのでヘッデンの明かりが射している凍った地面しか見えない。黙々と歩いていくと東の空が次第に明るくなってきた。
沓掛山から扇ヶ鼻分岐を経て一時間程歩くと道の向こうに久住山の頂が見えてくる。ここまで来れば久住山下の避難小屋まであと30分弱。避難小屋に近づくと岩場の道になるが、山道は明瞭で歩きづらいことはない。岩場から南側を見ると阿蘇山が眺められる。
阿蘇山が見えてから岩場の道を下ると避難小屋のある広場に到着する。避難小屋の隣にはバイオトイレがあるが冬季は閉鎖されている。久住山山頂はここから20分くらい。この時点で6:50分。日の出まであと20分。日の出に間に合わない。
避難小屋から久住山へ登り始めると、背後に三俣山と北千里浜が見えてくる。その向こうには山頂が二つに割れた由布岳が見える。夜明け前の明かりに染まる三俣山がいい感じ。北千里浜へ下ると法華院温泉、坊がつるへの道がある。今回はこちらには行かないが、いつか歩いてみたいコース。
久住山への登りはそれほど急ではないので、時々後ろを振り返って景色を楽しみながら登れる。
中岳と久住山の道標に着くと稜線まであと少し。
稜線に出ると一気に視界が開ける。久住高原と阿蘇のカルデラを見下ろす大展望。振り返ると頑張って登って来る妻の姿。
稜線に着くとまもなく陽が登ってきた。何とか日の出に間に合った。雲から登る朝日を撮るのにスタンバっているおじさん(たぶん)の姿が見えた。
稜線からの絶景を眺めながら久住山山頂へ
稜線に出ると正面右手に阿蘇の根子岳と高岳。正面左手には祖母山が見える。ともに日本百名山。刻々と空が赤く染まる中、両山が綺麗に見えた。日が登るにしたがって眼下の久住高原が徐々に淡いピンクに染まっていき、稜線の岩も同じように染まっていく。
山で日の出を見たらすぐに降りる人が結構いるが、陽が出てから山を染める色が赤からオレンジへと変わっていく様がまた綺麗だと思っているので非常にもったいない。
日の出ショーを楽しみながら山頂へ。雲海に浮かぶ阿蘇と阿蘇のカルデラに張り出している大観峰が見える。山と同様に眼下に広がる景色もいい色に染まっている。山頂で日の出の風景はやっぱり素晴らしい。真っ暗な中を歩いてきた甲斐があるというものだ。
せっかくなので、綺麗な朝日に染まっているボーナスタイムのうちに山頂登頂記念写真を撮影。これで妻が登った日本百名山は、伊吹山、富士山、仙丈ヶ岳に続いて4つ目。年に1,2回しか登山をしないのに意外と登っている。
記念撮影後もしばし山頂で景色を眺める。久住山の山頂は遮蔽物がない360°の大展望。ただし遮蔽物がないので風が強くて結構寒い。山頂でコーヒーを沸かそうと思っていたが、風が強くて寒いのでさっさと次の稲星山へ行くことにした。
稲星山へ
久住山を後にして、東に稜線を歩いていくとまもなく下りになる。下りきると神明水と呼ばれる峠に着く。なんとも神々しい名前の峠だが、名前の由来は何だろう。神明水は南登山口へ下る道と稲星山、中岳と池ノ小屋避難小屋への分岐点になる。稲星山を回避して中岳や御池方面へ行くなら中岳方面へ行けばよい。
今回は稲星山を経由するので、目の前に伸びる登山道を登る。結構直登で大変そうに見えるが、意外と登りやすい。
途中からなだらかになると山頂はもう少し。
稲星山の山頂は非常に広い。広さだけならサッカーが出来そうなくらい。この山頂からは北側に坊がつるが見える。坊がつるはテント泊が出来る広大な湿地帯。ミヤマキリシマが咲くシーズンには100以上のテントが張られるらしい。ミヤマキリシマ鑑賞と合わせて一度テン泊してみたい場所である。
九州最高峰中岳へ
星稲山を後にして次に登るのは九州最高峰中岳。標高1791m。最高峰といっても久住山より4mほど高いだけである。
一旦100mほど下って坊がつるとの分岐点へ。この分岐点からは中岳、坊がつる、池ノ避難小屋へのルートがあるが、坊がつる方面は落石多のため通行を控えるようにという注意書きがあった。実質通行止めのようだ。
