蝶ヶ岳・常念岳を日帰り登山 三股登山口から周回
目次
北アルプス随一の眺望と言われる稜線を目指して
蝶ヶ岳は北アルプスの常念山脈に位置する標高2677mのお山です。
なだらかな山容で、登山道もよく整備されていて安心して登れるので北アルプスの入門に位置付けられています。
山頂から眼下に見える上高地と梓川をはさんで槍穂高の対面に位置しており、槍穂高の眺望は北アルプス随一と言われている好展望のお山です。
山頂付近には蝶ヶ岳ヒュッテとテン場があり、泊りで来れば朝夕の絶景も楽しめます。グレートトラバースの田中陽希さんもわざわざ蝶ヶ岳ヒュッテで泊まって夕焼けの槍穂高を眺めてましたね。
今回は蝶ヶ岳から蝶槍までの稜線歩きはまさに絶景。何度も通う人も多いようですね。
常念岳は日本百名山の一つに数えられている名峰です。標高は2857m。槍ヶ岳山荘から見たピラミダルな山容が非常に印象的で、いつか登ってみたいと思っていた山でした。
蝶ヶ岳同様山頂からの槍穂高や燕岳からの表銀座の登山道も一望できる好展望地。また、山頂下には常念小屋もあり、小屋泊やテント泊も出来るので燕岳から蝶ヶ岳までの縦走も楽しめます。
今回のコース
登山口へのアクセス
三股登山口は国営アルプスあずみの公園から烏川渓谷への林道を登って行ったところにあります。あずみの公園から車でおおよそ30分くらいです。道路は舗装されているので走りやすいですが道が細いので対向車には注意が必要です。
駐車場は40台くらいは停められそうですが、私が到着した23時には2/3くらい埋まっていました。宿泊での登山の方もたくさんおられるし、常念岳と蝶ヶ岳双方の登山口になっているので登山者も多くなります。どこの登山口も同じですが、早めの到着を心掛けた方がよいと思います。
また、タクシーでも来ることが出来ます。私が下山した時もタクシーが2台下山客待ちをしていました。安南タクシーのHPに三股駐車場までの写真が載っていますのでご参考に。
南安タクシー
駐車場にはきれいなトイレがあります。下山時もトイレで着替えをさせていただきました。
ルート地図
ルートタイム
【三股駐車場⇒蝶ヶ岳】 所要時間3時間47分
三股駐車場⇒13分⇒三股登山口⇒27分⇒ゴジラみたいな木⇒64分⇒まめうち平⇒37分⇒蝶沢⇒39分⇒第二ベンチ⇒11分⇒最終ベンチ⇒18分⇒大滝山分岐⇒13分⇒蝶ヶ岳ヒュッテ⇒5分⇒蝶ヶ岳
【蝶ヶ岳⇒常念岳】 所要時間3時間26分
蝶ヶ岳⇒5分⇒蝶ヶ岳ヒュッテ⇒20分⇒蝶ヶ岳・蝶槍間分岐⇒12分⇒蝶槍⇒44分⇒2592ピーク⇒125分⇒常念岳
【常念岳⇒三股駐車場】 所要時間3時間14分
常念岳⇒3分⇒三股への分岐点⇒47分⇒前常念岳⇒58分⇒2207標準点櫓跡⇒76分⇒三股登山口⇒10分⇒三股駐車場
ルートデータ
- 出発時刻/高度: 03:36 / 1278m
- 到着時刻/高度: 15:44 / 1279m
- 合計時間: 12時間8分
- 合計距離: 18.72km
- 最高点の標高: 2820m
- 最低点の標高: 1278m
- 累積標高(上り): 2107m
- 累積標高(下り): 2101m
- 荷物重量:10kg
- 消費カロリー:5875kcal
登山レポート
三股登山口から蝶ヶ岳をめざす
当初はAM0:00に出発して蝶ヶ岳山頂でご来光をと思っておりましたが、登山口まで思いのほか時間がかかってしまい断念。気を取り直して、しっかり仮眠をとって3:40出発に出発。森の隙間から綺麗な朝日が拝めればラッキーかなと思いながら登山口へ。
駐車場から歩くこと15分弱で登山口に到着。泊まっている車は山小屋の従業員のものかな。ここにもトイレはありますが、駐車場のトイレほどきれいではありませんでした。
受付所もあるので、日中はどなたか常駐しているのかもしれません。
駐車場の奥にある道を進むとつり橋があります。ここを渡ると蝶ヶ岳と常念岳の分岐があります。看板の様に蝶ヶ岳側は渡渉がありましたが幸い水量は少なく全く問題ありませんでした。
つり橋から蝶ヶ岳方面へ進むとまもなく力水と書かれた水場があります。ここが最初で最後の水場となります。ルート途中の蝶沢にも水は流れていましたが、沢の水なので飲料は出来ないでしょう。
序盤なのでここで水を補給する人はたぶん少ないのではないかと思います。