中岳の登りは割と急登でちょっとしたロープ場や鎖場がある。全く難しくはないが、誤って滑落すると大怪我につながる。今回のコースでは一番危険な場所だ。とは言ったものの全く難しくないので普通に歩けば問題ない道である。
20分ほど登り返すと中岳山頂に到着する。九州最高峰からの眺望は抜群。中岳は名前の通りくじゅう連山の中心あたりにあり、周囲を見渡すと大船山や坊がつる、久住山や御池などくじゅう連山の山々を一望できる。
中岳の次はこの日最後のピーク天狗ヶ城へ。前回登った時はここは寄らなかったので今回は是非登っておきたかった。中岳から10分程度で行けるピーク。そういえば、久住山に登っている時に天狗ヶ城を見ると結構たくさんの人が山頂で朝日を待っているのが見えた。天狗ヶ城からの朝日は何かいい感じで見えるものがあるのだろうか。
御池は中岳からでも見えるが、天狗ヶ城からの方が近くに見える。御池を見下ろすと池の上を滑っている親子が見えた。温度が高いのでしっかり凍っているのか心配したが、どうやら大丈夫みたい。
凍結した御池で氷上の人になる
天狗ヶ城を降りたところに御池の湖畔入口がある。池の真ん中では滑って遊んでいる親子の姿があることから、載っても特に問題はなさそう。
一昨年来た時は、池の氷はこんなに透明感はなく、スケートリンクの氷のように白く頑丈な感じだった。今回は池の底が見えるほど透明な氷。氷に走る亀裂を見ると厚さは5cmくらいか。たまに「パキパキッ」という氷に亀裂が入るような音にビビる。
池のほとりなら仮に氷が割れて落ちても大して深くないので溺れることはないが、比較的暖かいとはいえ真冬の晴天の下ビショビショになりながらの山行は危険である。とりあえず池に載った証拠写真を撮って湖畔を歩いて池ノ避難小屋に行くことにした。
池の淵を行くが、せっかくなので氷上を歩く。岩の表面に着いた氷が何ともぬらッと光っていていい感じ。対して波立つこともない池だろうにどうやって岩に氷が付くのだろう。
天狗ヶ城から降りた湖畔のちょうど対岸を上がったところに池ノ避難小屋がある。中に入ると結構荒れている。いザとなれば泊まれないこともないが、基本的に風雨をしのいだり、噴火時に避難をするための建物だろう。
ここでやっと妻念願のコーヒーを飲むことに。当初の山頂でコーヒーはどこも風が強くて長居する気が起こらなかったらしい。風のしのげる避難小屋で一息。避難小屋ではみんなラーメンを食べる人、コーヒーを沸かす人で満員御礼。お湯を沸かすためにコッフェルとバーナーを持参していたが、妻が持っていた魔法瓶のお湯が十分に暖かかったのでこちらでコーヒーを飲んだ。お湯を入れた魔法瓶はザックの中で背中側に入れていたが、安物でも結構持つものだと思った。
一服してから下山開始。避難小屋の上に石碑が見えたので通ってみる。どういう意味のあるものなのかよくわからなかった。
帰りは泥濘の登山道
石碑を経由して再び天狗ヶ城下の御池湖畔に戻る。そこから久住別れ避難小屋をめざす。避難小屋まで戻れば後は来た道を戻るだけだ。天狗ヶ城から避難小屋へのルートは途中巻道があるのでそれを使う。
避難小屋を過ぎて岩場を登ると谷に突き出た岩場がある。ここが阿蘇山を見られる最後の場所だ。
行きは地面が凍っていたが、帰りはすっかり溶けて登山道が泥濘と化していた。靴が泥まみれは必至。ズボンが汚れるのが気になる人はスパッツが必要だ。
行きの暗い中での山行では全く見えなかった風景が、帰り道では楽しめた。向かい側からは結構たくさんの人が登って来る。すでに昼前だが、久住山ピストンで夕方戻る予定だろうか。
たまに振り返ると、今回は登らなかった星生山や三俣山が見える。星生山は前回登ったが、三俣山はまだ未踏なので機会があれば登ってみたい。
長者原が見えてくると戻ってきた感がわいてくる。このころには昼ご飯は何を食べようかを相談しながらの余裕のハイキング。