さらに少し進むと忽然とゴジラが現れます。写真では何度も見たことがありますが実物は初めて。まさにゴジラでした。歯に見立てた石の詰め方もいい感じですね。
登山道はずっと樹林帯の中ですが、時々木々の切れ目から眺望があります。日の出前の赤く焼ける空と雲海がいい感じでした。これを山頂で見たかったなぁ。
そして雲海からまもなく太陽が昇ってきました。木々の隙間からご来光を拝みます。天気が良くなってよかった。
陽が昇っても樹林帯の中はなかなか光が届かないので薄暗い。登山道は序盤はなだらか。しっかり整備されていて階段が多い。階段があると歩きやすいが脚の疲労は蓄積しやすい。正直、階段はあまり好きではない・・・。急な斜面だけ着けてくれればいいと思っている。
ゴジラから一時間程登ったところでまめうち平に到着。蝶ヶ岳までのルートで一番スペースのある休憩地点。ここから上にはちょっとしたベンチはあるが、道沿いの狭いスペースなので人が多いと休めないだろう。
まめうち平から上に登って行くと、徐々に木々の切れ目から常念岳が見えるようになってくる。
森の朝は木々の隙間から入ってくる陽の光が森に陰影をつくり、幹や苔の造形が浮かび上がって自然の美しさを感じられる。
雲がかかってきて小雨が降ってきた。景色が霧雨で霞んでいく。
登山口から蝶ヶ岳までの標高差約1400mを詰めていくので、登山道からの眺望は高度感がある。雲海の下は安曇野の街だろうか。
最終ベンチから登って行くとまもなく大滝山との分岐にあたる。この辺りから森林限界を超えて空が開ける。たくさんの高山植物が自生していて花を咲かせていた。分岐から20分ほどで蝶ヶ岳ヒュッテに到着。
水は1リットル200円で蛇口からとれます。自販機もあるので水にはあまり困らない。ここで水を補給するのを前提に持参する水分を抑えるのもよいかと思う。
この日はスポーツ飲料水と併せて2リットルの水分を担いで来たが、ここまで上がってくるのに1リットルも消費しなかった。ここで補給を前提にするなら1.5リットル担いでくれば十分余裕がある。
中に入りたかったが、コロナもあるので控えることにした。ここには泊りでまた来てみたい。
蝶ヶ岳山頂標識は蝶ヶ岳ヒュッテから南側。テン場の西にある。登って来た時に視界に入らないのでうっかり通り過ぎてしまっていた。
ちょっと戻って山頂で撮影。ちょうどおられたトレイルランナーの方に撮ってもらった。
ちなみにザックに刺さっているコーラは蝶ヶ岳ヒュッテの自販機で買った。確か300円だったと思う。山で飲む冷えたコーラはまた格別だった。
槍穂高を眺める絶景の稜線のはずが・・・
蝶ヶ岳山頂での写真では晴れた青空が写っているが、これはたまたま雲が切れただけで、稜線は雲で真っ白だ。これでは槍穂高どころかこれから行く常念岳も見えない。
天空のテン場にガスが覆いかぶさろうとしている。でも夜は晴れていたので、テン泊の人たちは綺麗な夜空が眺められたのだろうと思う。
常念岳へ向かう。稜線の向こうはガス。晴れていれば左に槍ヶ岳が見えていたのだろう。ここからの眺望を見に登って来たのですごく残念な思いで稜線を歩く。歩いているうちに雲が切れてくれることを願って。
上高地の横尾山荘に降りる分岐点。ここまでくると蝶槍までもう少し。蝶槍から北は高度を下げて樹林帯に入ってしまうので眺望がなくなる。ちょっとでもいいから雲が切れてくれないものか。
蝶槍に着くまでにガスが晴れることはなかった。それどころか雨が徐々に強くなってきて、一緒に歩いてきた方はカッパを着用。私はそれでもまだ小雨なのでウインドブレーカーを羽織るだけにしたがこれが失敗だった。
蝶槍から常念方向に降りていくと、登山道にはみ出した濡れたハイマツや草木がズボンを濡らしてベタベタに。
汗で濡れるのが嫌だったのでカッパを着なかったのだが裏目に出てしまった。樹林帯の登山道を歩いていくとズボンが濡れ続けていく。
これは正直マズい。また森林限界を超えた時に風が強いと体温を奪われかねない。とりあえずあまり休まず体を動かして、体温を維持するように心掛ける。今回は荷物を軽量にするために湯を沸かす道具は持ってきていない。失敗したと思った。
樹林帯はお花畑が点在していて、高山植物に興味がある方にはなかなか良い登山道だと思う。私は植物はほとんどわからないが…。