沓掛山を越えて舗装道になればゴールはもうすぐ。第一展望台を過ぎると駐車場が見えてくる。
最後は行きで妻がダウンした道を下ってゴール。無事に帰ってこれました。
帰りは泥沼で足元ドロドロになってしまいましたが、朝日も見ることが出来たし、御池も凍っていたので当初の目的は達成できていい山行になった。この後温泉に入って帰りました。
アクセス・コース
登山口へのアクセス
通称やまなみハイウェイと呼ばれる県道11号線を久住高原方面へ走るとあります。冬季は熊本からの高速バス(要予約)以外は運休しているので、車で来るしかありません。
駐車場は広いですが、一般観光客も多く訪れるので冬でも意外といっぱいになります。
南国イメージの九州ですが、冬の久住は気温氷点下は当たり前。路面凍結はもちろん雪も積もりますので、最低限スタッドレスタイヤの装着は必須です。十分な防寒対策をしましょう。
ルート地図
ルートタイム
【牧ノ戸⇒久住山】
牧ノ戸峠⇒9分⇒第一展望所⇒21分⇒沓掛山⇒28分⇒ブロッコリーの丘⇒21分⇒扇ヶ鼻分岐⇒11分⇒星生山分岐⇒24分⇒久住別れ避難小屋⇒3分⇒久住分れ⇒29分⇒久住山
【久住山⇒稲星山⇒中岳⇒天狗ヶ城⇒御池】
久住山⇒17分⇒神明水⇒15分⇒稲星山⇒10分⇒中岳分岐⇒21分⇒中岳⇒9分⇒天狗ヶ城⇒10分⇒御池
【御池⇒池ノ避難小屋⇒牧ノ戸】
御池⇒10分⇒池の避難小屋⇒26分⇒久住別れ避難小屋⇒26分⇒星生山分岐⇒7分⇒扇ヶ鼻分岐⇒13分⇒ブロッコリーの丘⇒25分⇒沓掛山⇒14分⇒第一展望所⇒7分⇒牧ノ戸峠
ルートデータ
- 出発時刻/高度: 04:49 / 1327m
- 到着時刻/高度: 12:26 / 1327m
- 合計時間: 7時間37分
- 合計距離: 13.06km
- 最高点の標高: 1755m
- 最低点の標高: 1327m
- 累積標高(上り): 800m
- 累積標高(下り): 796m
- 荷物重量 : MAX15kg
- 消費カロリー :3764kcal
- 消費水分 : 0l
- 摂取カロリー : 0kcal
持ち物
- ザック kestrel38
- 登山靴 mont-bell ツオロミブーツ
- 手袋 mont-bellシャミーズグローブ、OutDryアルパイングローブ(未使用)
- ウインドブレーカー mont-bellウインドブラストパーカー(未使用)
- ミドルレイヤー mont-bellクリマプラス100ジャケット
- ベースレイヤー mont-bellスーパーメリノウールEXP.、ミレードライナミックメッシュ
- アウターレイヤー mont-bellロッシュジャケット
- パンツ mont-bellストライダーパンツ
- 靴下 mont-bell製
- レインウェア mont-bellレインダンサー(未着用)
- ストック メーカー不明(妻使用)
- GPS GARMIN62S
- ヘッドライト blackdiamond spot
- カメラ Nikon Z6、Nikon1J4
- レンズ Nikkor Z 24-70F4S、AF Nikkor 18-35mmF3.5-4.5D、Ai Micro Nikkor 55mmF2.8、Ai Nikkor 28mmF2.8、1Nikkor 30-110mm、NDフィルター2枚、C-PLフィルター1枚
- 三脚 manfrotto befree advanced、manfrotto PIXI EVO
- その他 帽子 行動食(ゼリー×1、カロリーメイト×3、チョコ)飲料水1.5L 救急セット 懐中電灯 予備電池 熊鈴 コンパス 地図 時計 携帯 財布 保険証 筆記用具 予備紐 ライター ビバークシート,ココヘリ発信機
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