小さな沼もあった。水源は雪解け水なのだろうか。
ラスボス常念岳
最後の小ピークを越えると再び森林限界に。目の前には巨大な岩山がそびえたっていた。常念岳である。地図を見て登り返しが400m程あることは確認していたが、いざ目の前にするとその大きさにうなだれる。これからこのでかい山を登り返さないといけないのか…。しかもたっぷり50mくらいは下ってから。
心配した通り結構風が強い。しかし、温度はさほど低くなく風は冷たくない。濡れたズボンは動いているうちに風ですぐに乾いてしまった。
ラッキーである。真夏だからよかったが、秋口だったらこうはいかない。こんな幸運は何度も続かないので、次回は持ってくる装備や使いどころを誤らないようにしよう。
ラスボス常念岳の頂はたまにあらわれるが基本的にはガスの中。
登山道は見ての通り岩場の登り。しっかりとペンキの印があるので、それを探しながら登って行く。3点支持でよじ登るようなところはほぼないので割と安心して登れる。しかし、400mの登り返しはしんどい。
常念岳山頂への稜線。写真で見るとスケール感がわかりにくいが、写真中央より少し上に黄色いパンツをはいた男性がいるのがお分かりだろうか。
焦点距離24mmで撮っているので、パースがついて距離感がやや大袈裟にはなっているが、それでも山頂まで結構遠い。
振り返ると切れおちた稜線の左に雲が溜まっている。ようやく高山らしい景色を見ることが出来てかなりうれしい。
テン泊重装備のお二人を途中でパス。振り向くと稜線と雲とお二人の姿がいい感じ。ガスに巻かれ、雨に降られて大変だったけどやっぱり来てよかった。
もう少しで山頂というところで、足元に結構新し目のフンを見つけた。これって熊のフンじゃないのだろうか…。常念小屋に熊が出るのは聞いていたが、こんな山頂にまで来るのか…。
ようやく山頂に到着。あいかわらず周囲はガスに包まれている。とりあえず山頂自撮り。写真を撮ってザックカバーが剥がれている事に気が付いた。ザックの中身は無事。雨が小降りでよかった。
山頂は狭いガレ場であまり休憩できるスペースはないが、西側の尾根方面へちょっと移動すれば結構スペースはある。晴れていれば槍穂高を眺めながらのんびりランチも楽しめそうだ。
下りでもハード常念岳から三股登山口へ
山頂を辞して北側に降りていく。眼下には常念小屋へ続く稜線の道に人が歩いているのが見える。雲で見え隠れする大天井方面の山と小さく見える登山者に山の雄大さを感じるのでありました。
三股登山口と常念小屋の分岐。常念小屋方面に目を向けると大天井岳と思われるピークがガスに見え隠れする。大天井岳まで結構アップダウンがある。あちらへ行くと大変そうだ。
三股方面へ少し歩くと、眼下に常念小屋が雲に見え隠れしていた。結構下の方にある。小屋から常念岳山頂まで登るのはちょっと大変そうだ。
高山植物は少なめ。チングルマくらい見当たらなかった。
前常念岳までは緩やかな下りかと思っていたが、意外とそうでもなく岩稜の上を歩く登山道は意外と歩きにくい。なかなか思うように進まない。
常念乗越の分岐から少し進むと綺麗な稜線が見えた。稜線の先のピークが雲で見え隠れしてなんかいい感じでした。
前常念岳は特に標識はないようだった。その代わりに避難小屋があるのか。岩をうまく利用した建物になっているらしい。中には特に入ってみなかった。
避難小屋からは急峻な下りになる。下を見るだけで転げ落ちそうな錯覚に陥る。三股までの道のりはまだまだ長い。
下っていくときに見えた安曇野の街。これより下に下って行くと眺望もなさそうだ。
あと一息で樹林帯に入る。樹林帯はガスに包まれている。
この後樹林帯に入る。樹林帯に入ってからの道はひたすら続く九十九折れに結構気が滅入った。段差の大きなところも多く、それなりに足元に気を付けて降りる必要がある。常念岳から三股へ降りるコースは下山に使うには結構脚に負担がかかる感じ。
今回は蝶ヶ岳から登ったが、周回するなら常念岳から登った方が良いのかなと感じた。三股から常念岳への登りは大変だが、上がってしまえば稜線の道は楽になり、蝶ヶ岳からの下山路は非常によく整備されているので歩きやすい。階段も下りで使えば快適だ。
でも、今度来るときは蝶ヶ岳なら蝶槍まで行けばいいと思うし、常念岳なら一ノ谷から登ってみたい。